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隣の短大生 1
夕食後、ミツルは、出版社のサイトにあった、新人賞の最終候補を発表するコーナーを眺め、憮然としてノートパソコンの画面をにらみつけていた。
ミステリー系のこの賞は、予選通過者たちのペンネームがいっぺんに発表される。一次選考通過した者の名前は細字、二次通過した者の名前は太字で一覧表に載る。そして最終候補に残った四人の名前だけは、太字で載った上で、さらに別枠の〔最終候補者〕でもっと大きく紹介される。
ミツルのペンネームである小木田十は、太字で表示されていたが、最終候補者の中には入っていなかった。
二次予選通過者は十二人。ミツルは「きっと五番目だったんだ」と自分に言い聞かせるようにつぶやいた。十二人の中ではもっと高評価だったが、惜しくもぎりぎり最終候補には入らなかったのだと思うことにした。
これでもう、何連敗だろうか。最近は必ず予選通過しているのだが、なぜか最終候補には届かない。これが今の実力ということか……。
簡単にあきらめる気にはならなかった。書き続けていれば何とかなるはず。
超有名な売れっ子作家さんたちの中にも、過去には十年ぐらい落選が続いたという人だっている。この程度であきらめてたまるかと思う。
しかし、ミステリーやホラーというジャンルについては見直した方がいいのかもしれない。読むのが好きだからといって、書き手として向いているとは限らない。
青春小説、時代小説、児童小説、SFなど、他にもジャンルはある。
違う方向性を考えてみるか……。
そのとき、ドアチャイムが鳴り、それからアパートのドアが控えめに叩かれる音がした。
誰だ、こんな時間に。ミツルがドアに近づいて「はい」と応じると、外から「すみません、隣の者なんですけど……」という、弱々しい女性の声がした。
のぞき窓から様子を窺うと、その女性は背を向けて手すりをつかんでいた。小柄な女性のようだった。
ロックを解除して少しだけドアを開けると、ピンク地のTシャツに黒いハーフパンツという格好の女の子が振り返った。身長は百五十もなさそうで、小学校高学年か中学生ぐらいに見えたので、少し戸惑った。
そしてその女の子は顔色が悪く、立っているのもつらそうだった。
「どうしたの?」と尋ねると、彼女は「ちょっと偏頭痛がひどくて……」と言った。
「それは大変だ。頭痛薬とか持ってる? 申し訳ないんだけど、ボクのところにはなくって……」
「あの、こんな厚かましいお願いをして申し訳ないんですが、頭痛がひどくてちょっと動けないんで、頭痛薬、買って来てもらうわけにいかないでしょうか」
詐病には見えなかった。顔をしかめて、彼女は「ううっ……」と片手を側頭部に当ててうつむいた。本当につらそうだ。
「判った。すぐに買って来るから、自分の部屋で横になって待ってて」
「はい、すみません……」
しかし隣の部屋に戻ろうとした彼女はふらついていていたので、ミツルは「あ、ちょっと待って。部屋まで送るから」とサンダルをつっかけた。
ママチャリで、深夜まで営業しているドラッグストアに行き、彼女が指定した頭痛薬をカゴに入れた。
ついでにレトルトパックの梅がゆと、エナジーゼリーも二つずつ、買うことにした。頭痛がひどいときは調理なんかできないだろう。でも何かおなかには入れた方がいい。
急いで戻り、隣の部屋をノックしたが応答がなかった。返事をしたけれど、弱々しくてここまで届いていないのかもしれない。
ドアノブをひねると、ロックされていなかったので、中に入った。
ミツルの部屋より、エアコンの設定温度が少し高いようだった。
彼女は、ミツルがさきほど寝かせた、シングルベッドの上で、何やらうなりながら丸くなっていた。照明はついたまま。
