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電話に出たのは・・・
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俺は高校三年生になった。もう学校に海斗はいない。弁当は級友たちと食べる。スーパースターがいなくなって、学校が静かになったように感じる。だがしかし、あの笠原が、サッカー部のエースだとかで、意外に後輩女子たちに人気があるのが驚きだった。放課後になるとフェンスに張り付いてキャピキャピしている女子が何人かいるのだった。
「俺、けっこうモテるんだぜ。海斗さんほどじゃねーけどよ。」
笠原が言う。
「へーえ。」
俺が大したリアクションもしないでいると、笠原が俺の顔を見て、
「お前も、割と人気があるらしいぞ。」
と言った。
「は?」
初耳だ。地味な山岳部員にファンがいるとは到底思えない。
「去年、海斗さんと一緒に昼休みに注目を浴びていただろ?あれは、海斗さんのファンだけじゃなくて、岳斗のファンもいたんだって。」
おこぼれ?何となく、神様の弟は神聖なる存在、みたいな?
ウイークリーマンション住まいは解消し、かつての自分の部屋に寝るようになっている。母さんは、海斗がいなくなってからと言うもの、前よりも俺にかまうようになり、寂しくはない。何しろあのアパートの地獄に比べたら、快適この上ない。だが・・・海斗の部屋の前を通る度、ため息がこぼれる。こんなに離れた事はなかった。母さんも同じで、二人で慰め合っている感じだった。わざと二人で明るく振舞ったりして。でも、俺も、母さんも寂しくて仕方がない。
母さんには悪いけど、俺はほぼ毎日電話で海斗と話していた。夜になると海斗から電話がかかってきて、それほど長電話でもないけれど、声を聞いて「お休み」を言うのが日課のようになっていた。ほとんど電話もした事がなかった俺と海斗なので、電話で話すのは新鮮だった。電話だと、声が耳元で聞こえて、すごく近くにいる感じがする。会えないのはつらいけれど、毎晩の楽しみがあるので、我慢も出来た。
ところが、しばらくすると電話は毎日ではなくなっていった。
「俺さ、バイト始めたんだ。イタリアンのお店なんだけど、夜まで仕事だから、電話は今までみたいに毎晩は出来ないかも。」
海斗がある日言った。仕送りがあるにしても、きっと足りないだろうし、バイトが必須なのは分かる。だが、こう言われると不安にさいなまれる。毎晩の電話がなくなったら、俺は何を楽しみに毎日を過ごせばいいのか。あの、飢えに耐えていた時でさえ、毎日海斗に会えるから我慢できた。会えず、電話もできなくなったら、たとえ衣食住が満たされていても、生きている甲斐がない。
そして本当に、電話が来なくなった。バイト中かもしれないから、こちらからかけるわけにもいかず、昼間は俺が学校に行っているし。週末なら大丈夫かなと思って、土曜日の夜にかけてみた。
「はい。もしもし?」
びっくりした。女の子が出たのだ。俺は思わず電話を切ってしまった。なぜ、海斗の電話に女の子が出るのだ?まさか・・・海斗の家に女の子が?だいたい、海斗はあれだけモテるのだ。俺が近くにいないなら、彼女や彼氏の一人や二人作ってもおかしくないのではいか。そうでなければやっていられないとか。だって、知り合いもほとんどいないし、寂しくて、誰かに一緒に寝て欲しいとか・・・。オー、ノー!
