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日本政府の陰謀
黄昏の国家39
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今回は可成りのダメージを受けたことになる。
また、オーイックスが関与したと、猛抗議を受けるだろう。
しかしながら、ネットワークの修正とアップデートは完了済みである。
緊急会議に呼び出されるのは明白だ。
其処で、しらを最後まで押し通すか、それともオーイックスを巻き込んで、その資産を摂取する事を既に掴んでいる事を表ざたにするか。
これを公表すれば、日本政府はどう判断するだろうか。
どちらにしても、会議が開かれれば大荒れは間違いない。
兎に角、今回の件でどちらも死者が出ている。
この件においても責任追及が、双方でおおいに揉めるであろう。
遺族の対応もしなくてはならない。
IRの状況が、日本政府の軍事部門をオーイックスから吸収するのは、既に録画済みだ。
これを出すのに躊躇はしない。日本政府もこれが公になれば、国民からの批判は免れない。
繰り返しになるが、沢崎の言葉が極めて大きいのは判ったことである。
半壊した首相官邸は、事もなく再建された。
一部の団体からは、官邸の事案を明確にしろと、シュプレヒコールを上げている。
しかし、殆どそれらを無視し、強行した政府に関してどのメディアも批判的だ。
だが一か月も経つと何もなかったかのように沈痛した。
一種のマインドコントロールが働いたと唱えるコメンテータが言っていたが、それも露として消えて行った。
画して、日本政府によるオーイックスを叩くであろう緊急特別会議は開かれず、有耶無耶の影に収まっていった。
それでもシコリは残る。今後の体制を双方が整え、まずないであろう衝突だけは、収めたい処である。
例の事案から三日が過ぎた。
沢崎から高沢に電子メモに連絡が入る。さて、来たな、と内心思った。
「高沢さん、この間は大変でしたね、いえ、私どももそうでしたが…」
高沢はその白々しさに辟易したが、官邸の状況を今一度確認する意味で聞いてみた。
「沢崎さん、官邸での軍事ヘリ、あれは如何な事でした?」
「そう、あれは首相を守る訓練でした。処がどうでしょう?二機とも不具合を起こして官邸に激突。貴重な隊員を四人失いました。痛烈ですよ」
「そちらは、どうでした?」
あくまでも惚惚けるつもりなのか、話を曖昧にしたいのか、沢崎の人を喰ったような発言に苛立ちを感じた。
「私は緊急速報でその事件を確認致しました。我がオーイックスとしましては、もしお役に立てることがありましたら、苦労は厭厭わないですよ」
これも最大の皮肉だが、果たしてどうでるか。
「ははは、流石高沢さんだ、肝が据わっておられる。私たちはオーイックスに対して何の義解義解もありませんよ。お互いに外部の人たちから批判を受けたことは、痛切ですね」
これは、これで幕引きをしようとしているのか。
「処でIRの運用は如何ですか?沢崎さん」
一瞬間が空いたが「それはもう順調です。日本も米国同様、イリーガルとは違って本会ですから…」
「そうですか、それは何よりです」裏で鍔迫鍔迫り合いが続く。
沢崎はワザとらしく、「おっと、私たちのミーティングの時間です。それではご機嫌用」電子メモが切れた。
どこまでも食えぬ奴と思うも、これで終われば痛み分けであるが、果たして…。
機密隊の隊員一人の犠牲に置いては、オーイックス内で式を挙げた。
表ざって開示する事は出来ないので、遺族もそうだが他の部署においても箝口令を敷いた。
ギークたちもかなり精神を消耗している。
三日の休息を与えて今回の事案を其々処理してもらう事にした。
高沢は緊急会議を開き、オーイックスと日本政府とも距離感と、資産運用の開示をしない旨を伝えた。
これでは、堂々巡りではないかという意見も散見した。
しかしながら、オーイックスはそもそも日本政府から離脱した完全な独立組織だ。
本来なら互いにサポートしながら運営していくのが、正式な形だ。
それが、今は崩れかけている。
トップ同士の会談という意見も出たが、総理本人が出てくるのか、それは余りに重質な問題なので多分無理だろう。
では、川崎内閣副総理ではどうだろうか。川崎は気性が荒い。話になるか。
色んな思いが巡るが、オーイックスの存続は絶対に譲れない。
頃合いを見計らって電子メモで連絡を取る。
