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第十話『乙女心がわからない!? 詩織と千雪のすれ違い!』
その4 今日私は死ぬんですか?
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★魔闘少女ハーツ・ラバーズ!
第十話『乙女心がわからない!? 詩織と千雪のすれ違い!』
その4 今日私は死ぬんですか?
teller:河本 詩織
「はぁ……」
学校の玄関で上履きをローファーに履き替えながら、溜息を零す。
気分はとってもブルーな感じ。
私、最低かもしれない。
秋風さんは悪気があって言ったんじゃないのに、勝手に、一方的にムキになって。
愛歌の時もそうだったけど、どうして私は芹沢くんが絡むと特に怒りっぽくなっちゃうんだろう。
私、ほんとポンコツだなあ……。
こんな自分を、直したいのに。
「……河本?」
急に、だった。
大好きな声が聞こえて、固まる。
動悸が激しくなって、呼吸が止まりそうになる。
ゆっくりと振り向くと、そこには帰り支度を整えた芹沢くんがいた。
辺りに人気はない。
芹沢くんと二人きりというこのシチュエーションは、私の心臓にあまりにも悪すぎる。
「せ……せせ、芹沢くん……お疲れ様、です……ぶ、部活は……?」
「……休み」
しーん。
そうなんだ、とも何とも言えない。
どう会話を弾ませればいいのか全くわからない。
頭が全く働かない。
「……河本は?」
「う、え?」
「……美術部」
「あ……ええと、休み……」
しーん。
気まずい。
とても気まずい。
世の中の恋する乙女達に問いたい。
好きな人と楽しく会話をするコツを。
芹沢くんが、視線を泳がせてからぎこちなく口を開く。
「……廃ビル、行くのか?」
「きょ……今日は、行かない……」
しーん。
だ、だってだって、秋風さんと気まずくなっちゃったし。
今行っても雰囲気悪くなっちゃうかもしれないし。
そして、芹沢くんは少し迷った末に。
「……良かったら、なんだけど」
ぼそりと、私を簡単に殺した。
「……途中まで、一緒に帰るか」
――え、これ何のご褒美?
◆
いつもの帰り道。
いつも隣にはいない芹沢くんが私の横を歩いている。
良く良く見れば、私に歩幅を合わせてくれているらしい。
この人は、どれだけイケメンになれば気が済むんだろう。
っていうか、どうしようどうしようどうしようどうしよう。
大好きな芹沢くんと二人きりで下校なんて、むりむりむりむり心臓もたない。
でもこんなご褒美みすみす逃したくはない。
お願い、爆発しないで私の心臓。
「……何か、あったか?」
「……え?」
「……浮かない顔、してるから」
そ、そうかな。
むしろ芹沢くんと一緒にいられて浮かれている気もしてたんだけど。
でも、心のどこかには秋風さんとの一件が引っかかっている。
これは、芹沢くんに相談してもいいものなのだろうか。
だけど、こうして彼は私を奇跡的にも気にかけてくれているわけだし。
うだうだと悩んだ後、言葉を選んで私は口を開く。
「……秋風さんに、この前ちょっと怒鳴っちゃって。私、すぐ怒るから……もっと落ち着かなきゃだめだってわかってるのに……うまくいかないの。だめだな、私」
「――そんなことない」
「え?」
芹沢くんが、はっきりと告げる。
立ち止まって、私をじっと見つめている。
その真剣な視線に射抜かれて、全身がバターのように蕩けそうになる。
芹沢くんは、石のように固まった私を見つめながら言った。
「……河本は、笑ったり、怒ったり、悲しんだり……表情がコロコロ変わっている方が、その……ずっといいと思う。張りつめているよりは、ずっと。……あ、でも、あんまり悲しんでほしくはなくて……えっと、その……」
しどろもどろになる芹沢くん。
心拍数が急上昇する私。
しばらく気まずい沈黙が流れた後、芹沢くんは呟いた。
「……俺は……河本の、そういう表情豊かな所……なんというか……その……凄く……す……いや、あの、いいと……思うから……そのままの河本をぶつけても……罰は当たらないと、思う……」
あ、だめだ。
私の寿命、絶対に縮んだ。
そのくらい、心臓がばくばくばくばくうるさいったらない。
私と芹沢くんの間に吹く風が、私の心まで揺らす。
限界だと白旗を上げたいくらいなのに、芹沢くんは私を見つめたまんまで。
「あ、ありがと、う……」
私は、情けない声でお礼を言うことしかできなくなってしまった。
もうむり、すき。だれかたすけて。
第十話『乙女心がわからない!? 詩織と千雪のすれ違い!』
その4 今日私は死ぬんですか?
