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第三話『ギャクシン!!(逆身長差の意)』
その4 最恐のボディガード
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★つぐむく。~中二病と不思議ちゃん~ 第三話『ギャクシン!!(逆身長差の意)』その4 最恐のボディガード
「いらっしゃいませーっ! あっ、椋ちゃん、鶫くーんっ! 来てくれたんだっ! わあっ、嬉しい!」
割引券の情報を頼りに、八ツ橋がバイトしているという喫茶店に赴くと、ウェイトレス姿の八ツ橋が俺と椋を出迎えてくれた。
ふりふりひらひらのフリルいっぱいのウェイトレス服。
ちょっと、その、所謂メイド服っぽいモチーフのデザインな気がした。
幼く愛くるしい顔立ちの八ツ橋に、良く似合ってるな、と思った。
しかし、その、視線がつい要らんとこに向いてしまう。
豊満なバストとか、ちら、と見える綺麗な脚とか、まあ、色々、エロティックな方向に。
普段アホみたいな中二病キャラを貼り付けているくせに、こういう時ばかり健全な男子高校生の本能が疼いてしまう自分は、本当に最低だと思った。
頭の中で、なるべく『無』を唱える。
俺の脳内の俺は、現在、和服姿で真顔のまま、でっかい書道紙に、真っ黒な墨を塗りたくったでっかい筆で『無』をひたすらに書き殴っていた。
「麻耶ちゃん、ウェイトレス服、かわいいのです」
椋がぱちぱちと拍手をして、幸せそうに笑いながらそんなことを言った。
そう言う椋だって、かなりめちゃくちゃ可愛いと思う。
……八ツ橋のウェイトレス服、椋が着たらどうなるんだろう。
ちょっと肉付きのいい太ももがきっと、それはもう色っぽく――。
『無』を書いた。
脳内で、そりゃもう一心不乱に。
簡単に変なことを考えてしまう馬鹿な俺を、必死に抑え込む。
脳内には、『無』が羅列された紙がどっさりと積まれていた。
俺の変な気も知らず、八ツ橋はお盆を片手に今にもその場でくるくる回りそうな勢いで、とてもはしゃぎながら俺たちに声をかけた。
「それじゃ、お席にご案内するねっ! 何食べる? やっぱイチゴパフェ!?」
「はい。椋、イチゴ、好きなのです」
……椋、イチゴ、好きなのか。
女の子女の子してる感じが、やっぱ可愛いな。
無を書いている筈の俺が、ちょっと休憩してしまう。
心と決意が弱い俺でごめん、椋。
八ツ橋が、俺たちについてくるよう促し、席に案内してくれる。
その時、気付いた。
この店は、若い男性客が妙に多い。
しかも、どいつもこいつも八ツ橋にちらちらと視線を送っている。
そしてそのどれもが――さっきの俺と同じく、よこしまな視線、のような気がした。
八ツ橋は気付いていないようだった。
ただただ、無邪気に笑っている。
俺が言えた義理じゃないが、ひどく無防備で、大丈夫か? と色々心配になってしまう。
その時、カラン、と入り口のベルが鳴った。
振り返り、俺は思わずフリーズした。
――村瀬静流。
村瀬が、入り口に立って、じろりと男性客を殺意全開で睨んでいる。
昨日絡まれたことを思い出して、恐怖でついつい怯えてしまう。
村瀬の鋭い敵意に耐え切れなくなったのか、さっきから八ツ橋をいやらしい目で見ていた男性客たちは、次々と店を出る支度を進めていった。
「あっ、シズくーーんっ!」
八ツ橋が村瀬の存在に気付き、何の迷いもなく村瀬に抱きつく。
村瀬は心底鬱陶しそうな表情を浮かべ、ぺしんと八ツ橋の頭を叩く。
何故か、いつも以上にイライラしているようだった。
俺が震えながら立ち尽くしていると、村瀬と目が合った。
合ってしまった。
ひっと短い悲鳴を漏らす俺を見て、村瀬が少し驚いた顔をした後、先ほどよりも濃い殺意を滲ませた表情で俺を睨んだ。
そのまま、村瀬はずかずかと俺に近付いてくる。
え、何、何。
村瀬に胸倉を掴まれる。
俺よりずっと小柄な筈なのに、村瀬からの圧は凄まじかった。
「おいコラ、神室」
「ひゃ、ひゃい」
ひどく情けない声が漏れた。
でも、怖いんだよ、仕方ないんだよ。
怯え切った俺を、村瀬は許してなんかくれなくて。