ミツルは「買って来たよ。水も用意するね」と言い、シンクの洗い物カゴにあったコップに水を入れ、頭痛薬の箱にあった一回の容量である二錠を手のひらの上に出し、彼女に「起きられる?」と声をかけた。
彼女は「はい……」と答えて何とかベッドわきに座り直した。ミツルから頭痛薬と水が入ったコップを受け取り、「すみません……」と消え入りそうな声で言った。
頭痛薬を水と共に飲み下す彼女の喉が、ごくんという音と共に波打った。
ミップを受け取りながらミツルが「大丈夫?」と尋ねると、彼女は「はい。これを飲んだら、いつもよくなりますから」と言い。再びベッドの上で横になった。
ミツルは「お大事に」と声をかけ、コップと共に梅がゆやエナジーゼリーもシンク横の調理台に置いて、部屋を出た。
鍵をかけないままで大丈夫だろうかと、ちょっと心配になったが、しばらく経って頭痛がマシになったら自分でロックするだろうと思い直した。
自分の部屋に戻った後、缶酎ハイを飲みながら、隣人の女子のことを考えた。
彼女が引っ越して来たのは、今年の春のはずだ。ミツルが帰宅したとき、郵便受けに新品のタオルが入っていて、〔隣に引っ越して来た者です。よろしくお願いします。〕というメモが添えられていた。
その後、顔を合わせる機会は何度かあったが、実際に会うのはさっきが初めてだった。
コーポやアパートで一人暮らしをしている人間というのは、隣のドアが開閉する音が聞こえたら、足音が遠ざかるのを待ってドアを開けるものだ。いちいちあいさつをするのも面倒だし、他人に顔を覚えられてろくなことはない。
それにしても、あんな子が一人暮らしをしているとは。何か事情でもあるのだろうか。
ローティーンかミドルティーンに見えたが、実際はもう少し上ってことだろうか。男女を問わず、幼く見られてしまう童顔の人は、ときどきいる。実際には大学生とか専門学校生とか、そういうことなのかもしれない。
彼女の頭痛がよくなりますように。ミツルは心の中で祈った。
彼女は翌朝、ドアチャイムを鳴らして、「昨夜はどうもありがとうございました。お陰で助かりました。後であらためてお礼に伺いますから」を言ってくれたが、顔色はまだ今ひとつで、完全回復という感じではなかった。
「まだ続いてるの? 頭痛」
「だいぶましになりましたけど、まだちょっと……。でも、もう一回薬を飲めば、夕方ぐらいにはだいぶよくなると思います。これまでたいがい、そうでしたから」
「頭痛、ちょいちょいあるの?」
「昨夜みたいなのは年に二回か三回ぐらいです。ただ、昨夜は買い置きがなくなってるこちに気づいて、やばいって思ったときにはもう、買いに行ける状況じゃなくて」
ミツルは「そう。大変だね」とうなずきながら、ぶしつけな感じにならないよう気をつけて、彼女を見返した。
ショートボブの髪、まだ成長過程という感じの幼さと女性っぽさが混ざったような体型、そして幼い顔。見れば見るほど、やっぱりローテーンに思えてしまう。
彼女はいったん部屋に戻った後、すぐにまたチャイムを鳴らした。
「あの、気づかなかったんですけど、おかゆとか、ゼリーとか……」
「気にしなくていいよ。ああいうものなら頭痛でも食べられるかなって、余計なお節介を焼いただけのことだから」
彼女はなぜか目をうるうるさせながら「ありがとうございました」とあらためて頭を下げた。
何だか泣かせたみたいで、ミツルの方はちょっと居心地が悪かった。
その日の夕方、再び礼を言いに来た彼女は、かなり頭痛も治まったようで、晴れやかな表情だった。
「何度も来てすみません。本当にありがとうございました。これ、少ないんですけど」
そう言って封筒を差し出すので、受け取ってみると中には一万円札が入っていた。
ミツルは「いやいや、これはもらいすぎだよ」と封筒を押し返した。
