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第十一話『未来を夢見て! フューチャーラバー誕生!』
その2 まさかの繋がり
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★魔闘少女ハーツ・ラバーズ!
第十一話『未来を夢見て! フューチャーラバー誕生!』
その2 まさかの繋がり
teller:小枝 こずえ
買い物帰り。
空がまだ明るい内に、私は時々足を運ぶあの丘に寄ろうとしていた。
もしかしたら、今日もあの子が――穂村ミクちゃんがいるかもしれないから。
ミクちゃんは、私にとって何故か放っておけない存在だった。
少し気を抜けば、簡単に、泡のように消えてしまいそうな女の子。
ミクちゃんを見ていると、不安で不安で仕方がなくなる。
こんな私が、ミクちゃんに何ができるのかはわからない。
そもそもミクちゃんは私なんて必要としていない。
既に、はっきりと拒絶されてしまっている。
それでも、ハーツ・ラバーに目覚めたからか、沢山の友達が勇気をくれたからか。
私は、ミクちゃんという存在を諦めたくはなかった。
彼女が全てに心を閉ざすというのなら、その心が開くまで傍に居たいと思った。
自発的にこんなことを思うなんて、私らしくもないけれど。
でも、そのくらいミクちゃんは不安定なんだ。
いつもの原っぱを上る。
花をなるべく踏まないように。
その丘、一番景色が良く見える場所にミクちゃんはいつも通り居た――のだけれど。
ミクちゃんの隣に、予想外の人影を発見した。
その壮年の男性には、ひどく見覚えがあって。
「…… 小野寺先生……?」
ミクちゃんの横に立っていたのは、私達のクラス担任の小野寺先生だった。
穏やかで、教育熱心で、生徒間の評判も良い小野寺先生。
そんな小野寺先生が、どうしてミクちゃんと一緒にいるんだろう。
座ってただ無言で景色を撮っているミクちゃんに対し、小野寺先生は立ち尽くしたまま懸命に声をかけている。
「――ミクからも、母さんに言ってくれないか」
「何を?」
「やり直したいんだ。ミクと母さんと、また三人で」
「嫌だよ」
「ミクっ!」
ミクちゃんが、鬱陶しそうに立ち上がる。
そのまま去ろうとしたミクちゃんの腕を小野寺先生が掴んだけれど、すぐにその手はミクちゃんによって強く払いのけられた。
「気安く触らないで」
ミクちゃんが、冷たい目で小野寺先生を見上げる。
その視線を向けられた当事者でも何でもないのに、ぞくりとしてしまった。
ミクちゃんが、小野寺先生を拒絶する言葉を淡々と吐く。
「あなたはもう、ぼくの父親なんかじゃない」
「……そんな」
ミクちゃんのぼんやりとした、いつもは何の感情も映さない瞳に、一瞬、ある感情が宿った。
また、心臓がざわつく。
あれは、確かな敵意と――嫌悪感だ。
ミクちゃんが口許だけで薄く笑う。
嘲るように、見下すように。
「ぼくの世界を壊しておいて、自分は世界を再構築したいだなんて、傲慢ね」
小野寺先生が絶句する。
それをいいことに、ミクちゃんはデジカメを手にしたまま丘から去って行ってしまった。
一瞬だけミクちゃんと目が合った気がしたけど、すぐに逸らされてしまった。
それも拒絶されているようで、ひどく悲しい。
「……小枝? どうしてここに……」
突然名前を呼ばれて、びくりと肩が跳ねる。
振り向くと視線の先では、憔悴しきった様子の小野寺先生が、何も言えずに立ち尽くす私を見つめていた。
第十一話『未来を夢見て! フューチャーラバー誕生!』
その2 まさかの繋がり
teller:小枝 こずえ
買い物帰り。
空がまだ明るい内に、私は時々足を運ぶあの丘に寄ろうとしていた。
もしかしたら、今日もあの子が――穂村ミクちゃんがいるかもしれないから。
ミクちゃんは、私にとって何故か放っておけない存在だった。
少し気を抜けば、簡単に、泡のように消えてしまいそうな女の子。
ミクちゃんを見ていると、不安で不安で仕方がなくなる。
こんな私が、ミクちゃんに何ができるのかはわからない。
そもそもミクちゃんは私なんて必要としていない。
既に、はっきりと拒絶されてしまっている。
それでも、ハーツ・ラバーに目覚めたからか、沢山の友達が勇気をくれたからか。
私は、ミクちゃんという存在を諦めたくはなかった。
彼女が全てに心を閉ざすというのなら、その心が開くまで傍に居たいと思った。
自発的にこんなことを思うなんて、私らしくもないけれど。
でも、そのくらいミクちゃんは不安定なんだ。
いつもの原っぱを上る。
花をなるべく踏まないように。
その丘、一番景色が良く見える場所にミクちゃんはいつも通り居た――のだけれど。
ミクちゃんの隣に、予想外の人影を発見した。
その壮年の男性には、ひどく見覚えがあって。
「…… 小野寺先生……?」
ミクちゃんの横に立っていたのは、私達のクラス担任の小野寺先生だった。
穏やかで、教育熱心で、生徒間の評判も良い小野寺先生。
そんな小野寺先生が、どうしてミクちゃんと一緒にいるんだろう。
座ってただ無言で景色を撮っているミクちゃんに対し、小野寺先生は立ち尽くしたまま懸命に声をかけている。
「――ミクからも、母さんに言ってくれないか」
「何を?」
「やり直したいんだ。ミクと母さんと、また三人で」
「嫌だよ」
「ミクっ!」
ミクちゃんが、鬱陶しそうに立ち上がる。
そのまま去ろうとしたミクちゃんの腕を小野寺先生が掴んだけれど、すぐにその手はミクちゃんによって強く払いのけられた。
「気安く触らないで」
ミクちゃんが、冷たい目で小野寺先生を見上げる。
その視線を向けられた当事者でも何でもないのに、ぞくりとしてしまった。
ミクちゃんが、小野寺先生を拒絶する言葉を淡々と吐く。
「あなたはもう、ぼくの父親なんかじゃない」
「……そんな」
ミクちゃんのぼんやりとした、いつもは何の感情も映さない瞳に、一瞬、ある感情が宿った。
また、心臓がざわつく。
あれは、確かな敵意と――嫌悪感だ。
ミクちゃんが口許だけで薄く笑う。
嘲るように、見下すように。
「ぼくの世界を壊しておいて、自分は世界を再構築したいだなんて、傲慢ね」
小野寺先生が絶句する。
それをいいことに、ミクちゃんはデジカメを手にしたまま丘から去って行ってしまった。
一瞬だけミクちゃんと目が合った気がしたけど、すぐに逸らされてしまった。
それも拒絶されているようで、ひどく悲しい。
「……小枝? どうしてここに……」
突然名前を呼ばれて、びくりと肩が跳ねる。
振り向くと視線の先では、憔悴しきった様子の小野寺先生が、何も言えずに立ち尽くす私を見つめていた。
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