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花筏
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まるで、オレの反応が期待していたものと違ったみたいに。
まるで、とても罪深い過ちでも犯したみたいに。
失望したとでもいう雰囲気に、冷水をかけられた如く手足が凍え、胸を突かれて魂が裂けるような苦痛に駆られた。
「試して良かった」と安堵の吐息を漏らし、彼は視線を逸らした。
「…っ、なんの、話を、」
「夏空様も、本当はわかっているはずです。”これ”は、違うと」
わからない、何を言っているのか全然わからない。
首を横に振りたくても振れない身体に、今更恐怖が込み上げてきた。
「…っ、違う……?」
「だから、もう一度最初からやり直しましょう」
苦しくなり、心臓を鷲掴まれるような彼の眼差しに、応えることはできないくせに涙だけが溢れて止まらない。
(……違うって何?……『最初から』……?『やり直す』…?)
なんで、も。
どうやって、も相手には届かない。
「……次は、間違えない」
そう呟いた声音は、彼の瞳は暗く、ひどく真剣で。
今わからないと、何かが更に歪んでしまう。
1つ異なった歯車が更に物事を狂わせていくような、途方もない不安と既視感に慄く。
次って、何の話をしてるんだ。
オレ達が何を間違えたっていうんだ。
やり直すって何を?なんで?
最初っていつ?
何も違ってなんかないのに。
「…っ、オレ、さっくんが何言ってるか、わかんな、…っ、さっきから、…何を、話して、」
いつもはオレが怖いと思ったら、すぐに気づいて慰めてくれる。怖くないって、優しくあたたかな声をかけてよしよししてくれる。
なのに、今はそうしてくれない。
冗談ではなく、心底ぬいぐるみになった錯覚に陥った。
それに、何故か異常に眠たい。
今すぐにでも目が閉じてしまいそうなほどの睡魔に、これ以上抗うことはできそうになかった。
(………どう、して………)
”やり直す”も、
”今度”の意味も、
何もかも知らない。
オレを通して、別の誰かを見ている。
そう思わされる言葉を、彼は心酔し、熱に浮かされたように紡ぐ。
「今度は、誰にも邪魔されない」
無表情なのに、ひどく愛おしげに、
「俺と貴方の、正しい…理想の《夢》を」
全ての人を虜にするような表情で呟かれるその言葉を最後に、
オレの瞼は重く閉じられた。
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