鬼人とタイムトラベラー

果露

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エピローグ

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すると看護師は黙って病室を出て行った。そりゃあ誰だってそうだろう。
こんな重い話を聞かされた後は誰だってその場を離れたくなる。

あーあ。
結局何も変わらなかったなぁ。

ふぅとため息をついた。すると医師を先頭に、看護師、警察が順に病室に入ってきた。警察は、わざわざ手帳を見せた後、逮捕状を突き出してこう言い放った。

「菊池優 2190年12月25日 14:33 窃盗容疑と過去変更容疑で逮捕する」

ガチャリと手錠をつけられて、警察病院に引き取られた。抵抗する気力もなかった。

一切の事情を話した、というわけではないけれど、まあ、3分の1ぐらいの事は何も繕わずに全て話した。同情を買ったのか、哀れに思われたのかはわからない。警察病院から退院すると、執行猶予2年で釈放された。

あの時の記憶に想いを寄せ、涙を紡ぎ続ける日々。そんな風に生活していると佳代が知ったら怒るだろうか。
はたまた笑うだろうか。

笑ってよ。こんなダメダメな私を笑ってよ。佳代が笑ってくれたら楽になりそうなんだ。

そこまで思って、メンヘラチックだなぁと苦笑した。
3人と一緒にいられなかったのは悲しいけれど、

それでもまた、佳代に、奏に、一季に、3人に会えるその日まで








       





                 


                  何千年先も待ち続ける。


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