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学校とさっくんと桃井
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声が、今まさに声変わり中みたいに低くなった。
「強め?」
「続けてもいい、じゃなくて、続けた方が良いって言うんだ。その方が、アイツも受け入れやすいだろ」
「…方が良い、か」
その言い方だと、桃井の執事になれって、…なんだかオレが積極的に勧めてるように受け取られてしまう気がして、ちょっと悩む。
さっくんには幸せでいてほしいとは思う。
…けど、本心ではやっぱり戻って来て欲しいし、できれば一緒にいたいから、流石にそんな言い方をしていいものかどうか躊躇ってしまった。
「あの執事のためだ」
「わ、」
ガッと肩を掴まれ、何故か物凄い眼圧で訴えられた。
ちょっと怖いぞ、それ。
「なんだかんだ、あの執事は自分で選んだんだ。お前が命令したんじゃない。アイツが初めて選択した。アイツの望みだ。咲人のためだ」
「…さっくんの、ため…」
あまりにも強く言われて、…段々、本当にそれが正しいような気がしてくる。
沈黙し、…何度もはんぷくして、……うん。と小さく頷く。
「その意気だ。それでこそ立派な主人ってもんだ。一歩成長したな」
「へへ、オレは何でもできるさっくんの主人だからな。立派じゃないはずがないだろ」
えらいぞーとわしゃわしゃと頭を撫でられ、段々気分が良くなってくる。
オレだって、さっくんが嬉しそうに笑う顔を見るのが一番好きだ。大好きだ。
だから、そのためなら、何でもしてやろうじゃないか。
「…でも、やっぱり複雑だな…」
「…複雑?」
「…う、」
…ここまで他の人間に対して優しくしてるのを見ると、
なんというか、こう、
「…ずっと一緒にいたから、やっぱり家族が離れていくのは、…その、なんていうんだ、これ、…」
動揺する瞳を揺らし、さっくんがいつも着せてくれていたワイシャツを、見る。
今日は正孝が着せてくれたから、少ししわくちゃだ。
そのワイシャツの胸の辺りを、ぎゅううっと掴む。
「寂しい、のか?」
「……別に、そういう、わけじゃ」
「顔に出てんだよ。素直になれって。それくらい、家族なら普通だって言ったろ?」
唇を噛んで首を振ると、抱き寄せられる。肩を抱いてる体温に…そう、だな。と観念して、はぁと息を吐いた。
「…うん。さみしい」
「可愛いなぁお前は!」
正直に気持ちを吐き出して頷くと、にやりとした笑みを浮かべてじゃれついてくる。ぎゅうぎゅう抱擁される。
「でさ、夏空」
「ん?」
抱き付いてくる正孝が暑苦しくて、適当に押しのける。
ちょっとだけ真面目っぽくなった雰囲気に、顔を上げた。
「…もしあの執事が、…本当に桃井の執事になることを選んだら、さ」
「?うん」
「この前の続き、…しようぜ」
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