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学校
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***
ホームルーム中の教室はなんだかいつもより真剣な空気で、さっきのことを追求されなくて楽だった。
というよりも、それどころじゃないようだった。
オレが遅れてきたことを咎めるよりも、厳かな表情で席に座ることを指示される。
蒼白、困惑ぎみな正孝と目が合い、どうしたんだろうと不思議に思う。
静かに自分の席に腰をおろすと、担任が「あー、」と咳払いしつつマイクを調整する時のように声を出した。
「休んでいた生徒もいるため、改めて状況を説明するが、」
普段ホームルーム中でも和やかな空気を崩さない担任のやけに重い声に居心地が悪い。
皆も集中して聞いているらしく、誰一人物音を出さない。
どうせ大した話じゃないのに、何をそんなに真剣になってるんだろうと話半分にそちらに注意を向けている と
「――先程も言った通り、宮永 涼の行方がわからなくなって3日経つ」
ぴた、と身体が石になったように固まる。
一瞬、何を言っているのか理解できなかった。
「……え…?」
呆けた声が唇から零れる。
今、なんて言った…?
”宮永 涼の、行方がわからなくなって”
(涼が、行方不明…?)
「何か情報があれば教えてほしい。最後に宮永を見たかもしれないと思う場所、時間、一緒にいた人物等。心あたりのあるものは後で言ってくれ」
「………」
担任の言葉が耳から入って処理できずに通り過ぎていく。
数分遅れてのろのろ、のろのろと脳が働き始める。
その後、いつもの何気ない連絡事項が伝えられていたが、背景のまま耳に入ってこない。
”ゆくえふめい”
”みっかたつ”
涼、涼が、いなくなって、三日…?
最後…、オレが、涼と会ったのって、
「……っ、ぁ、が…、な、に、これ、」
びり、と激しい雷が頭を感電させる。
身を恐怖で隅々まで汚して、潰す。
寒い。寒い。
苦しい。息が、苦しい。息ができない。
”っ、ふ、は、きもちいー?”
オレの上に乗って腰を振っていた 涼と、
おれ、オレ、は、オレ、オレは、オレが、オレは、何も、何、
、、、
「おい!夏空、!!!」
「……え、?」
大きく肩を揺さぶられ、脳がシェイクされた。
目を開けると正孝の怪訝そうな顔が見え、…ぁ…と小さく狭い気管支から息を漏らした。
…弱いけど、声が、出せる。
水分が全くない喉がパサつく。
今まさに長い眠りから目覚めたばかりのように世界が眩しくて、ぼんやりとした。
「どうした?まだ体調良くないんじゃねーの。帰るか?」
「…え、ぁ、いや、オレ、は…」
寒い。熱い。
乾燥しきった声を絞り出し、困惑する。
…今、オレなにしてた…?
「つーか、その猫早く追い出せよ。ついに学校の中にまで来やがった…」
「…ねこ…?、」
もふもふして良い匂いがすると思ったらいつの間にか膝の上に白い毛並みの美しい猫が伏せていた。
「どうして、」
家にいるはずなのに、と戸惑う。
けど、それ以上に
(…さっくんと、似てる匂い…)
凄く、安心する…。
今がどこで、何をしていたのかっていうことより、とにかく今はこの異常な感覚から逃れたかった。
「…寒、いんだ…」
別に今は真冬ってわけでもないのに。
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