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第三話『ギャクシン!!(逆身長差の意)』
その10 きみのすきを言ってみなよ
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★つぐむく。~中二病と不思議ちゃん~ 第三話『ギャクシン!!(逆身長差の意)』その10 きみのすきを言ってみなよ
teller:村瀬静流
「きみも派手に鶫をイジメたもんだねえ」
神室を気の済むまで殴り倒して、こんな自分が無傷で済むような、歯応えのない暴力も久々やな、と思いながら河川敷を後にしようとしている最中。
のらりくらり、としたトーンの声がぶつけられた。
女子の声や。
少し低めの。
振り返って、じろりとそいつを睨むと、へらへら笑いながらひらりと手を振られてしまった。
馴れ馴れしい、鬱陶しい。
そう視線に刺すように込めたのにそいつ――牟田美夏の笑顔は崩れない。
「……なんや、責めにでも来たんか? 意外と良い子ちゃんなんやな、牟田は」
俺が嘲るように、吐き捨てるように言うと、牟田はにまあ、と嫌な感じの笑みを深めてジャージのポケットに手を突っ込んだ。
俺はこの女が、割と苦手で嫌いや。
全部知っとるような、全部見透かしとるようなこの表情を見ると、落ち着かない。
けらけらと牟田は笑い声を上げると、首を横に振った。
「別に、そんなんでもないさ。本当に良い子ちゃんだったなら、きみが鶫を一方的に殴り始めた時点ですぐさま止めに入っても良かったし、そもそもきみと鶫の決闘自体を反対し、全力で阻止してたよ」
「それもそうやな」
となると、この女は俺が神室をボコボコにしていたさまをずっとどこかから傍観してたっちゅうことになる。
俺が言えた義理やないけど、随分と趣味の悪い女やな、と思った。
神室は、南雲の――牟田のダチの、大事なやつやっちゅうのに。
そう思っていると、牟田はジャージのポケットから自分のスマートフォンを取り出し、俺の前にちらつかせる。
「代わりに、お姫様は呼んでおいたがね」
「あ? お姫様?」
この場に不釣り合いな響きに俺が眉を顰めると、牟田はまたしてもにんまりと笑んだ。
「そう。鶫にとって、飛び切り大事な可愛らしいお姫様をね」
神室にとって、大事な女。
そんなの、俺から見ても一人しか浮かばない。
何せ、神室は――そのたった一人の為だけに、最後まで俺に食い下がったのだから。
アホらしい。
馬鹿馬鹿しい。
俺がとっととこの場を去ろうとすると、そのタイミングで背中に声がぶつけられる。
何やねん。
「まあ、安心したまえよ」
「……何がや」
ぎろっと睨んでも、牟田はどこ吹く風で、それどころか楽しそうで。
そこになおさら、イラついた。
牟田は、飄々と笑いながらこう言う。
「大丈夫。きみが麻耶しか見えていないように、鶫にも椋しか見えていないよ」
「……うっさいわ、アホウ」
今度こそ、牟田の元から去る。
このまま居たら、俺がガキの頃から麻耶に抱いとる気色悪いくらいに誠実な想いすらも指摘されそうで、イライラした。
ああ、やっぱり。
俺は、牟田美夏が嫌いや。
teller:村瀬静流
「きみも派手に鶫をイジメたもんだねえ」
神室を気の済むまで殴り倒して、こんな自分が無傷で済むような、歯応えのない暴力も久々やな、と思いながら河川敷を後にしようとしている最中。
のらりくらり、としたトーンの声がぶつけられた。
女子の声や。
少し低めの。
振り返って、じろりとそいつを睨むと、へらへら笑いながらひらりと手を振られてしまった。
馴れ馴れしい、鬱陶しい。
そう視線に刺すように込めたのにそいつ――牟田美夏の笑顔は崩れない。
「……なんや、責めにでも来たんか? 意外と良い子ちゃんなんやな、牟田は」
俺が嘲るように、吐き捨てるように言うと、牟田はにまあ、と嫌な感じの笑みを深めてジャージのポケットに手を突っ込んだ。
俺はこの女が、割と苦手で嫌いや。
全部知っとるような、全部見透かしとるようなこの表情を見ると、落ち着かない。
けらけらと牟田は笑い声を上げると、首を横に振った。
「別に、そんなんでもないさ。本当に良い子ちゃんだったなら、きみが鶫を一方的に殴り始めた時点ですぐさま止めに入っても良かったし、そもそもきみと鶫の決闘自体を反対し、全力で阻止してたよ」
「それもそうやな」
となると、この女は俺が神室をボコボコにしていたさまをずっとどこかから傍観してたっちゅうことになる。
俺が言えた義理やないけど、随分と趣味の悪い女やな、と思った。
神室は、南雲の――牟田のダチの、大事なやつやっちゅうのに。
そう思っていると、牟田はジャージのポケットから自分のスマートフォンを取り出し、俺の前にちらつかせる。
「代わりに、お姫様は呼んでおいたがね」
「あ? お姫様?」
この場に不釣り合いな響きに俺が眉を顰めると、牟田はまたしてもにんまりと笑んだ。
「そう。鶫にとって、飛び切り大事な可愛らしいお姫様をね」
神室にとって、大事な女。
そんなの、俺から見ても一人しか浮かばない。
何せ、神室は――そのたった一人の為だけに、最後まで俺に食い下がったのだから。
アホらしい。
馬鹿馬鹿しい。
俺がとっととこの場を去ろうとすると、そのタイミングで背中に声がぶつけられる。
何やねん。
「まあ、安心したまえよ」
「……何がや」
ぎろっと睨んでも、牟田はどこ吹く風で、それどころか楽しそうで。
そこになおさら、イラついた。
牟田は、飄々と笑いながらこう言う。
「大丈夫。きみが麻耶しか見えていないように、鶫にも椋しか見えていないよ」
「……うっさいわ、アホウ」
今度こそ、牟田の元から去る。
このまま居たら、俺がガキの頃から麻耶に抱いとる気色悪いくらいに誠実な想いすらも指摘されそうで、イライラした。
ああ、やっぱり。
俺は、牟田美夏が嫌いや。
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