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猫と少年のお遊戯
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「解放してあげてくれ」とさっくんに言って、その体勢のにゃんこを見ていられずに背中を向けた。
「……夏空様、」
「にゃんこは、偽物じゃない」
ぷいと顔を背けたまま、反論する。
……今のさっくんは怖いから、面と向かっては言えなかった。
「触れば体温もあるしふわふわしてるし、息もしてて、気持ちで表情も変わる」
……手がふれたときの感触を、…撫でられて擽ったそうに目を瞑っていた時の顔を、今でもはっきり覚えてる。
「さっくんの奇跡みたいな魔法のおかげで、にゃんこは生きてるんだ」
口にすると、なおさらに実感する。
…そうだ。偽物なんかじゃないし、紛い物でもなければ、ただの紙を動かしただけの無機物でもない。
自分で動いて考えて、感情が持ってる…立派な生命体だ。
「今まで存在しなかった生き物が、この世に生まれた。それだって、さっくんがすごいからなんだぞ。こんなに特別なことができるのは、誰よりも神様に愛されてる証拠だ」
にゃんこのことでさっきみたいな言い方をされると、さっくん自身もそれをする自分を貶している…価値のないものだと言っているようで嫌だ。
「皆に自慢できる才能なのに、…所詮紙だからとか、紛い物とか言わないでくれ」
どうやって動いてるのか難しいことはわからないけど、ちいさい頃からさっくんはこういうことができたらしい。
それは他の誰にも真似できない、見てる景色をキラキラした素敵な世界にできる…魔法みたいな現実だ。
……そうやって、どうでもいいことみたいに言わないでほしい。
「だめですよ、夏空様」
「……ぇ?」
囁くような声音と吐息が耳に触れ、後ろから身体に腕が回される。
「そうやって誰にでも無自覚に…有毒な甘い言葉を仰るのは、貴方の悪い癖です」
「……オレ、…変なこと、言った…?」
抱き竦められる体勢で、身動きを取れなくされた。
その状態で、オレの疑問に肯定を示す。
……耳元で話されるのが苦手ってわかってるくせに。
わざとそうしているのか、吐息が耳をかすめるたびに、びく、と小さく震えれば、笑みを零す気配がした。
(……怒ってる、…?)
抱き締められたままで顔を見なくても、声音や雰囲気、背中で感じる、伝わる感覚で、…この直感は間違っていないと察した。
「純粋で無垢で、お優しすぎるあまりに、わかっていらっしゃらないことが多すぎます」
「…っ、何を、わかってないんだ」さっくんの機嫌を損ねてしまったらしいことにびびりつつも、そんなことない、とふるふる首を横に振る。
「オレは、ただ凄いと思ったから、」無意識に乾く唇。それを懸命に動かし、心のままに言葉にする。
「さっくんだけの特別な魔法をみせてくれるおかげで、いつも楽しくて、世界がキラキラして、…それに、何よりも、みせてくれる時のさっくんが一番……、キラキラ輝いて見えて、」
自分の陳腐な言葉では、表現では足りないもどかしさに、…ぐ、と悔しくて唇を噛む。
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