夏休みの同居人

かいかい

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彼なりの成仏方法

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「ふっふっふ……このお化けが口開けて爆睡してる頃に俺は毎日考えていたんだ……」


この日珍しく自ら早朝に起きている風雅は何やら様々な物をテーブルの上に並べて吟味している。


早くもお騒がせ幽霊少女の結羽との出会いから三日目の朝である。


流石に非現実的な事が三日も続くとあらゆる事に耐性が出来て来たようだ。


『朝からガサゴソうるしゃい……静かにして……』


その物音が不快だったようで結羽は布団を顔まで掛けて再び寝始めた。


「……俺の部屋なんだけどね。ええーい起きろ!!」


風雅は立ち上がり布団をバサッと奪い取る。


『ん~~~!!』


結羽は安眠妨害された事で手足をバタバタさせて訴えている。
よく考えたら自分は出会い初っ端からもっとえげつない事をしていたのだが。


「鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギスという言葉を思い出したんだ」


風雅は少し得意げにそう話すとポケットからあるものを取り出して結羽に振りかけた。


『え、なに!?ちょっやめっ』


驚いて流石に起きたようだが時既に遅し……


『これ……塩?』


自身の髪の毛についていたその粉末を指に取り舐めて確認をした。


「あれ……効いてない?」


風雅は予想外の結果だったようで少しキョトンとする表情を見せていた。


『あのねえ、何の祈りも込めてない塩で幽霊を成仏させられると思ったら大間違いだからね!それに成仏しないし、良くて祓うくらいだよ塩は!!』


結羽は頬を膨らましながらそう言い捨てる。


『それにこの塩って味塩じゃん!むしろ逆効果だって!』


「悪い悪い、成仏できるか試したんだよ。やっぱ無理か……」


そう言いつつもまだ腑に落ちないようでテーブルを眺めてる事に気づいた結羽は立ち上がりそこに近づき目にする。


『……料理酒と……ロウソク……蚊取り線香?そんなもので成仏できるかーい!!』


流石の結羽もこれにはツッコミをいれる。


『酒とロウソクは百歩譲って分かる!でも蚊取り線香って何よ!』


「線香が無かったからさ、代用出来ないかと思ってね……」


風雅はふだんのからかいをお返しする意味合いも込めていたようだ。


『こんなのに火つけたところでその近辺に近づけなくなるだけだよ!』


渦巻き状の物体を手に持ちながらそう訴える。
その姿はどこか愛らしい。


「おのれは蚊か!」


素早く的確なツッコミを入れる。
やはり三日目ともなると鍛えられている。


『もー!!とにかく今日も手がかり探しの旅に出るよ!』


「お前の目的は遊びたいだけだろ……」


こんな早い時間に起こした事を後悔しつつも、心のどこかでは期待している自分もいたようだ。



そんなこんなで、三日目が始まった。


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