貴方は俺を愛せない

和泉奏

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彼と私の秘密(桃井side)

7







昼間とは思えない、涼しい表情ではなく…夜を想わせる色気が滲む。


大丈夫だと囁きながら、震える私を安心させるように腕に抱いてくれた…私の望む言葉を全て与えてくれた、あの恐ろしくも幸福に満ちた空間を。

他の人たちには決して明かしてはならない、愛し合う2人にこれ以上ない深い繋がりができたと、心臓の鼓動がわかるほどに彼の胸に頬を寄せて。

お互いに見つめ合えばそうなるのが必然で、運命だと感じるような口づけを交わし、熱く求めあった

あの時間を、

………感覚までリアルに、鮮明に、思いださせてくれるのに、


「御身体の調子が悪いのでしたら、帰ってお休みになられた方が良いと思いますよ」


今目の前にいる彼は、違う。

一見、とても甘やかで優しい態度と声色なのに、

唇だけで笑いながら、ひどく脆くて危険な、ぞくっとするくらい魅力的な笑みを零す。

まるで、使い終わった道具を切り捨てるみたいに

……これほどまでに容赦なく、


「…だ、れの、せいだと、」

「誰のせいだと仰られるつもりですか?」

「それは、当然咲人の、せいに決まってるでしょ…っ、咲人が、そうしてほしいって、…っ、そうしたらもっと愛してくれるって、あいつを、私が、みや、」


喉の奥まで出かかった音に、ハッと我に返る。
それ以上の責めを、中途半端に堪えたせいで余計に感情が煮え立つ。

堪えて見上げれば、咲人が優美に目を細める。

ここはスーパーで、人目が多い。
誰が聞き耳をたてているのかわかったものじゃない。

(それを、わかってて…っ、)

咲人のことだから、わざと私を激昂させたのだとしか思えない。
口をすべらせかけてしまった。


「…騙してたの…?最初から、…っ、」


危うく、相手の思惑通りになるところだった。
知り合いが、同級生がいるかもしれない。

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