「でも、それぐらいのことはしていただいたと思ってますから」
「一人暮らしなんてしょ。おカネはもっと大切にしなきゃ」
「細かいの、持ち合わせがないんです」
「スーパーかコンビニに行ったときに、弁当でも買って来てくれたらそれでいいよ」
彼女は人さし指をあごに当てて「うーん」と困ったような顔になってから、「今夜、ちらし寿司でも作ろうかなって思ってるですけど、いかがですか?」と言った。
彼女か作ってくれたちらし寿司は、錦糸玉子、穴子、スモークサーモン、いんげん、枝豆などが載っていて、彩りが素敵で、箸が止まらない旨さだった。
緑茶も出してくれていたけれど、ビールか缶酎ハイを飲みながらだと、さらに旨いだろうなと思った。
すると、まるで心の内を読んだかのように、彼女は「お酒、うちにはないんですけど、よかったら持って来てください」と笑って言った。「何となく、そんな顔してますよ」
お言葉に甘えて、自室に戻って缶酎ハイを手に戻って来た。
彼女から「私、未成年で飲んだことないんですけど、美味しいんですか?」と聞かれ、「まあ、人それぞれだけどね。ボクは夕食時と寝る前に飲むのがささやかな楽しみで」と答えた。
食べながら、互いの話をした。彼女は音海サキという名前で、短大の保育科一年生だった。子どもが好きなので保育士を目指しているという。
「昨夜会ったとき、小六か中一ぐらいの女の子だと思って、ちょっとビビったよー」
「はい、よくそれぐらいに見られがちで。でもちゃんと普通免許も今年の春に取ったんですよ」
彼女はそう言って、ポーチから免許証を出して見せてくれた。
何と、彼女は十八歳だった。
ミツルの方も、以前はサラリーマンだったが今は作家を目指してアルバイト生活をしていること、予選は通過いるがまだ最終選考に残れていないことなどを話した。初対面の相手にそんな話をするのはどうかと、ちょっと思ったが、部屋に招いてごちそうまでしてくれた相手でもあり、ちょっと気を引きたかった、という事情もあった。
するとサキちゃんは、「えーっ、作家だなんてすごいじゃないですかー。どんなのを書いてるんですか」と食いついてきた。
ミツルは、予選通過したいくつかの作品のあらすじをざっくり話した上で、「まだ最終選考にも残っていないから、すごくも何ともないよ」と言った。実際、その程度のことは自慢にはならない。なのに調子に乗っていろいろしゃべってしまった。ミツルは軽い自己嫌悪にかられた。これ以上、小説の話はやめておこう。
ちらし寿司も缶酎ハイもたちまちなくなり、ミツルが壁にかかっている時計に目をやると、サキちゃんは「まだ帰らないでくださいよ。ちょっと待っててね」と席を立った。
そして、小鉢に盛られたポテトサラダを持って来てくれた。キュウリやハムが入っていて、上に黒こしょうがかかっていた。プチトマトも添えられている。
ミツルはもう一度自室から、二本目の缶酎ハイを持ってくることになった。
話をするうち、サキちゃん、ミツルさん、と呼ぶようになっていた。
「サキちゃん、見た目より若く見られて苦労することとか、あるんじゃない?」
「ありますねー。セールスの人が来たときは、お母さんいる? って言われるし、夜のコンビニ帰りのときなんか、今まで三回も私服の警察の人から呼び止められて年齢聞かれたし。青少年課っていう部署の人でしたっけ」
ミツルは「ふーん、それは大変だね」と同情する態度でうなずきながら、心の中では。そりゃそうだろうと思った。
異変を感じたのは。トイレを借りて戻って来たときだった。サキちゃんが赤い顔をして、「でへへへ」と笑っている。座卓の上の缶酎ハイを持つと、空になっていた。二本目はまだ半分ぐらい残っていたはずだ。
「あーあー、サキちゃん、これ飲んじゃったの?」
「ごめんなさい、飲んだらどんな感じになるかなって、興味が湧いちゃって」
