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第三話『ギャクシン!!(逆身長差の意)』
その8 呪いの口付け
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★つぐむく。~中二病と不思議ちゃん~ 第三話『ギャクシン!!(逆身長差の意)』その8 呪いの口付け
teller:八ツ橋麻耶
物心ついた頃から、私――八ツ橋麻耶は、幼馴染のシズくんが、村瀬静流くんのことが大好きだった。
勿論異性としてだ。
私は、生まれてこの方、シズくん以外をそういった対象として見たことは、今まで一度だってない。
ずっとシズくん一筋だったし、シズくんにメロメロだったし、とにかくシズくんラブだった。
ちょっとつんけんしているくせに、私のことを何だかんだいいつつも置いていかないシズくんが好きだ。
私がドジを踏む度に、思いっ切り呆れた顔をするくせに、しょうがないな、とでも言いたげな顔で傍にいてくれるシズくんが好きだ。
私なんかと、手を繋いでくれるシズくんが好きだ。
シズくんの好きなところ、いくら挙げても足りないくらいいっぱいある。
シズくんはとてもかっこよくて、優しくて、強くて、頑張り屋さんで。
そんなシズくんとずっと一緒に居られたらいいな、とは漠然と思っていたから、シズくんがたとえままごとみたいでも、カーテンでベールを作って結婚式の予行練習をしてくれた時は本当に嬉しかった。
頑張ろうと思った。
シズくんが私を好きになってくれたことを、シズくんが後悔しないような私になろうと、本気で思った。
だけど、私たちの平和で穏やかな時間は、ある日、本当にあっという間に壊れてしまった。
シズくんのお父さんが、突然蒸発した。
多額の借金を背負って、家族を捨てて、急にシズくんの前から居なくなった。
シズくんはお父さんを、素直になれないながらも慕っていたと思うから、相当ショックだったんだと思う。
でも、世界はさらにシズくんを傷つけた。
シズくんのお母さんが、浮気相手を作って、こちらもシズくんを置いて居なくなった。
シズくんを愛してくれる家族は、簡単にシズくんの前から姿を消してしまったのだ。
シズくんがひとりぼっちになったあの日から、私はシズくんが笑った顔を見たことがない。
私が居るよ、大好きだよ、ずっと一緒だよ。
何度もそう言ったけど、心底鬱陶しそうに突っぱねられるだけだった。
シズくんが信じられるのは、シズくんただ一人になってしまったんだ。
ある時、あまりにもシズくんの傍から離れない私に苛立ちが限界に達したのか。
シズくんが、突然私にキスしてきた。
初めてのキスだった。
でも、決して甘い意味なんて持たなかった。
唇を噛まれ、血が僅かに滲んだ。
痛みに泣きそうになっていると、そのまま床に押し倒された。
あ、だめだ。
私とシズくんはまだ中学生で、シズくんは、これから、私たちが本当はしちゃいけないことをしようとしている。
きっと、私を遠ざける為に。
でも。
それでも、私はシズくんが。
「……は……?」
シズくんの首裏にぎゅっと両腕を回して抱きつくと、 シズくんは心底驚いたような顔をした。
おじさんとおばさんが居なくなってから仏頂面ばかりだったシズくんの驚いた顔が見られて、少し嬉しかった。
「……何、しとんねん、おまえ」
シズくんの声は、弱々しかった。
いつも強くあろうとする彼には、珍しい声だった。
「シズくん、私ね」
ぎゅう、とシズくんを抱き寄せる。
好き、シズくん、大好きだよ。
「シズくんになら、いいの。シズくんが、大好きだから」
私の胸いっぱいの愛の言葉に、シズくんは目を見開いた。
シズくんはしばらく愕然としていた。
泣いてるわけでもないのに、シズくんが泣いてる気がして、ぎゅっと胸が締め付けられた。
シズくんは、ゆっくりと、私の上から退いてくれた。
私もそれに倣って身を起こすと、名前を呼ばれた。
「……麻耶」
「うん」
「……俺が、守るから」
その言葉に、逆に私が泣いてしまった。
シズくんが、今の心に傷を負ったシズくんが、それでも私を特別な存在と認めてくれた気がして、とても嬉しかった。
感極まって抱きつくと、軽くデコピンされてそっぽを向かれた。
好きだよ、シズくん、ずっと一緒にいようね。
