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第十話『乙女心がわからない!? 詩織と千雪のすれ違い!』
その2 鈍感少女と繊細乙女
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★魔闘少女ハーツ・ラバーズ!
第十話『乙女心がわからない!? 詩織と千雪のすれ違い!』
その2 鈍感少女と繊細乙女
teller:河本 詩織
「詩織ちゃんってさあ」
それは、ある日のこと。
何となく部活帰りに秘密基地の様子を見に行ったら、秋風さんがソファにだらしなくその身を投げ出していて。
随分と無防備だと呆れそうになって、小枝くんの常日頃の心労を色々と察してしまった。
こずえも愛歌もいないようだったし、秋風さんと何をどう話したらいいのかも良くわからなかったから挨拶もそこそこに帰ろうとした頃、その秋風さんに声をかけられた。
「何ですか?」
秋風さんが、不思議そうに私を見つめている。
あまりにも射貫くようにこちらを見つめてくるから、そのアメジストを思わせる綺麗な紫色の瞳に吸い込まれそうになる。
秋風さんは、小首を傾げる。
その些細な仕草ですら様になっているんだから、美人はずるい。
「芹沢くんのこと良く見てるけど、何で?」
――突然。
突然、爆弾を投下されてしまった。
秋風さんの放った爆弾はいとも簡単に、私の鼓膜をぶち破り、脳を破壊してくる。
使い物にならなくなった私は、汗をだらだら流しながら、ひたすらに赤面することしかできない。
そういうのに疎くて鈍い秋風さんにまで、私が芹沢くんに夢中になっていると見抜かれているなんて。
一体、普段の私はどれだけわかりやすいんだろうか。
「な、なななななな…………」
喉がカラカラに渇く。
上手く言葉が出て来ない。
馬鹿だ、私。
これじゃあ、顔に『彼が好きです』と書いてあるような物じゃないか。
「芹沢くんと、友達になりたいの?」
しかし、秋風さんの口から出て来たのは予想斜め上の言葉。
――良かった、この人すっごく鈍い。
いや、良かったのかな?
いっそバレてた方が楽なんじゃない?
そこで適当に相槌を打っておけば場を丸く収められると、頭ではわかっていた。
だけど、私の中のどこか乙女な部分が、芹沢くんと『ただのお友達』カテゴリで終わることを全力で拒否していて。
「……そんなんじゃないです」
秋風さんから顔を逸らして、俯きがちになって。
素っ気なくそんな言葉を返してしまう。
感じが悪いと思われるかもしれないけど、今の私にはそうすることしかできなかった。
でも、そんな私に秋風さんは悪意のない純粋な言葉をぶつけてきて。
「でも、芹沢くんを見てる時の詩織ちゃん凄く可愛いから」
「か、可愛くないですっ!!」
つい、怒鳴ってしまった。
気付けば、私は顔を上げていて、秋風さんを睨むような形になっていて。
やってしまってから、はっとする。
どうして私はこう、芹沢くんが絡むと感情的になってしまうんだろう。
「……可愛くないです……」
二回目。
二回目の言葉は、小さく。
自分を落ち着けるように言ったそれに、秋風さんはきょとんとしていた。
「……怒鳴って、ごめんなさい」
「いや、別に気にしてないけど……私、何か気に障ること言っちゃった?」
これ以上は駄目だと思った。
これ以上この人と話すと、悪い意味で色々とボロが出てしまう。
屈託の無い秋風さんだからこそ、素で芹沢くんへの気持ちを指摘されるのが怖い。
私は何をこんなに恐れているんだろう。
こずえに話を聞いてもらった時は平気だった。
愛歌にやり過ぎた応援をされた時は平気じゃなかった。
自分でも、その境界線がわからない。
でも、自分のこの想いが非常にデリケートな物だということはわかった。
「と、とにかく……私と芹沢くんのことは、放っておいてください!!」
叫ぶように言って、その場から走り去る。
私はいつも逃げてばかりだ。
芹沢くんからも、自分の気持ちからも。