それからは「ダメだよぉ」「ごめんらさい」「もう帰るからね」「らめっ、食べてすぐ帰るのは失礼れす」などと言い合い、サキちゃんが横に寝転んでしまったので、ミツルはベッドに運ぶことにした。
サキちゃんから首に両腕を回され、お姫様抱っこをして、そっとベッドに下ろす。
するとサキちゃんは「でへへへーっ」と笑ってミツルの胴体を両足ではさみ、頭をつかんでキスをしてきた。
サキちゃんの舌が新入してきて。互いに舌を絡ませ合った。
こんな幼い子とんなことをやってる――その事実に、ミツルのものはたちまちカチンカチンに膨張した。
サキちゃんはミツルの上にまたがり、自らTシャツを脱いだ。下には白いスポーツブラ。よく見ると乳首の部分がほんの少し浮いている。
ミツルは我慢できず、下からスポーツブラをせり上げて脱がせた。
控えめな、発達途中という感じのおっぱい。大人が見てはいけないものを見ているような罪悪感に囚われてしまう。
ミツルはサキちゃんから服を脱がされ、たちまち全裸になった。
サキちゃんはミツルのものを握ってゆっくりと手コキを始めた。ためらいのない行動に、ちょっと引いた。彼女は予想外に、男性経験があるようだった。
それでも、どう見ても小六か中一ぐらいにしか見えない裸の女児から手コキをされていることは確かで、ミツルは背徳的な快感が急上昇して、たちまち爆発しそうになった。
ミツルが「ああっ、サキちゃん、出そう……」と漏らすと、サキちゃん「まだダーメ」と言い、ミツルのものを軽くはたいた。
再びの手コキが始まったとき、ミツルは手を伸ばしてサキちゃんのおっぱいに触れた。女子の、発達途中のおっぱい。触ってはいけないものを触っている。
ミツルはとうとう、「あああっ」という声と共に白濁した液を飛ばした。その液は、思ったより高く飛んで、ミツルのおなかに落ちた。
サキちゃんは、ミツルのおなかをティッシュでぬぐってくれた。そして、「こんなので頭痛薬のお礼になってるかな」と笑い、お掃除フェラもしてくれた。
ミツルは全身に鳥肌が立つ思いで、サキちゃんがぺろぺろする様子を眺めていた。この時間がずっと続けばいいのに、と心の中でつぶやきながら。
ミステリー系のこの賞は、予選通過者たちのペンネームがいっぺんに発表される。一次選考通過した者の名前は細字、二次通過した者の名前は太字で一覧表に載る。そして最終候補に残った四人の名前だけは、太字で載った上で、さらに別枠の〔最終候補者〕でもっと大きく紹介される。
ミツルのペンネームである小木田十は、太字で表示されていたが、最終候補者の中には入っていなかった。
二次予選通過者は十二人。ミツルは「きっと五番目だったんだ」と自分に言い聞かせるようにつぶやいた。十二人の中ではもっと高評価だったが、惜しくもぎりぎり最終候補には入らなかったのだと思うことにした。
これでもう、何連敗だろうか。最近は必ず予選通過しているのだが、なぜか最終候補には届かない。これが今の実力ということか……。
簡単にあきらめる気にはならなかった。書き続けていれば何とかなるはず。
超有名な売れっ子作家さんたちの中にも、過去には十年ぐらい落選が続いたという人だっている。この程度であきらめてたまるかと思う。
しかし、ミステリーやホラーというジャンルについては見直した方がいいのかもしれない。読むのが好きだからといって、書き手として向いているとは限らない。
青春小説、時代小説、児童小説、SFなど、他にもジャンルはある。
違う方向性を考えてみるか……。
そのとき、ドアチャイムが鳴り、それからアパートのドアが控えめに叩かれる音がした。
誰だ、こんな時間に。ミツルがドアに近づいて「はい」と応じると、外から「すみません、隣の者なんですけど……」という、弱々しい女性の声がした。
