5日間ホテルに滞在して大阪・関西万博のボランティア活動をしてみた

夏目碧央

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エリア活動東~後半

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 化粧直しはできなかったが、何とかギリギリ間に合った。遠い従業員食堂へ行った人たちの方がよっぽど余裕があった。だが食堂はまだモーニングメニューで、あと数分で普通のメニューだったのに、と言って皆さん残念がっていた。
 そして、またみんなで移動になったのだった。いやー、体が重いのは寝不足のせいかもしれん。汗びっしょり。パーカーを脱いで、長袖のインナーの上にユニフォームのベストを着た。あーあ、お客さんをおもてなしするのに、顔が汗でベタベタとは。残念。
 それにしても、今日は目が楽だった。ここ数日、風も強くて目が乾燥して、しょっちゅう目薬を点していたが、今日は湿度が高いせいか楽だった。京都の女性もやはり目が楽だと言っていた。つまり、あと2回分くらいしかない目薬も、まだ残っていたのだった。抗菌目薬は1度だけ点した。あまり何度も点すのは気が引けるが、今日はそう何度も点さずに済みそうだ。
 今度は東ゲートから大屋根リングに向かう途中の、ミャクミャク(座っている)の隣辺りに立った。京都の女性は中国語や英語のバッジをつけていて、頼もしい限り。中国語の人が来てくれないと嘆いていた。
 しかし、またここでも無口かと思った男性の語りが。そう、彼はお客さんには不愛想だしあまり語らない。お客さんにうんちくを語るタイプかと思ったら、お客さんではなく我々仲間に語るタイプだったのだ。
 まだ万博の話ならいいが、京都の寺の話だとか、大阪の観光地の話まで。我々はUSJと略す事の多いユニバーサル・スタジオ・ジャパンの事を、関西の人は「ユニバ」と略すのだと今回改めて知ったのだが、
「ユニバ、行った事ある?」
などと聞かれた。ここ10年で比べたら、ディズニーよりもたくさん行っていると言ってやった。まあ、2回なのだが。
 私がこの後彦根城に寄ってから帰ると言ったら、姫路城に行って欲しい等と言う。姫路城だと帰り道にならないぞ。そして姫路城の入館料が高くなった話とか、ずいぶん私と京都の女性に向かってしゃべっていた。大阪の女性に背を向けて。
 この男性のせいで(多分)、あまりお客さんから話し掛けてもらえない。今日はいつもよりも絶対に少なかったと思う。そりゃ、こちらが夢中でしゃべっていたら、話し掛けづらいだろう。他にもボランティアはいるのだし、そっちに声を掛けに行くだろう。
 それでも、やはりボードと一緒に写真を撮りたいという人もいた。ある、赤ちゃんを連れた3人家族が写真を撮りたいと言って、大屋根リングを背に写真を撮ってあげた。この時、赤ちゃんをまずベビーカーから抱っこして、そして赤ちゃんがなかなかこっちを向かないなど、時間がかかった。
 実は、写真を撮るという事になった時、「あ、自分も撮って欲しい」と思ったであろう1人の男性客がいた。離れた所で赤ちゃん連れのお客さんを見守っている。その赤ちゃん連れの人の写真を撮ってあげたのは私ではない。私はその男性を、次に撮って差し上げようと思っていた。
 赤ちゃん連れに時間がかかってしまったし、他にもボードを持っているボランティアがいるから、そっちへ行くかなーと思っていたが、その男性は他へは行かなかった。一度は諦めたようにちょっと我々から離れたのだが、やっぱり近くに戻ってきた。赤ちゃん連れの写真撮影が終わった時、私はその男性に声を掛けた。
「撮りましょうか?」
そうしたら、遠慮して近づいてこなかった男性は破顔して、
「おじさんでもいいですか?」
と言う。
「もちろんですよ。私もおばさんですから。」
などと言って、ボードを差し出すと、
「おじさんなのにすみません。」
と、何度もおじさんなのにと言いつつ、ボードを持って写真に納まった。そうしたら、例の無口かと思ったら違った男性が、
「一緒に撮れば良かったんじゃない?ああ、でも色々と問題になるか?」
と言った。何の事か一瞬分からなかったが、私も一緒に写真に納まってあげれば良かったんじゃないかと言ったようだ。けれども、もし相手に奥さんがいたりして、この女性なに?となったら困るみたいな下世話な話だったようだ。こんな帽子を被ったおばさんが一緒に写っていても、目くじらを立てる奥さんはいないと思うが、そもそも一緒に写る必要がない。もしボランティアさんも一緒にと言われたら、あんたが積極的に一緒に写ってくれれば問題ないじゃないか。
 ボランティアさんは、9割以上がいい人だ。ボランティア精神にあふれている。だが、たまに問題行動、問題発言をする人がいる。今日ご一緒した男性は、それほどの問題行動ではないけれど、ボランティアさんには珍しいタイプの人だった。あまり人を悪く言いたくないが、次はご一緒したくない。出禁にしてとまでは言わないが。そうだな、どうにか伝えたい。そうやってしゃべりまくっているとお客さんが話し掛けづらいよと。なかなか年上っぽい男性に意見するのが難しい。京都の人はけっこうはっきり言っていたな。さすが京都人。京都っぽい人だったな、綺麗でね。京都っぽい人って言うのも偏見かな。失敬。
 そう、その綺麗な京都の人は、私が東京から泊りがけで来ていると聞いて勇気をもらったと言っていた。自分も少し遠いところで通訳のボランティアをやりたくても、夫の手前出られないのだそうだ。けれども、もっと遠いところでいっそ泊りがけで行ってしまえば行ける、と思ったようだ。私なんかでも人の背中を押したり、勇気を与えたりする事があるのだな。
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