俺は頭を抱えた。考え過ぎかもしれない、と何度も考えた。だが、海斗から折り返しの電話が来ない。LINEしてみようかとも思ったが、何か用があるわけでもないし、何て書けばいいのか分からず、断念した。
夜中、眠れずに過ごした。海斗が引っ越してから一カ月以上経った。夏休みまで会えないのか・・・それまで何度電話が来るのだろう。もしかしたら、他に好きな人が出来て、俺の事なんてどうでもよくなったのかも。そうだ、バイト先でいい人を見つけてしまったに違いない。朝になって、あまりにも気分が落ち込んで、ぐるぐると悪い事ばかり考えてしまって、
「海斗のバカ」
とLINEに打った。そろそろテスト勉強を始めないといけないので、それからはなるべく海斗の事は考えないようにして、勉強に励んだ。
「俺、けっこうモテるんだぜ。海斗さんほどじゃねーけどよ。」
笠原が言う。
「へーえ。」
俺が大したリアクションもしないでいると、笠原が俺の顔を見て、
「お前も、割と人気があるらしいぞ。」
と言った。
「は?」
初耳だ。地味な山岳部員にファンがいるとは到底思えない。
「去年、海斗さんと一緒に昼休みに注目を浴びていただろ?あれは、海斗さんのファンだけじゃなくて、岳斗のファンもいたんだって。」
おこぼれ?何となく、神様の弟は神聖なる存在、みたいな?
ウイークリーマンション住まいは解消し、かつての自分の部屋に寝るようになっている。母さんは、海斗がいなくなってからと言うもの、前よりも俺にかまうようになり、寂しくはない。何しろあのアパートの地獄に比べたら、快適この上ない。だが・・・海斗の部屋の前を通る度、ため息がこぼれる。こんなに離れた事はなかった。母さんも同じで、二人で慰め合っている感じだった。わざと二人で明るく振舞ったりして。でも、俺も、母さんも寂しくて仕方がない。
母さんには悪いけど、俺はほぼ毎日電話で海斗と話していた。夜になると海斗から電話がかかってきて、それほど長電話でもないけれど、声を聞いて「お休み」を言うのが日課のようになっていた。ほとんど電話もした事がなかった俺と海斗なので、電話で話すのは新鮮だった。電話だと、声が耳元で聞こえて、すごく近くにいる感じがする。会えないのはつらいけれど、毎晩の楽しみがあるので、我慢も出来た。
ところが、しばらくすると電話は毎日ではなくなっていった。
「俺さ、バイト始めたんだ。イタリアンのお店なんだけど、夜まで仕事だから、電話は今までみたいに毎晩は出来ないかも。」
海斗がある日言った。仕送りがあるにしても、きっと足りないだろうし、バイトが必須なのは分かる。だが、こう言われると不安にさいなまれる。毎晩の電話がなくなったら、俺は何を楽しみに毎日を過ごせばいいのか。あの、飢えに耐えていた時でさえ、毎日海斗に会えるから我慢できた。会えず、電話もできなくなったら、たとえ衣食住が満たされていても、生きている甲斐がない。
そして本当に、電話が来なくなった。バイト中かもしれないから、こちらからかけるわけにもいかず、昼間は俺が学校に行っているし。週末なら大丈夫かなと思って、土曜日の夜にかけてみた。
「はい。もしもし?」
びっくりした。女の子が出たのだ。俺は思わず電話を切ってしまった。なぜ、海斗の電話に女の子が出るのだ?まさか・・・海斗の家に女の子が?だいたい、海斗はあれだけモテるのだ。俺が近くにいないなら、彼女や彼氏の一人や二人作ってもおかしくないのではいか。そうでなければやっていられないとか。だって、知り合いもほとんどいないし、寂しくて、誰かに一緒に寝て欲しいとか・・・。オー、ノー!
俺は頭を抱えた。考え過ぎかもしれない、と何度も考えた。だが、海斗から折り返しの電話が来ない。LINEしてみようかとも思ったが、何か用があるわけでもないし、何て書けばいいのか分からず、断念した。
夜中、眠れずに過ごした。海斗が引っ越してから一カ月以上経った。夏休みまで会えないのか・・・それまで何度電話が来るのだろう。もしかしたら、他に好きな人が出来て、俺の事なんてどうでもよくなったのかも。そうだ、バイト先でいい人を見つけてしまったに違いない。朝になって、あまりにも気分が落ち込んで、ぐるぐると悪い事ばかり考えてしまって、
「海斗のバカ」
とLINEに打った。そろそろテスト勉強を始めないといけないので、それからはなるべく海斗の事は考えないようにして、勉強に励んだ。
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