のぞき窓から様子を窺うと、その女性は背を向けて手すりをつかんでいた。小柄な女性のようだった。
ロックを解除して少しだけドアを開けると、ピンク地のTシャツに黒いハーフパンツという格好の女の子が振り返った。身長は百五十もなさそうで、小学校高学年か中学生ぐらいに見えたので、少し戸惑った。
そしてその女の子は顔色が悪く、立っているのもつらそうだった。
「どうしたの?」と尋ねると、彼女は「ちょっと偏頭痛がひどくて……」と言った。
「それは大変だ。頭痛薬とか持ってる? 申し訳ないんだけど、ボクのところにはなくって……」
「あの、こんな厚かましいお願いをして申し訳ないんですが、頭痛がひどくてちょっと動けないんで、頭痛薬、買って来てもらうわけにいかないでしょうか」
詐病には見えなかった。顔をしかめて、彼女は「ううっ……」と片手を側頭部に当ててうつむいた。本当につらそうだ。
「判った。すぐに買って来るから、自分の部屋で横になって待ってて」
「はい、すみません……」
しかし隣の部屋に戻ろうとした彼女はふらついていていたので、ミツルは「あ、ちょっと待って。部屋まで送るから」とサンダルをつっかけた。
ママチャリで、深夜まで営業しているドラッグストアに行き、彼女が指定した頭痛薬をカゴに入れた。
ついでにレトルトパックの梅がゆと、エナジーゼリーも二つずつ、買うことにした。頭痛がひどいときは調理なんかできないだろう。でも何かおなかには入れた方がいい。
急いで戻り、隣の部屋をノックしたが応答がなかった。返事をしたけれど、弱々しくてここまで届いていないのかもしれない。
ドアノブをひねると、ロックされていなかったので、中に入った。
ミツルの部屋より、エアコンの設定温度が少し高いようだった。
彼女は、ミツルがさきほど寝かせた、シングルベッドの上で、何やらうなりながら丸くなっていた。照明はついたまま。
ミツルは「買って来たよ。水も用意するね」と言い、シンクの洗い物カゴにあったコップに水を入れ、頭痛薬の箱にあった一回の容量である二錠を手のひらの上に出し、彼女に「起きられる?」と声をかけた。
彼女は「はい……」と答えて何とかベッドわきに座り直した。ミツルから頭痛薬と水が入ったコップを受け取り、「すみません……」と消え入りそうな声で言った。
頭痛薬を水と共に飲み下す彼女の喉が、ごくんという音と共に波打った。
ミップを受け取りながらミツルが「大丈夫?」と尋ねると、彼女は「はい。これを飲んだら、いつもよくなりますから」と言い。再びベッドの上で横になった。
ミツルは「お大事に」と声をかけ、コップと共に梅がゆやエナジーゼリーもシンク横の調理台に置いて、部屋を出た。
鍵をかけないままで大丈夫だろうかと、ちょっと心配になったが、しばらく経って頭痛がマシになったら自分でロックするだろうと思い直した。
自分の部屋に戻った後、缶酎ハイを飲みながら、隣人の女子のことを考えた。
彼女が引っ越して来たのは、今年の春のはずだ。ミツルが帰宅したとき、郵便受けに新品のタオルが入っていて、〔隣に引っ越して来た者です。よろしくお願いします。〕というメモが添えられていた。
その後、顔を合わせる機会は何度かあったが、実際に会うのはさっきが初めてだった。
コーポやアパートで一人暮らしをしている人間というのは、隣のドアが開閉する音が聞こえたら、足音が遠ざかるのを待ってドアを開けるものだ。いちいちあいさつをするのも面倒だし、他人に顔を覚えられてろくなことはない。
それにしても、あんな子が一人暮らしをしているとは。何か事情でもあるのだろうか。
ローティーンかミドルティーンに見えたが、実際はもう少し上ってことだろうか。男女を問わず、幼く見られてしまう童顔の人は、ときどきいる。実際には大学生とか専門学校生とか、そういうことなのかもしれない。