「おお!高沢くん、久しぶりだね」妙に機嫌がいい。何か裏があるのか、と感潜る。
「ご無沙汰しております、内閣副総理殿」
また、オーイックスが関与したと、猛抗議を受けるだろう。
しかしながら、ネットワークの修正とアップデートは完了済みである。
緊急会議に呼び出されるのは明白だ。
其処で、しらを最後まで押し通すか、それともオーイックスを巻き込んで、その資産を摂取する事を既に掴んでいる事を表ざたにするか。
これを公表すれば、日本政府はどう判断するだろうか。
どちらにしても、会議が開かれれば大荒れは間違いない。
兎に角、今回の件でどちらも死者が出ている。
この件においても責任追及が、双方でおおいに揉めるであろう。
遺族の対応もしなくてはならない。
IRの状況が、日本政府の軍事部門をオーイックスから吸収するのは、既に録画済みだ。
これを出すのに躊躇はしない。日本政府もこれが公になれば、国民からの批判は免れない。
繰り返しになるが、沢崎の言葉が極めて大きいのは判ったことである。
半壊した首相官邸は、事もなく再建された。
一部の団体からは、官邸の事案を明確にしろと、シュプレヒコールを上げている。
しかし、殆どそれらを無視し、強行した政府に関してどのメディアも批判的だ。
だが一か月も経つと何もなかったかのように沈痛した。
一種のマインドコントロールが働いたと唱えるコメンテータが言っていたが、それも露として消えて行った。
画して、日本政府によるオーイックスを叩くであろう緊急特別会議は開かれず、有耶無耶の影に収まっていった。
それでもシコリは残る。今後の体制を双方が整え、まずないであろう衝突だけは、収めたい処である。
例の事案から三日が過ぎた。
沢崎から高沢に電子メモに連絡が入る。さて、来たな、と内心思った。
「高沢さん、この間は大変でしたね、いえ、私どももそうでしたが…」
高沢はその白々しさに辟易したが、官邸の状況を今一度確認する意味で聞いてみた。
「沢崎さん、官邸での軍事ヘリ、あれは如何な事でした?」
「そう、あれは首相を守る訓練でした。処がどうでしょう?二機とも不具合を起こして官邸に激突。貴重な隊員を四人失いました。痛烈ですよ」
「そちらは、どうでした?」
あくまでも惚惚けるつもりなのか、話を曖昧にしたいのか、沢崎の人を喰ったような発言に苛立ちを感じた。
「私は緊急速報でその事件を確認致しました。我がオーイックスとしましては、もしお役に立てることがありましたら、苦労は厭厭わないですよ」
これも最大の皮肉だが、果たしてどうでるか。
「ははは、流石高沢さんだ、肝が据わっておられる。私たちはオーイックスに対して何の義解義解もありませんよ。お互いに外部の人たちから批判を受けたことは、痛切ですね」
これは、これで幕引きをしようとしているのか。
「処でIRの運用は如何ですか?沢崎さん」
一瞬間が空いたが「それはもう順調です。日本も米国同様、イリーガルとは違って本会ですから…」
「そうですか、それは何よりです」裏で鍔迫鍔迫り合いが続く。
沢崎はワザとらしく、「おっと、私たちのミーティングの時間です。それではご機嫌用」電子メモが切れた。
どこまでも食えぬ奴と思うも、これで終われば痛み分けであるが、果たして…。
機密隊の隊員一人の犠牲に置いては、オーイックス内で式を挙げた。
表ざって開示する事は出来ないので、遺族もそうだが他の部署においても箝口令を敷いた。
ギークたちもかなり精神を消耗している。
三日の休息を与えて今回の事案を其々処理してもらう事にした。
高沢は緊急会議を開き、オーイックスと日本政府とも距離感と、資産運用の開示をしない旨を伝えた。
これでは、堂々巡りではないかという意見も散見した。
しかしながら、オーイックスはそもそも日本政府から離脱した完全な独立組織だ。
本来なら互いにサポートしながら運営していくのが、正式な形だ。
それが、今は崩れかけている。
トップ同士の会談という意見も出たが、総理本人が出てくるのか、それは余りに重質な問題なので多分無理だろう。
では、川崎内閣副総理ではどうだろうか。川崎は気性が荒い。話になるか。
色んな思いが巡るが、オーイックスの存続は絶対に譲れない。
頃合いを見計らって電子メモで連絡を取る。
「おお!高沢くん、久しぶりだね」妙に機嫌がいい。何か裏があるのか、と感潜る。
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