天蓋村の不可解な求人広告について

月影 朔

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第一部:ウェブ・ドキュメント『天蓋村(てんがいむら)に関する報告』

第3話:資料No.003(村役場の公式サイト・アーカイブ)2018年

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【資料No.003】
資料種別: 村役場公式サイトのアーカイブ(スクリーンショット) 
発行年: 2018年 

(スクリーンショット記録)

〇〇県××町公式サイト

平成30年度 ××町立図書館 臨時職員(蔵書デジタル化アシスタント)募集のお知らせ 

業務内容 町立図書館収蔵の郷土史資料、古文書等を専用スキャナでデジタルデータ化する作業です。 

勤務場所 ××町立図書館 2階郷土資料室(〇〇県××町大字山田58-1) 

賃金 時給 1,250円 

応募資格
・年齢、学歴不問 
・PCの基本操作ができる方 
・地域の歴史や文化に関心のある方歓迎 
・ご自身の顔が左右対称に近いと思われる方 

[応募用紙.pdf(リンク切れ)] 
© 2018 Town of XX, All Rights Reserved. 


【調査担当者による注釈】
資料No.002の「瞬きをしない」という条件が、歴史上ただ一度の「エラー」なのかを検証するため、私は過去のデジタルアーカイブの検索を開始した。
企業のPR目的のユーモアや単なる誤植をふるい落とし、あの求人広告だけが持つ、冗談とは似て非なる冷たい質感の記録を探し続けた。

そして発見したのが、この町役場の臨時職員募集である。

前回のIT企業とは全く無関係な行政機関であり、業務内容も地方図書館での古文書整理と、関連性は見出せない。
だが、「応募資格」の末尾に、私は探し求めていた種類の異物を見つけた。


「ご自身の顔が左右対称に近いと思われる方」 

蔵書のデジタル化という、人前に出ることのない内向的な作業に、担当者の顔の造形は影響しない。
顔認証システムのテストといった合理的な解釈も考えたが、一介の臨時職員に任される業務としては不自然だ 。

特に不気味なのは、「左右対称な方」と断定せず、「近いと思われる方」という応募者自身の主観に委ねた表現である。
客観的な事実よりも、本人がそう認識しているかどうかが重要だとでも言うような、その奇妙な配慮が異様さを際立たせていた。

この時、私は二つの求人広告の間に、無視できない共通構造があることに気づいた。

勤務地:前回の「△△郡」と今回の「××町」は、地図上で隣接する過疎地域である。

待遇:時給1,250円は、当時の地方臨時職員として好条件と言える。

構造:ありふれた業務内容と比較的良い待遇を提示し、最後の一文で、業務と全く無関係な身体的特徴を問う。

これらは、まるで同じ設計思想で作られた、二つの異なる罠のようだった。

この発見は、私の認識を決定的に変えた。
資料No.002は孤立した「点」ではなかった。
ウェブという広大な平面に、関連を疑わせるもう一つの「点」が現れたのだ。
偶然にしては、あまりに符合しすぎている。

私の調査は、この時から「珍奇な記録の収集」ではなくなった。
これらの一見無関係な求人広告群の裏に隠された、共通の意図を突き止めること。
それが新たな目的となった。
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