彼女の頭痛がよくなりますように。ミツルは心の中で祈った。
彼女は翌朝、ドアチャイムを鳴らして、「昨夜はどうもありがとうございました。お陰で助かりました。後であらためてお礼に伺いますから」を言ってくれたが、顔色はまだ今ひとつで、完全回復という感じではなかった。
「まだ続いてるの? 頭痛」
「だいぶましになりましたけど、まだちょっと……。でも、もう一回薬を飲めば、夕方ぐらいにはだいぶよくなると思います。これまでたいがい、そうでしたから」
「頭痛、ちょいちょいあるの?」
「昨夜みたいなのは年に二回か三回ぐらいです。ただ、昨夜は買い置きがなくなってるこちに気づいて、やばいって思ったときにはもう、買いに行ける状況じゃなくて」
ミツルは「そう。大変だね」とうなずきながら、ぶしつけな感じにならないよう気をつけて、彼女を見返した。
ショートボブの髪、まだ成長過程という感じの幼さと女性っぽさが混ざったような体型、そして幼い顔。見れば見るほど、やっぱりローテーンに思えてしまう。
彼女はいったん部屋に戻った後、すぐにまたチャイムを鳴らした。
「あの、気づかなかったんですけど、おかゆとか、ゼリーとか……」
「気にしなくていいよ。ああいうものなら頭痛でも食べられるかなって、余計なお節介を焼いただけのことだから」
彼女はなぜか目をうるうるさせながら「ありがとうございました」とあらためて頭を下げた。
何だか泣かせたみたいで、ミツルの方はちょっと居心地が悪かった。
その日の夕方、再び礼を言いに来た彼女は、かなり頭痛も治まったようで、晴れやかな表情だった。
「何度も来てすみません。本当にありがとうございました。これ、少ないんですけど」
そう言って封筒を差し出すので、受け取ってみると中には一万円札が入っていた。
ミツルは「いやいや、これはもらいすぎだよ」と封筒を押し返した。
「でも、それぐらいのことはしていただいたと思ってますから」
「一人暮らしなんてしょ。おカネはもっと大切にしなきゃ」
「細かいの、持ち合わせがないんです」
「スーパーかコンビニに行ったときに、弁当でも買って来てくれたらそれでいいよ」
彼女は人さし指をあごに当てて「うーん」と困ったような顔になってから、「今夜、ちらし寿司でも作ろうかなって思ってるですけど、いかがですか?」と言った。
彼女か作ってくれたちらし寿司は、錦糸玉子、穴子、スモークサーモン、いんげん、枝豆などが載っていて、彩りが素敵で、箸が止まらない旨さだった。
緑茶も出してくれていたけれど、ビールか缶酎ハイを飲みながらだと、さらに旨いだろうなと思った。
すると、まるで心の内を読んだかのように、彼女は「お酒、うちにはないんですけど、よかったら持って来てください」と笑って言った。「何となく、そんな顔してますよ」
お言葉に甘えて、自室に戻って缶酎ハイを手に戻って来た。
彼女から「私、未成年で飲んだことないんですけど、美味しいんですか?」と聞かれ、「まあ、人それぞれだけどね。ボクは夕食時と寝る前に飲むのがささやかな楽しみで」と答えた。
食べながら、互いの話をした。彼女は音海サキという名前で、短大の保育科一年生だった。子どもが好きなので保育士を目指しているという。
「昨夜会ったとき、小六か中一ぐらいの女の子だと思って、ちょっとビビったよー」
「はい、よくそれぐらいに見られがちで。でもちゃんと普通免許も今年の春に取ったんですよ」
彼女はそう言って、ポーチから免許証を出して見せてくれた。
何と、彼女は十八歳だった。
ミツルの方も、以前はサラリーマンだったが今は作家を目指してアルバイト生活をしていること、予選は通過いるがまだ最終選考に残れていないことなどを話した。初対面の相手にそんな話をするのはどうかと、ちょっと思ったが、部屋に招いてごちそうまでしてくれた相手でもあり、ちょっと気を引きたかった、という事情もあった。