シズくんになら、何されてもいいから、どれだけ冷たくされても、私の気持ちは変わらないから。
だから。
――私に、シズくんを幸せにさせて。
teller:八ツ橋麻耶
物心ついた頃から、私――八ツ橋麻耶は、幼馴染のシズくんが、村瀬静流くんのことが大好きだった。
勿論異性としてだ。
私は、生まれてこの方、シズくん以外をそういった対象として見たことは、今まで一度だってない。
ずっとシズくん一筋だったし、シズくんにメロメロだったし、とにかくシズくんラブだった。
ちょっとつんけんしているくせに、私のことを何だかんだいいつつも置いていかないシズくんが好きだ。
私がドジを踏む度に、思いっ切り呆れた顔をするくせに、しょうがないな、とでも言いたげな顔で傍にいてくれるシズくんが好きだ。
私なんかと、手を繋いでくれるシズくんが好きだ。
シズくんの好きなところ、いくら挙げても足りないくらいいっぱいある。
シズくんはとてもかっこよくて、優しくて、強くて、頑張り屋さんで。
そんなシズくんとずっと一緒に居られたらいいな、とは漠然と思っていたから、シズくんがたとえままごとみたいでも、カーテンでベールを作って結婚式の予行練習をしてくれた時は本当に嬉しかった。
頑張ろうと思った。
シズくんが私を好きになってくれたことを、シズくんが後悔しないような私になろうと、本気で思った。
だけど、私たちの平和で穏やかな時間は、ある日、本当にあっという間に壊れてしまった。
シズくんのお父さんが、突然蒸発した。
多額の借金を背負って、家族を捨てて、急にシズくんの前から居なくなった。
シズくんはお父さんを、素直になれないながらも慕っていたと思うから、相当ショックだったんだと思う。
でも、世界はさらにシズくんを傷つけた。
シズくんのお母さんが、浮気相手を作って、こちらもシズくんを置いて居なくなった。
シズくんを愛してくれる家族は、簡単にシズくんの前から姿を消してしまったのだ。
シズくんがひとりぼっちになったあの日から、私はシズくんが笑った顔を見たことがない。
私が居るよ、大好きだよ、ずっと一緒だよ。
何度もそう言ったけど、心底鬱陶しそうに突っぱねられるだけだった。
シズくんが信じられるのは、シズくんただ一人になってしまったんだ。
ある時、あまりにもシズくんの傍から離れない私に苛立ちが限界に達したのか。
シズくんが、突然私にキスしてきた。
初めてのキスだった。
でも、決して甘い意味なんて持たなかった。
唇を噛まれ、血が僅かに滲んだ。
痛みに泣きそうになっていると、そのまま床に押し倒された。
あ、だめだ。
私とシズくんはまだ中学生で、シズくんは、これから、私たちが本当はしちゃいけないことをしようとしている。
きっと、私を遠ざける為に。
でも。
それでも、私はシズくんが。
「……は……?」
シズくんの首裏にぎゅっと両腕を回して抱きつくと、 シズくんは心底驚いたような顔をした。
おじさんとおばさんが居なくなってから仏頂面ばかりだったシズくんの驚いた顔が見られて、少し嬉しかった。
「……何、しとんねん、おまえ」
シズくんの声は、弱々しかった。
いつも強くあろうとする彼には、珍しい声だった。
「シズくん、私ね」
ぎゅう、とシズくんを抱き寄せる。
好き、シズくん、大好きだよ。
「シズくんになら、いいの。シズくんが、大好きだから」
私の胸いっぱいの愛の言葉に、シズくんは目を見開いた。
シズくんはしばらく愕然としていた。
泣いてるわけでもないのに、シズくんが泣いてる気がして、ぎゅっと胸が締め付けられた。
シズくんは、ゆっくりと、私の上から退いてくれた。
私もそれに倣って身を起こすと、名前を呼ばれた。
「……麻耶」
「うん」
「……俺が、守るから」
その言葉に、逆に私が泣いてしまった。
シズくんが、今の心に傷を負ったシズくんが、それでも私を特別な存在と認めてくれた気がして、とても嬉しかった。
感極まって抱きつくと、軽くデコピンされてそっぽを向かれた。
好きだよ、シズくん、ずっと一緒にいようね。
シズくんになら、何されてもいいから、どれだけ冷たくされても、私の気持ちは変わらないから。
だから。
――私に、シズくんを幸せにさせて。
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