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フェイクの罠
黄昏の国家43
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ばれた!そう判断したが、総理官邸はまだ静かだった。
手際よく特務隊は、ギークの指示に従い撤退した。
高沢は尾本から直接、暗殺の手順が終わったことを伝えた。
どの道、この方法しかなかったとはいえ、気分のいいものではない。
しかしながら、腹黒い政治家の一人を消去した事は国民にとっても有益だろう。
そう考える事にした。
しかし事態は意外な方向へ向かう。川崎は翌日の官邸で総理と会談をしている映像がTVに映し出された。どういう事だ。確かに体内に弾丸を打ち込んだ筈。
そして、その日の十三時より緊急記者会見をするというのだ。
事態が呑み込めない。機密隊の尾本も、確実に狼狽していた。
「機密隊、特務隊の行動は失敗なのでは?」一部の内情を知っている幹部たちが、囁いていた。
勿論、高沢もこの事態に焦りが生じているのが自分でも分かる。
現在時刻十二時三十四分、もうじき記者会見が始まる。
十三時、首相官邸にて川崎副総理が一声を発したことに、オーイックスのこれを知る幹部たちが驚愕した。
川崎はこう告げた。「私は昨日、何者かに銃撃されました。何の弾丸かは分かりませんが、今分析中です」
これは一対…。
「実は、私の皮膚の下には、セラミックコーティングされてまして、ある程度の弾丸やナイフは通用しないのです」
これが余裕を見せていた正体か。
直ちに機密隊の特に特務隊の、アリバイ作りを制作、運用させるよう各関係部署に命令を出した。
相手は副総理だ、必ずアクセスしてくるに違いない。
対応策としては、機密隊の存在は知れているので、特務隊の存在を消す事にする。
のちに総理官邸から、直通回線で高沢を出すように連絡がきた。
やはり来たな。「総理官邸です。オーイックスの高沢様へ内閣副総理より直接のお話があるそうです。受けますか」
受けなければ一発で被疑者にされる。
「構いません、繋げて頂けます」
「分かりました、繋げます」
どのような開口一番が飛び出すか。
「高沢くんかね、川崎と言えばわかるかな」
「勿論です、川崎副総理」
少し間を開けてから「この電話の意味が分かるかね」
高沢は 惚けて見せた。「いえ、川崎副総理から直接回線で連絡を頂く意味は私には分かり兼ねますが…」
はははと笑る川崎の言葉から、鋭利なナイフのような冷たさがあった。
「惚けるのはいい加減にしたらどうかね、高沢!」
此方は既に証拠を消している。特務隊のアリバイ工作も完ぺきだ。あとはどのように話を繋げるかだった。
へたに喋れば見抜かれる。
高圧の喋り方で威嚇をする川崎、高沢はそれに耐えていた。
「直ぐにでも公安を寄越す事も出来るんだぞ」やはり公安を出して来たか。
ではこちらも対応しよう。「どうぞ。オーイックスが貴方に狙撃したという証拠を揃えて頂きましょう」
川崎は、歯ぎしりをした。打ち込まれただけで、見当をオーイックスとIRの件を繋ぎ合わせただけなので、それ以上がない。
防犯・サーモカメラにも何も映ってはいなかった。これも特務隊の装備のお陰である。
「証拠なんぞいい!お前たちのオーイックスには特殊部隊が存在しているのは分かっているのだぞ、はぁはぁ」一挙に喋り倒したので息を切らす。
「副総理、我々は準公的機関です。軍隊ではありませんよ、そんなものが存在していたら、真っ先にマスコミにリサーチされておりますよ」
電話の向こうでは、川崎が地団駄を踏んでるのが良く分かる。余程悔しいのだろう。
「いずれしっぽを掴んでやる、覚えとけ!」バン!受話器を叩き付ける音と共に回線が切れた。
これで一山区切れたな、と高沢は思った。
こうなると川崎周辺は、可成りの厳戒態勢を取っている筈だ。
こうなれば暗殺は封印して、フェイク情報を流す手はずを取る。
社会的に抹殺すれば、嫌でも今の地位を保つことは出来まい。
社会政権部会という会合組織が、オーイックスには存在する。
情報操作やフェイク情報を流す情報機関の一部だ。
市川参謀総長にも、今回の件は当然伝わっている。やはりオーイックスを怪しむだろう。
