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雪華(せつか)
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……
………………
焦げた硬いカラメルの層を主張しているクリームブリュレ。
その隅にフォークを刺しながら、ほんわりと緩みきった顔で笑う彼女から視線を逸らす。
「夏空は、咲人さんが好きなんだと思ってた」
「……男なんだから、そういう意味での好きになるわけないだろ」
誰かにも似たようなことを以前聞かれた気がして、ちょっといじけたような口調で否定してしまう。
お店の中央付近で抱き合うなんて、どうかしていた。
そのせいでかなり目立ってしまったし、今も若干注目を浴びている。
他のお客さんの視線を気にしつつも、それらの視線を気にせずに満面の笑みでデザートを食べている雪華を放って出ることもできずに待っていた。
…という状況でそんなことを言われて、今いる場所が外なこともあり、先程のこととは無関係にただでさえ外面用で比較的冷めた雰囲気を出してしまっているだろうところに、無意識に突き放した声になってしまったことに気づく。
さすがに良くないと反省する。心持ち態度をやわらげて謝れば、相手は気にも留めてない様子で首を振った。そんなことより、とでも言いたげに続けた。
「どうして?」
「……?」
「どうして、男だからって好きにならないの?」
純粋な子どもの疑問のように投げかけられた問いに、…顎を引く。
「どうして、って…」そう言ってたから、となぜかその名前を口に出すのは躊躇われて、言い淀んだ。
「咲人さんほどの人なら、夏空が好きになるのも仕方ないと思ってたけど、……誤解だったみたいだし、………夏空は私のことが…好き、なんだもんね?」と、最後の一言に至っては何度も言葉を選ぶように口を開いたり閉じたりしながら、恥ずかしそうにはにかむ。ついでに肩元まで伸びた毛先を指でくるくる巻くようにして遊んでいた。
「これ、買ってくれた理由が判明しちゃった」
その笑顔には、嬉しさが溢れ出し、心の奥から湧き上がる感情が表情に表れる。
手首には、淡いピンク色のブレスレットがほんのりとした艶を放っていた。
彼女の期待をのぞかせた熱い眼差しは、まるで手首に宿る特別な意味を探るようにじっとオレのその部位に注がれる。
言うまでもなく、その視線の先にも同様の色違いが嵌められている。
先程雪華に連れられるままに入店した高級ジュエリーの専門店で買ったペアだ。
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