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彼と私の秘密(桃井side)
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昼間とは思えない、涼しい表情ではなく…夜を想わせる色気が滲む。
大丈夫だと囁きながら、震える私を安心させるように腕に抱いてくれた…私の望む言葉を全て与えてくれた、あの恐ろしくも幸福に満ちた空間を。
他の人たちには決して明かしてはならない、愛し合う2人にこれ以上ない深い繋がりができたと、心臓の鼓動がわかるほどに彼の胸に頬を寄せて。
お互いに見つめ合えばそうなるのが必然で、運命だと感じるような口づけを交わし、熱く求めあった
あの時間を、
………感覚までリアルに、鮮明に、思いださせてくれるのに、
「御身体の調子が悪いのでしたら、帰ってお休みになられた方が良いと思いますよ」
今目の前にいる彼は、違う。
一見、とても甘やかで優しい態度と声色なのに、
唇だけで笑いながら、ひどく脆くて危険な、ぞくっとするくらい魅力的な笑みを零す。
まるで、使い終わった道具を切り捨てるみたいに
……これほどまでに容赦なく、
「…だ、れの、せいだと、」
「誰のせいだと仰られるつもりですか?」
「それは、当然咲人の、せいに決まってるでしょ…っ、咲人が、そうしてほしいって、…っ、そうしたらもっと愛してくれるって、あいつを、私が、みや、」
喉の奥まで出かかった音に、ハッと我に返る。
それ以上の責めを、中途半端に堪えたせいで余計に感情が煮え立つ。
堪えて見上げれば、咲人が優美に目を細める。
ここはスーパーで、人目が多い。
誰が聞き耳をたてているのかわかったものじゃない。
(それを、わかってて…っ、)
咲人のことだから、わざと私を激昂させたのだとしか思えない。
口をすべらせかけてしまった。
「…騙してたの…?最初から、…っ、」
危うく、相手の思惑通りになるところだった。
知り合いが、同級生がいるかもしれない。
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