それから一週間が過ぎた。永田町ではある噂が飛び交っていた。
川崎がハーレムを作っているとの情報だ。つまり多人数不倫の内訳だ。
手際よく特務隊は、ギークの指示に従い撤退した。
高沢は尾本から直接、暗殺の手順が終わったことを伝えた。
どの道、この方法しかなかったとはいえ、気分のいいものではない。
しかしながら、腹黒い政治家の一人を消去した事は国民にとっても有益だろう。
そう考える事にした。
しかし事態は意外な方向へ向かう。川崎は翌日の官邸で総理と会談をしている映像がTVに映し出された。どういう事だ。確かに体内に弾丸を打ち込んだ筈。
そして、その日の十三時より緊急記者会見をするというのだ。
事態が呑み込めない。機密隊の尾本も、確実に狼狽していた。
「機密隊、特務隊の行動は失敗なのでは?」一部の内情を知っている幹部たちが、囁いていた。
勿論、高沢もこの事態に焦りが生じているのが自分でも分かる。
現在時刻十二時三十四分、もうじき記者会見が始まる。
十三時、首相官邸にて川崎副総理が一声を発したことに、オーイックスのこれを知る幹部たちが驚愕した。
川崎はこう告げた。「私は昨日、何者かに銃撃されました。何の弾丸かは分かりませんが、今分析中です」
これは一対…。
「実は、私の皮膚の下には、セラミックコーティングされてまして、ある程度の弾丸やナイフは通用しないのです」
これが余裕を見せていた正体か。
直ちに機密隊の特に特務隊の、アリバイ作りを制作、運用させるよう各関係部署に命令を出した。
相手は副総理だ、必ずアクセスしてくるに違いない。
対応策としては、機密隊の存在は知れているので、特務隊の存在を消す事にする。
のちに総理官邸から、直通回線で高沢を出すように連絡がきた。
やはり来たな。「総理官邸です。オーイックスの高沢様へ内閣副総理より直接のお話があるそうです。受けますか」
受けなければ一発で被疑者にされる。
「構いません、繋げて頂けます」
「分かりました、繋げます」
どのような開口一番が飛び出すか。
「高沢くんかね、川崎と言えばわかるかな」
「勿論です、川崎副総理」
少し間を開けてから「この電話の意味が分かるかね」
高沢は 惚けて見せた。「いえ、川崎副総理から直接回線で連絡を頂く意味は私には分かり兼ねますが…」
はははと笑る川崎の言葉から、鋭利なナイフのような冷たさがあった。
「惚けるのはいい加減にしたらどうかね、高沢!」
此方は既に証拠を消している。特務隊のアリバイ工作も完ぺきだ。あとはどのように話を繋げるかだった。
へたに喋れば見抜かれる。
高圧の喋り方で威嚇をする川崎、高沢はそれに耐えていた。
「直ぐにでも公安を寄越す事も出来るんだぞ」やはり公安を出して来たか。
ではこちらも対応しよう。「どうぞ。オーイックスが貴方に狙撃したという証拠を揃えて頂きましょう」
川崎は、歯ぎしりをした。打ち込まれただけで、見当をオーイックスとIRの件を繋ぎ合わせただけなので、それ以上がない。
防犯・サーモカメラにも何も映ってはいなかった。これも特務隊の装備のお陰である。
「証拠なんぞいい!お前たちのオーイックスには特殊部隊が存在しているのは分かっているのだぞ、はぁはぁ」一挙に喋り倒したので息を切らす。
「副総理、我々は準公的機関です。軍隊ではありませんよ、そんなものが存在していたら、真っ先にマスコミにリサーチされておりますよ」
電話の向こうでは、川崎が地団駄を踏んでるのが良く分かる。余程悔しいのだろう。
「いずれしっぽを掴んでやる、覚えとけ!」バン!受話器を叩き付ける音と共に回線が切れた。
これで一山区切れたな、と高沢は思った。
こうなると川崎周辺は、可成りの厳戒態勢を取っている筈だ。
こうなれば暗殺は封印して、フェイク情報を流す手はずを取る。
社会的に抹殺すれば、嫌でも今の地位を保つことは出来まい。
社会政権部会という会合組織が、オーイックスには存在する。
情報操作やフェイク情報を流す情報機関の一部だ。
市川参謀総長にも、今回の件は当然伝わっている。やはりオーイックスを怪しむだろう。
それから一週間が過ぎた。永田町ではある噂が飛び交っていた。
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