teller:河本 詩織
「はぁ……」
学校の玄関で上履きをローファーに履き替えながら、溜息を零す。
気分はとってもブルーな感じ。
私、最低かもしれない。
秋風さんは悪気があって言ったんじゃないのに、勝手に、一方的にムキになって。
愛歌の時もそうだったけど、どうして私は芹沢くんが絡むと特に怒りっぽくなっちゃうんだろう。
私、ほんとポンコツだなあ……。
こんな自分を、直したいのに。
「……河本?」
急に、だった。
大好きな声が聞こえて、固まる。
動悸が激しくなって、呼吸が止まりそうになる。
ゆっくりと振り向くと、そこには帰り支度を整えた芹沢くんがいた。
辺りに人気はない。
芹沢くんと二人きりというこのシチュエーションは、私の心臓にあまりにも悪すぎる。
「せ……せせ、芹沢くん……お疲れ様、です……ぶ、部活は……?」
「……休み」
しーん。
そうなんだ、とも何とも言えない。
どう会話を弾ませればいいのか全くわからない。
頭が全く働かない。
「……河本は?」
「う、え?」
「……美術部」
「あ……ええと、休み……」
しーん。
気まずい。
とても気まずい。
世の中の恋する乙女達に問いたい。
好きな人と楽しく会話をするコツを。
芹沢くんが、視線を泳がせてからぎこちなく口を開く。
「……廃ビル、行くのか?」
「きょ……今日は、行かない……」
しーん。
だ、だってだって、秋風さんと気まずくなっちゃったし。
今行っても雰囲気悪くなっちゃうかもしれないし。
そして、芹沢くんは少し迷った末に。
「……良かったら、なんだけど」
ぼそりと、私を簡単に殺した。
「……途中まで、一緒に帰るか」
――え、これ何のご褒美?
◆
いつもの帰り道。
いつも隣にはいない芹沢くんが私の横を歩いている。
良く良く見れば、私に歩幅を合わせてくれているらしい。
この人は、どれだけイケメンになれば気が済むんだろう。
っていうか、どうしようどうしようどうしようどうしよう。
大好きな芹沢くんと二人きりで下校なんて、むりむりむりむり心臓もたない。
でもこんなご褒美みすみす逃したくはない。
お願い、爆発しないで私の心臓。
「……何か、あったか?」
「……え?」
「……浮かない顔、してるから」
そ、そうかな。
むしろ芹沢くんと一緒にいられて浮かれている気もしてたんだけど。
でも、心のどこかには秋風さんとの一件が引っかかっている。
これは、芹沢くんに相談してもいいものなのだろうか。
だけど、こうして彼は私を奇跡的にも気にかけてくれているわけだし。
うだうだと悩んだ後、言葉を選んで私は口を開く。
「……秋風さんに、この前ちょっと怒鳴っちゃって。私、すぐ怒るから……もっと落ち着かなきゃだめだってわかってるのに……うまくいかないの。だめだな、私」
「――そんなことない」
「え?」
芹沢くんが、はっきりと告げる。
立ち止まって、私をじっと見つめている。
その真剣な視線に射抜かれて、全身がバターのように蕩けそうになる。
芹沢くんは、石のように固まった私を見つめながら言った。
「……河本は、笑ったり、怒ったり、悲しんだり……表情がコロコロ変わっている方が、その……ずっといいと思う。張りつめているよりは、ずっと。……あ、でも、あんまり悲しんでほしくはなくて……えっと、その……」
しどろもどろになる芹沢くん。
心拍数が急上昇する私。
しばらく気まずい沈黙が流れた後、芹沢くんは呟いた。
「……俺は……河本の、そういう表情豊かな所……なんというか……その……凄く……す……いや、あの、いいと……思うから……そのままの河本をぶつけても……罰は当たらないと、思う……」
あ、だめだ。
私の寿命、絶対に縮んだ。
そのくらい、心臓がばくばくばくばくうるさいったらない。
私と芹沢くんの間に吹く風が、私の心まで揺らす。
限界だと白旗を上げたいくらいなのに、芹沢くんは私を見つめたまんまで。
「あ、ありがと、う……」
私は、情けない声でお礼を言うことしかできなくなってしまった。
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