貴方は俺を愛せない

和泉奏

文字の大きさ
153 / 369
甘くて、痛くて、泣きたい

6






さっくんは、オレを家族として大切に思ってくれている。求めてくれている。

それは、泣きながら抱きしめられたときに、痛いほど伝わってきた。


(…だとしてもあんなに取り乱すなんて大袈裟すぎる気はするけど)


…けど、そうなってるのも、

今まで一緒にいた時間が誰よりも長いからで。

なんていうか、刷り込み…みたいなものなんじゃないだろうか。

産まれてはじめてみたものを親だと思い込む雛のように。

オレが最初に主人だったから、オレ以外を選んじゃいけないと思ってる気がする。


「…(…もし、)」


同じ時間を過去に桃井とさっくんが積み重ねていたとすれば、


……オレじゃなくて先に桃井と会っていれば、

一体、どうなってたんだろう。


「っ、」


さっくんが泣いてた理由。
あれが全部桃井のための涙だったんだと思うと、


(っ、ぃ゛だっ、)


ぎゅううと心臓を握り潰されるような痛みが襲う。

布団を握って、今すぐ逃げ出してしまいたい衝動に唇を噛みしめている

と、…後ろから布擦れの音がする。

…お腹に回された彼の腕によって軽く重みがかかったのと同時に、背中にその体温が触れる。

それから、


「…………っ、」


言葉もなく、ぎゅうっと後ろから抱きしめられた。

むきだしの首筋に息遣いのたびに吐息が触れてきて、小さく震える。

背中だけじゃなく、腰も、脚も…微かな動きさえも伝わってしまいそうなほどに密着する身体。

無意識に、息を潜めてしまう。

表情が見えないから余計にどう思ってるのかわからない。

どきんどきん、って触れてる背中全体に心臓があるみたいに緊張して、身体が強張る。


と、


「…そうですね」

「っ゛、」


静かに、ぽつりと肯定の意味の言葉を零され、呼吸が止まった。

さっくんに抱き竦められたまま、硬直する。
心臓がヒヤッて冷たくなって、手足まで一気に凍えた。


感想 15

あなたにおすすめの小説

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 【花言葉】 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです! 【異世界短編】単発ネタ殴り書き随時掲載。 ◻︎お付きくんは反社ボスから逃げ出したい!:お馬鹿主人公くんと傲慢ボス

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

美形な幼馴染のヤンデレ過ぎる執着愛

月夜の晩に
BL
愛が過ぎてヤンデレになった攻めくんの話。 ※ホラーです

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科 空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する 高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体 それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった 至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する 意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク” 消える教師 山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー

一度も話したことないイケメンのクラスメイトと二人組になったらめちゃくちゃ執着されてた

BL
「はい、じゃあ二人組作って」──あまり人付き合いが得意ではない夏稀(なつき)にとってそれは地獄の言葉。 けれど高校ではちがう。なぜなら新しくできた友達と『二人組』協定を結んだから。 もう二人組なんて怖くないと思っていた矢先、その友達が風邪で欠席。 ほかに組む相手が見つからず、先生と組むことも覚悟する夏稀だったが、そこで声をかけてきたのは美形の転校生──緒川聖夜(おがわ・きよや)だった。 「俺と二人組にならない?」 その一言をきっかけに聖夜は夏稀との距離を急速に縮めてきて──。 執着美形攻め×平凡受けのちょっと不穏な学園BL。 約九万字、全三十話+αの物語です。