するとサキちゃんは、「えーっ、作家だなんてすごいじゃないですかー。どんなのを書いてるんですか」と食いついてきた。
ミツルは、予選通過したいくつかの作品のあらすじをざっくり話した上で、「まだ最終選考にも残っていないから、すごくも何ともないよ」と言った。実際、その程度のことは自慢にはならない。なのに調子に乗っていろいろしゃべってしまった。ミツルは軽い自己嫌悪にかられた。これ以上、小説の話はやめておこう。
ちらし寿司も缶酎ハイもたちまちなくなり、ミツルが壁にかかっている時計に目をやると、サキちゃんは「まだ帰らないでくださいよ。ちょっと待っててね」と席を立った。
そして、小鉢に盛られたポテトサラダを持って来てくれた。キュウリやハムが入っていて、上に黒こしょうがかかっていた。プチトマトも添えられている。
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「サキちゃん、見た目より若く見られて苦労することとか、あるんじゃない?」
「ありますねー。セールスの人が来たときは、お母さんいる? って言われるし、夜のコンビニ帰りのときなんか、今まで三回も私服の警察の人から呼び止められて年齢聞かれたし。青少年課っていう部署の人でしたっけ」
ミツルは「ふーん、それは大変だね」と同情する態度でうなずきながら、心の中では。そりゃそうだろうと思った。
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「ごめんなさい、飲んだらどんな感じになるかなって、興味が湧いちゃって」
それからは「ダメだよぉ」「ごめんらさい」「もう帰るからね」「らめっ、食べてすぐ帰るのは失礼れす」などと言い合い、サキちゃんが横に寝転んでしまったので、ミツルはベッドに運ぶことにした。
サキちゃんから首に両腕を回され、お姫様抱っこをして、そっとベッドに下ろす。
するとサキちゃんは「でへへへーっ」と笑ってミツルの胴体を両足ではさみ、頭をつかんでキスをしてきた。
サキちゃんの舌が新入してきて。互いに舌を絡ませ合った。
こんな幼い子とんなことをやってる――その事実に、ミツルのものはたちまちカチンカチンに膨張した。
サキちゃんはミツルの上にまたがり、自らTシャツを脱いだ。下には白いスポーツブラ。よく見ると乳首の部分がほんの少し浮いている。
ミツルは我慢できず、下からスポーツブラをせり上げて脱がせた。
控えめな、発達途中という感じのおっぱい。大人が見てはいけないものを見ているような罪悪感に囚われてしまう。
ミツルはサキちゃんから服を脱がされ、たちまち全裸になった。
サキちゃんはミツルのものを握ってゆっくりと手コキを始めた。ためらいのない行動に、ちょっと引いた。彼女は予想外に、男性経験があるようだった。
それでも、どう見ても小六か中一ぐらいにしか見えない裸の女児から手コキをされていることは確かで、ミツルは背徳的な快感が急上昇して、たちまち爆発しそうになった。
ミツルが「ああっ、サキちゃん、出そう……」と漏らすと、サキちゃん「まだダーメ」と言い、ミツルのものを軽くはたいた。
再びの手コキが始まったとき、ミツルは手を伸ばしてサキちゃんのおっぱいに触れた。女子の、発達途中のおっぱい。触ってはいけないものを触っている。
ミツルはとうとう、「あああっ」という声と共に白濁した液を飛ばした。その液は、思ったより高く飛んで、ミツルのおなかに落ちた。
サキちゃんは、ミツルのおなかをティッシュでぬぐってくれた。そして、「こんなので頭痛薬のお礼になってるかな」と笑い、お掃除フェラもしてくれた。
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