魔闘少女ハーツ・ラバーズ!

ハリエンジュ

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第十話『乙女心がわからない!? 詩織と千雪のすれ違い!』

その5 二人の関係

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★魔闘少女ハーツ・ラバーズ! 
第十話『乙女心がわからない!? 詩織と千雪のすれ違い!』
その5 二人の関係


teller:ネス


 別に、約束したわけでも何でもねえけれど。
 この女に心を許したわけでもねえけど。

 俺は何故か、今、この地球人のガキ――穂村ミクの隣に居た。

 ミクは相変わらずの無表情のまま草原に座って、丘の上からの景色を『しゃしん』とやらに収めている。
 そんなミクを黙って見ていられる自分がいることにも、驚いた。

 地球人への憎しみは消えていない。
 俺たちなんかより潤った生活をのうのうと生きている地球人は、今も大嫌いだ。

 なのに。
 感情が、エモーションが全く潤っていないこいつを見ると、不思議と胸が締め付けられるような、良くわからない気持ちに陥った。

 傍に居てくれと頼まれたわけでもない。
 でも、拒絶をされたわけでもない。

 俺はこいつの傍にいることで、一体こいつに何をしたいんだろう。

「ねえ、ネス」

 ミクが小さな箱、『でじかめ』を下ろして俺の名前を気安く呼ぶ。

「……んだよ」

「ぼくたちの関係って、何なんだろう」

 ミクが首を傾げて俺を見る。

 そんなの、こっちが聞きたい。
 おまけにその質問の内容は、さっきまで俺が考えていたこととほぼ一致していた。

「ぼくたちって、友達なのかな」

「……地球人と馴れ合うつもりはねーよ」

「じゃあ、恋人?」

「もっとちげーよ! そもそもお前まだ10歳だろうが! ……ませてんじゃねーよ」

 ああくそ。
 こいつと話していると、調子が狂う。

 ガキの癖に、何が恋人だ。
 俺がこいつに恋愛感情なんてもんを抱いているなんざ有り得ねえ。
 天地がひっくり返っても有り得ねえ。

 そのはずなのに、何でこんなに胸がざわざわするんだ。
 自分で自分が、わからない。

「恋人だったら、面白いのにね」

「……お前、馬鹿だろ」

「学校での成績は良い方だよ」

 学校。
 そういや地球にはそんな場所があるんだったか。
 同年代のガキが揃って学ぶ場所。

 前にナハトさんが、そんな場所があるのだと教えてくれた。
 ハーツ・ラバーたちもその学校とやらに通っていて、ナハトさんが奇襲をかけたこともあると。
 作戦は失敗、しやがったけど。

 こいつも、ミクも学校に通ってんのか。
 同い年のガキと上手くやれてんのか。

 そう、普段のミクが気になる気持ちは少しはあったけど、でも、俺にはきっと関係ない。
 頭をがしがしと掻いて、立ち上がる。

 もう十分、今日はここに居た気がした。

「……行くの?」

 澄んだ声がぶつけられる。
 その声に一瞬寂しそうな色が宿ったように思えたのは、気のせいだろうか。
 ……気のせい、だな。こいつに感情は、エモーションは無いはずだ。

「ああ。今日こそ、この星を俺たちの物にしなくちゃなんねえからな」

「そう。頑張ってね」

「……頑張ってって、お前な」

 仮にも地球側のお前が、なんつーこと言ってんだ。
 呆れてミクを見下ろすと、ミクは眉一つ動かさずに言う。

「ぼくは、この世界なんて嫌いなんだよ。だから、早く壊してね。ぼくの望みを叶えてくれるのは、きみしかいないんだから」

「……ああ」

 頷いたけど、提案を受け入れたけど、言われなくてもそのつもりだったけど。

 何でこんなに釈然としねえんだ。

 何で、俺は。

 ――こいつに、こんなこと言ってほしくねえんだ。

 これ以上ミクと会話をする気にもなれず、黙って丘から立ち去る。
 その間も、胸の辺りがずっとひどく疼いて。
 理由もわからないまま、ただ苦しかった。
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