5日間ホテルに滞在して大阪・関西万博のボランティア活動をしてみた

夏目碧央

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天守閣

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 靴を脱いで中に入った。すると、下りる人たちがワーワー言っている階段が出てきた。あまりに急すぎて、お年寄りは一人で降りられないという状況だった。
 とにかく手すりをぐっと引き寄せて上るしかない。もう、疲れたなんて言っていられないぞ。もうすぐ上から琵琶湖が見られるのだ。まあ、途中でもチラッと見たけのだけれど。
 城の造りをじっくり見るという余裕がない。そうそう、外の階段の途中で暑くなり、コートを脱いで手に持っていた。今もそう。やっぱりコートはロッカーに入れておくべきだった。
 やった!てっぺんに来たぞ。琵琶湖はどこだ?見えたー!あっちの窓からもこっちの窓からも写真を撮る。窓には金網が張られていて、スマホのカメラレンズを金網の穴に入れるようにして撮った。だが、写真に撮るよりも実際に見る方が綺麗だ。
 さて、一通り見たので帰るか。と、やっぱり急な階段である。私はまだ、降りるのは大丈夫。
 お、一段下にも窓があり、こっちには金網がない。そしてこんな表示が。
「インスタ映えスポット(伊吹山と玄宮園)」
こっちにも。
「インスタ映えスポット(城下町まち並みと琵琶湖)」
そのインスタ映えするという窓から写真を撮ったが、手前の屋根が大きく映り込む。むしろこっちの方が綺麗じゃないか、と思う窓からも写真を撮り自己満足。
 そしてまた階段を下り、外に出たのだった。やはり10分か15分で済んだ。無謀な計画ではなかったのだ。でもまあ、天守閣の周りの散策までしたら30分では足りないのだが。
 外には着見台(つきみだい)というのがあった。おぉ、むしろこっちの方が琵琶湖ビューが最高かもしれない。大パノラマだ。
 いつまでも見ていたかった。ボーっと見とれていたが、虫に襲われて我に返った。そろそろ帰るか。
 ひこにゃんのパネルがあって、子供がそこで写真を撮ってもらっていた。それを見て、ひこにゃんも撮ろうかなと思ったら、お一人様の男性が待っていて、子供の撮影が終わったら、パネルの傍へ行って自撮りを始めた。私はその男性が終わるのを待ったが、なかなか終わらない。どんだけ自撮りするのだ。
 やっと空(あ)いた。私は一緒に撮らなくていい。ひこにゃんだけを撮った。写真を見ると、なんだかCGみたいになっている。
 16:42だった。放送で、そろそろ出るようにと急かされる。また石段を降り始めた。
 いやー、やっぱり急だよな。よく上って来たものだ。中年男性の一団が、両手に棒を持って、突きながら歩いていた。これだと全然疲れないと言っている。抜きつ抜かれつしていたが、大きな階段のところでは、私はとんとんと駆け降りるようにして行ったので、断然棒を突くよりも速かった。だがこれが、実は膝に良くなかったかもしれない。翌日左膝が痛くて歩けなくなったから。湿布を貼ったらすぐに治ったが。
 それにしても、万博ボランティアでだいぶ歩いて疲れたというのに、最後にこんなに足を使う事になるとは。控えめに言ってバカだった。今日が一番過酷だった。疲れている時に城はミスチョイスだった。

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