つぐむく。~中二病と不思議ちゃん~

ハリエンジュ

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第三話『ギャクシン!!(逆身長差の意)』

その6 もしかしなくとも、恵まれている

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★つぐむく。~中二病と不思議ちゃん~ 第三話『ギャクシン!!(逆身長差の意)』その6 もしかしなくとも、恵まれている

 ……いや。
 いや、うん、何と言うか。
 俺は、物凄く、凄まじく厄介なことに首どころか全身を突っ込んでしまったな、と思う。
 神戸と関わった時から、そんなんばっかだ。
 いくら友達が欲しいとは言え、そんな、最強の不良少年と決闘なんて。
 ……秒でボコボコにされるんだろうな、俺。
 俺、生きてるのかな、顔の原型保ってるかな、大丈夫かな。
 さっきから、そんな心配ばかりで溜息が漏れる。
 
 隣の席の椋は、まだ登校してきてない。
 そのことが、今は妙に寂しかった。
 村瀬との決闘は、今日の放課後。
 場所は河川敷。
 何ともベタだ。昭和かな。
 俺は頭を抱えて、自分の机に突っ伏して、溜息を垂れ流している。
 せめて。
 せめて、生きてるうちに、椋と、もっと友達らしいことがしたかった。
 こんな時に思い浮かぶのが、たった一人の友達の椋のことばかりだと言うのが、何とも俺らしい。
 八ツ橋は俺を友達だと言ってくれたけど、村瀬に勝たないと、それは許されないんだろう。
 そしてそれは、論理的に考えて、100パーセント無理だ。
 ああ、もう。
 俺って、ほんと、馬鹿だな。

「どした。元気ないな、神室」

 ぽん、と肩を叩かれた。
 この低めの落ち着いた声は。
 顔を上げると、そこには予想通り、志久次郎が立っていた。
 うちのクラスの良心、頼れる常識人。

「志久……」

「さっきから、おまえ溜息ばっかだな」

「か……神室くん……大丈夫……?」

 神戸まで、心配しておどおどと寄って来てくれた。
 志久と神戸の優しさが、嬉しくて、申し訳なくて、何だか変な気持ちになる。

「なんかあったか? 俺で良ければ、話聞くぞ」

「わ……私も……力になれるかどうかは、わからないけど……」

 ……どうしよう。
 二人が優しい、とても優しい。
 温かい言葉が、じんわりと弱った心に染み込んで。
 俺は、ちょっと泣きそうになりつつ。

「実は……」

 ――俺が、たった今、生命の危機に陥っている、ということを話した。





「……随分、厄介なことになってるんだな。やれやれ……」

 志久の呆れたような台詞に、俺は正直返す言葉もなかった。
 返す言葉もなかった筈、だけど。
 弱気な今は、志久と、神戸の、二人の優しさにあてられたみたいで。

「……なあ、俺、結構変なこと言うだろ。救世主だとか何だか。格好も、包帯だの眼帯だので変だし」

「ん……ああ、まあまあな。でも、美夏ほど変なやつじゃねえよ、おまえは」

 志久はそう言ってくれたが、俺はどうも自信がない。
 と言うか、彼氏にそんなに変なやつだと思われている牟田は何なんだ。
 神戸はおろおろしていた。
 いきなりこんなこと言っても困らせちまうよな。
 でも。

「俺は……まあ、色々、拗らせて、中二病キャラ、作ってるけど……本当は、友達が、欲しくて。一人が、寂しくて。でも、どうしたらいいかわからなくて。そんな時に、椋が俺なんかと友達になりたいって言ってくれて、嬉しくて。俺はそんな……たった一人の友達の、椋の幸せを、守りたい気持ちもあったから……だから、決闘の話を受けたんだ」

 ……こんなこと、初めて他人に打ち明けた。
 ダセェって思われたかな、だめなやつって思われたかな。
 ほんと、何言ってるんだろ、俺。
 でも、俺が二人の反応に内心怯えていると。

「……ん? たった一人?」

 志久が、不思議そうに首を傾げた。
 神戸も、何でか目を丸くしている。
 ……ん?
 何だ、この雰囲気。
 そして、志久はとんでもないことを言った。

「……俺は、おまえが南雲と仲良くなってから、神室と友達になった気でいたんだがな」

 …………え?
 志久の発言にぽかんとしていると、神戸まで、控えめながらも声を上げる。

「わ……私も……恋の相談に乗ってくれた時から、神室くんは、私の友達だって、思ってた……よ?」

 ……………………え?
 呆然とする俺。
 きょとんと俺を見つめる志久と神戸。
 俺はと言うと――あまりのことに、言葉が見つからなかった。
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