「……ちょっと、ツラ貸せや」
何と、言うか。
その言葉に、物凄く、凄まじく、嫌な予感がした。
ちなみにこの嫌な予感は、ものの見事に的中することとなる。
「いらっしゃいませーっ! あっ、椋ちゃん、鶫くーんっ! 来てくれたんだっ! わあっ、嬉しい!」
割引券の情報を頼りに、八ツ橋がバイトしているという喫茶店に赴くと、ウェイトレス姿の八ツ橋が俺と椋を出迎えてくれた。
ふりふりひらひらのフリルいっぱいのウェイトレス服。
ちょっと、その、所謂メイド服っぽいモチーフのデザインな気がした。
幼く愛くるしい顔立ちの八ツ橋に、良く似合ってるな、と思った。
しかし、その、視線がつい要らんとこに向いてしまう。
豊満なバストとか、ちら、と見える綺麗な脚とか、まあ、色々、エロティックな方向に。
普段アホみたいな中二病キャラを貼り付けているくせに、こういう時ばかり健全な男子高校生の本能が疼いてしまう自分は、本当に最低だと思った。
頭の中で、なるべく『無』を唱える。
俺の脳内の俺は、現在、和服姿で真顔のまま、でっかい書道紙に、真っ黒な墨を塗りたくったでっかい筆で『無』をひたすらに書き殴っていた。
「麻耶ちゃん、ウェイトレス服、かわいいのです」
椋がぱちぱちと拍手をして、幸せそうに笑いながらそんなことを言った。
そう言う椋だって、かなりめちゃくちゃ可愛いと思う。
……八ツ橋のウェイトレス服、椋が着たらどうなるんだろう。
ちょっと肉付きのいい太ももがきっと、それはもう色っぽく――。
『無』を書いた。
脳内で、そりゃもう一心不乱に。
簡単に変なことを考えてしまう馬鹿な俺を、必死に抑え込む。
脳内には、『無』が羅列された紙がどっさりと積まれていた。
俺の変な気も知らず、八ツ橋はお盆を片手に今にもその場でくるくる回りそうな勢いで、とてもはしゃぎながら俺たちに声をかけた。
「それじゃ、お席にご案内するねっ! 何食べる? やっぱイチゴパフェ!?」
「はい。椋、イチゴ、好きなのです」
……椋、イチゴ、好きなのか。
女の子女の子してる感じが、やっぱ可愛いな。
無を書いている筈の俺が、ちょっと休憩してしまう。
心と決意が弱い俺でごめん、椋。
八ツ橋が、俺たちについてくるよう促し、席に案内してくれる。
その時、気付いた。
この店は、若い男性客が妙に多い。
しかも、どいつもこいつも八ツ橋にちらちらと視線を送っている。
そしてそのどれもが――さっきの俺と同じく、よこしまな視線、のような気がした。
八ツ橋は気付いていないようだった。
ただただ、無邪気に笑っている。
俺が言えた義理じゃないが、ひどく無防備で、大丈夫か? と色々心配になってしまう。
その時、カラン、と入り口のベルが鳴った。
振り返り、俺は思わずフリーズした。
――村瀬静流。
村瀬が、入り口に立って、じろりと男性客を殺意全開で睨んでいる。
昨日絡まれたことを思い出して、恐怖でついつい怯えてしまう。
村瀬の鋭い敵意に耐え切れなくなったのか、さっきから八ツ橋をいやらしい目で見ていた男性客たちは、次々と店を出る支度を進めていった。
「あっ、シズくーーんっ!」
八ツ橋が村瀬の存在に気付き、何の迷いもなく村瀬に抱きつく。
村瀬は心底鬱陶しそうな表情を浮かべ、ぺしんと八ツ橋の頭を叩く。
何故か、いつも以上にイライラしているようだった。
俺が震えながら立ち尽くしていると、村瀬と目が合った。
合ってしまった。
ひっと短い悲鳴を漏らす俺を見て、村瀬が少し驚いた顔をした後、先ほどよりも濃い殺意を滲ませた表情で俺を睨んだ。
そのまま、村瀬はずかずかと俺に近付いてくる。
え、何、何。
村瀬に胸倉を掴まれる。
俺よりずっと小柄な筈なのに、村瀬からの圧は凄まじかった。
「おいコラ、神室」
「ひゃ、ひゃい」
ひどく情けない声が漏れた。
でも、怖いんだよ、仕方ないんだよ。
怯え切った俺を、村瀬は許してなんかくれなくて。
「……ちょっと、ツラ貸せや」
何と、言うか。
その言葉に、物凄く、凄まじく、嫌な予感がした。
ちなみにこの嫌な予感は、ものの見事に的中することとなる。
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