耽美少年にいたぶられる!

SSYM

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薔薇は真紅に染められる(吊り責め?、薔薇で叩かれる、流血表現あり)

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「モデル、ですか」

「そう。君の姿を一度絵に描き起こしてみたかったんだ」

 立つことを許され周囲を見てみると、このお部屋はおそらくアトリエでしょう。刷毛や絵の具などの画材が棚に並べている傍ら、乱雑に広がる作りかけの彫刻と雑に引き裂かれたキャンバスたち。

 長く使われていなかったのかホコリ臭く、湿っぽさを感じます。カーテンがひかれたままであるのも相まってお部屋全体が暗うございます。唯一光が射すのはお部屋の中央に置かれた一脚の椅子。天窓が一筋の光が射し込む不思議な構造でございます。

 そのまま手を引かれ、椅子にかけた私は僭越ながらモデルを務めさせていただくことになりました。しかしながらご主人さまは構図に悩まれている様子でございます。顔の向き、口角の角度、目を開く程度。様々細かく支持され可能な限り再現いたしました。薔薇の花束を抱えているポーズが比較的お眼鏡にかなったのか、筆を進めているご様子です。しかしながらやはり何かが違うらしいのです。書いては消して、破かれ丸められたスケッチが散らばるだけでした。


 もうこの体勢も辛うございます。どれぐらい時間が経ったのでしょう。射し込む光の角度も大きく変わった頃、諦めたのかご主人さまは完全に手を止めてしまいました。立ち上がりこちらに向かっておいでです。目の前に立たれたご主人さまは鎖を2度ほどひっぱられました。立て、ということなのでしょう。

「絵はよろしいのですか」

「君のすべてを見たい。きっと本質が見えていから納得いかないんだと思う」

 芸術、特に人物画は本質を捉えるもの。そういえばご主人さまがそんなことをおっしゃっていたような気がします。いつでしたっけ。フラッシュバックの目眩に混乱している私を気に留めず、ご主人さまはぼたんに手をかけらていました。
 絡みそうなほどに細い指たちは器用に釦をつまみ、穴に通していけば布と布との重なりが解けてしまいます。だんだんと素肌が顕になっていきます。全ての釦を外されたら最後。ご主人さまが何を望まれているのかは言わずもがな、理解しております。肩、腕と順番に光の下に露出させるとワンピースは重力に従順に落ちていってしまいました。布の落ちる音というのはここまで劣情を煽るものでしたっけ。

 下着もコルセットも取り払い、ご主人さまの御前、白昼の陽の下で私の裸体が晒されております。あまりの羞恥に息が上がり、紅潮する肌。そのまま立っていては居心地が悪く、椅子に座り自身の曲線を隠すために膝を抱え込みます。構図のご指示をいただきたく、じいっとご主人さまを見つめれば、彼はなにを思ったのか頬を優しくなで上げてくださりました。
 主人さまのお顔があまりにも近い。綺麗なお顔だとは思っておりましたが改めて目の前で拝見すれば陶器のような白い肌。整いすぎたパーツは人工物のように冷たい。愛しいものを見るような、慈悲を含んだ笑みを浮かべているのにも関わらずどこまでも暗い瞳。その闇を少しでも隠そうと努力する長い睫毛。

 射し込む光に当てられ、それらが一層引き立たされているそのお姿。人間離れした美しさと鬱屈さを持ち合わせたそれは、誠に人の間から生まれたのか疑いたくなる。

「お美しい」

 息を吐くように無意識的に出た称賛の言葉。何を言い出すのかと多少の驚きは見られましたが、嬉しいこと言うねとご主人さまは涼しげにおっしいました。最早言われ慣れていることなのでしょう。月並みの言葉でしか表せないことを恥ずかしく思い、目をついそらしてしまいます。

「でも僕は、僕よりももっと美しいものを知っている。

……これから見せてあげる」







 目の前には大きな姿見の鏡が運ばれ、あられのない自身の姿が否応無しに目に入ってしまいます。そこにいるのは木枷によって拘束され吊るされた女が一人。一糸まとわず、爪先立ちを強制されている哀れな姿でございます。そこに真っ白な薔薇の花束をもったご主人さまが暗闇から姿を現しました。包装紙の外されたそれは棘が削がれずに存在しております。大丈夫、ひどいことはするつもりないから。ご主人さまは無垢な笑顔でそうおっしゃるのです。

 彼は背部のすじをなぞるように薔薇の花たちを這わせていきます。触れるか触れないかの絶妙な距離がくすぐったい。彼の美徳と私の美徳は方向性が違うのでしょうか。そもそも美しいものとは一体何を射すのでしょう。そうぼうっと考える暇もつかの間、葉同士が叩きつけられる音が聞こえました。突然皮膚が裂け、じいんと熱を持つ感覚がございます。裂け目から温かいものがとろりと漏れ出し、雫となってこぼれ落ちていく。その雫の正体は薔薇の花々に貫かれて溢れた赤い愛液。息がつまり、防衛反応から逃げようと足が地から離れてしまいます。そうすると全体重が肩にかかり、さらなる痛みが走るのです。

 何度も叩かれ、ぶつかりあった鎖の奏でる金属音が響きます。それに私の嬌声が交わり始めるのに時間はかかりませんでした。いつしか痛みは恍惚をもたらす至上の悦びへと脳内で変換されるのでございます。
 多幸感で胸が満たされる一方で、受けている暴力が快楽へと変わることは自身が淫猥いんわいであることの証明。つまり罪でありもっと自身は罰せられないといけないと錯覚するのです。貪欲に痛みを求め始め腰を下品に揺らしてしまう。体を支えるのを疲れてきた頃、脚と脚とがゆるんだのを主人さまは見逃しませんでした。

「本当に堪え性が無い」

 大腿の間、私の秘部にすら容赦なく打ち付けられる花。敏感なところに打たれたその痛みすら愛しく、甘い吐息と獣以下の鳴き声が絶えず出てしまうのです。

 どうか下品な私をお許しください。

 罰してください。

 もっともっと。

 美しくも口角が上がりきり、さぞ楽しそうなご主人さまは何度も何度も飽きることなく私をぶち、止まることのない血液を見て彼はまた昂り再び花束を振りあげる。

 薔薇の棘は私を何度も刺し、傷口を抉り、広げ、血液が乾く間を与えてはくれないのです。







「ほら綺麗。やっぱり僕は赤い薔薇のほうが好きだな」

 君の血で赤色だ、そうおっしゃって差し出された薔薇を見る真っ白だったそれはまだらに色づいております。気が済んだのか手元の薔薇の香りを楽しむご主人さま。きっと鉄の臭いがきついでありましょうに、ご主人さまはなんだかうっとりとした笑みをうかべ、大事そうに抱え込みました。

突然ドアをノックする音が響きます。我に返ったご主人さまが返事をすると使用人が一言。お食事の用意ができたことを告げました。

「だ、そうだよ。一緒に食事をとろうか」

 ゆっくりと降ろされ、久々に地面に足をついた気がします。木枷を外されてしまえば、自身を支えるものがなくなり床にそのまま横たわってしまいました。血を流しすぎたのでしょう。鏡に映るのは背、腹、臀部にいたるまで全身に切り傷のある裸体の女。痛々しい姿のはずではございますがそのとろけた顔のだらしがないこと。薔薇を持つ気高き美少年と傍らに倒れ込む悦楽を享受しきったその獣の対比は確かに美しく感じました。
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