こんな自分を直したいのに、壊したくてハーツ・ラバーになったはずなのに。
なかなかすぐには、うまくいかないようだった。
第十話『乙女心がわからない!? 詩織と千雪のすれ違い!』
その2 鈍感少女と繊細乙女
teller:河本 詩織
「詩織ちゃんってさあ」
それは、ある日のこと。
何となく部活帰りに秘密基地の様子を見に行ったら、秋風さんがソファにだらしなくその身を投げ出していて。
随分と無防備だと呆れそうになって、小枝くんの常日頃の心労を色々と察してしまった。
こずえも愛歌もいないようだったし、秋風さんと何をどう話したらいいのかも良くわからなかったから挨拶もそこそこに帰ろうとした頃、その秋風さんに声をかけられた。
「何ですか?」
秋風さんが、不思議そうに私を見つめている。
あまりにも射貫くようにこちらを見つめてくるから、そのアメジストを思わせる綺麗な紫色の瞳に吸い込まれそうになる。
秋風さんは、小首を傾げる。
その些細な仕草ですら様になっているんだから、美人はずるい。
「芹沢くんのこと良く見てるけど、何で?」
――突然。
突然、爆弾を投下されてしまった。
秋風さんの放った爆弾はいとも簡単に、私の鼓膜をぶち破り、脳を破壊してくる。
使い物にならなくなった私は、汗をだらだら流しながら、ひたすらに赤面することしかできない。
そういうのに疎くて鈍い秋風さんにまで、私が芹沢くんに夢中になっていると見抜かれているなんて。
一体、普段の私はどれだけわかりやすいんだろうか。
「な、なななななな…………」
喉がカラカラに渇く。
上手く言葉が出て来ない。
馬鹿だ、私。
これじゃあ、顔に『彼が好きです』と書いてあるような物じゃないか。
「芹沢くんと、友達になりたいの?」
しかし、秋風さんの口から出て来たのは予想斜め上の言葉。
――良かった、この人すっごく鈍い。
いや、良かったのかな?
いっそバレてた方が楽なんじゃない?
そこで適当に相槌を打っておけば場を丸く収められると、頭ではわかっていた。
だけど、私の中のどこか乙女な部分が、芹沢くんと『ただのお友達』カテゴリで終わることを全力で拒否していて。
「……そんなんじゃないです」
秋風さんから顔を逸らして、俯きがちになって。
素っ気なくそんな言葉を返してしまう。
感じが悪いと思われるかもしれないけど、今の私にはそうすることしかできなかった。
でも、そんな私に秋風さんは悪意のない純粋な言葉をぶつけてきて。
「でも、芹沢くんを見てる時の詩織ちゃん凄く可愛いから」
「か、可愛くないですっ!!」
つい、怒鳴ってしまった。
気付けば、私は顔を上げていて、秋風さんを睨むような形になっていて。
やってしまってから、はっとする。
どうして私はこう、芹沢くんが絡むと感情的になってしまうんだろう。
「……可愛くないです……」
二回目。
二回目の言葉は、小さく。
自分を落ち着けるように言ったそれに、秋風さんはきょとんとしていた。
「……怒鳴って、ごめんなさい」
「いや、別に気にしてないけど……私、何か気に障ること言っちゃった?」
これ以上は駄目だと思った。
これ以上この人と話すと、悪い意味で色々とボロが出てしまう。
屈託の無い秋風さんだからこそ、素で芹沢くんへの気持ちを指摘されるのが怖い。
私は何をこんなに恐れているんだろう。
こずえに話を聞いてもらった時は平気だった。
愛歌にやり過ぎた応援をされた時は平気じゃなかった。
自分でも、その境界線がわからない。
でも、自分のこの想いが非常にデリケートな物だということはわかった。
「と、とにかく……私と芹沢くんのことは、放っておいてください!!」
叫ぶように言って、その場から走り去る。
私はいつも逃げてばかりだ。
芹沢くんからも、自分の気持ちからも。
こんな自分を直したいのに、壊したくてハーツ・ラバーになったはずなのに。
なかなかすぐには、うまくいかないようだった。
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