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人力車
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城を出た頃、スマホにお知らせが来た。35分後に雨が降るという。天気アプリを見たら、かなりの土砂降り雨が来るらしい。傘はロッカーに置いて来てしまったし、うかうかしていたら降られるではないか。
急ぎ帰ろうと思い、道路に出たところで人力車が2台停まっているのに出くわした。前を通り過ぎると「こんにちは」と挨拶された。人力車か……。もう足がガクガクのパンパンだし、ゆっくりしていたら雨が来るし。乗ってしまおうか?
一応お値段を聞いてみた。駅まで送るなら1000円だと言う。駅まで何分くらい掛かるか聞いたら10分だと言う。10分!?人が引いて行くんでしょ?すごいな。この時には徒歩23分の距離を10分で行っちゃうんだ!と驚いたが、後から考えたらここからなら15分だった。でも、重たい物を運ぶのに、更に早く着くというのは驚きだった。
1000円はちょっと高い気もしたが、足が疲れている上に、良い経験にもなると思ったので、お願いする事にした。おしゃべりしたりすると10分じゃ着かないかも、と2人の車夫さんで話していたので、駅の辺りでご飯を食べるかもしれないし、電車の時間は決まっていないから大丈夫と言って乗せてもらった。
車夫さんは男性と女性だった。通り過ぎた後に数歩戻って話し掛けたら、たまたま女性に話し掛ける事になったので、女性の方に乗せてもらう事になった。すごいなあ、女性で人力車を引っ張って走るなんて。
まず写真を撮ってもらった。車夫のお姉さんにも一緒に入ってもらった。ポーズを決めてくれた。いい感じだ。私は精いっぱい笑ったが、疲れにより顔が引きつっていた。まあ、写真を見たらいつもと変わらない顔だったのだが。
そして出発。涼しい!ひざ掛けは暑いので、写真を撮った後は畳んで隣に置いておいた。スカートじゃないから無しでも大丈夫。ちょっと前のめりになりそうなので、両手でつかまって、なおかつ背中で寄りかかるように乗る必要がある。
断然タクシーより良かった。気持ちがいい。何しろ壁がないのだから。お姉さんは颯爽と走る。お堀を見ながら風を切る。この涼しさを味わうだけでも乗った甲斐があった。
しかも、お城の説明などもしてくれる。彦根城は築400年の現存天守を持つ城だそうだ。そういう城は日本に12しかないらしい。古い物を残して行く事も大事だが、その為にあまり街が発展しないという事だった。確かに、お土産屋さんもあまり近くになかったし、こう言ってはなんだが、駅周辺もそれほどにぎわっていない。
私が大阪の帰りに寄ったと言ったら、ここまで来てくれて嬉しいと言っていた。それから、ひこにゃんは滋賀県一の稼ぎ頭だと何度も言っていた。ひこにゃんは昼間にしか来ないでしょうと言ったら、平日の午前中には公務があるから城にはいないという事だった。
公務とは何かと思ったら、例えば婚姻届けを滋賀県で出すと、ひこにゃんと記念撮影ができるとか。そういう公務で忙しいらしい。
ひこにゃんは、同時に2体が存在する事はないそうだ。一瞬でワープする事はあっても、同時に出没はしないらしい。ミッキーマウスと同じだとか。ミライトワやソメイティもそうだよね?
そういえば、駅が閑散としていたと思ったら、バスは15時半で終わってしまうと聞いた。バスに乗ろうなどと考えていたらショックを受ける所だった。お姉さんは、彦根はひこにゃんのお陰で知名度は上がったが、ちょっと他の観光地と離れていて、なかなか足を伸ばしてもらえないと言っていた。
あと、飛んで埼玉の映画は観ましたかと聞かれた。琵琶湖編。あー、そうだった。あの映画の舞台は滋賀県だった。私は埼玉出身なので~と盛り上がった。あの映画は、地元の人でないと分からない笑いが込められているよね、などとも。映画を観た時に「とびた」がいっぱい出てきて、地元民にはうけるだろうなと思っていた。お姉さんが言うには、ゲジゲジとか、色々な滋賀県ネタは実際にある事だという。そうだろうね。
道が大きくなってきた頃、選挙カーと並んだ。人力車は自動車と一緒に車道を走るのだ。驚きだ。もちろんそんなにスピードは出ないわけだが。浅草もそうなのか?
それで、選挙カーと並んで信号待ちをしたら、選挙カーに乗っている人(候補者だろうか)がお姉さんに、
「鍛えてるねえ。ダイエットになるね。」
みたいな事を言っていた。お姉さんは、走った後に食べちゃうから全然痩せないと言っていた。だが……体を使って仕事をしている人に、ダイエットがどうのとか、男性にも言うだろうか。どうもセクハラチックに聞こえてしまうのだが。お姉さんは健康的なスタイルをしていて、ちっとも痩せる必要はないと思う。ダイエットという言葉を持ち出すのは失礼だ。全く。これだから地方のオヤジは……おっと!地方差別発言。前言撤回。地方だろうが東京だろうがそれ以外の大都市だろうが、考えの古いオヤジはいるだろう。
駅に着いた。本当に10分だった。お姉さんにパンフレットをもらった。中を見ると、いくつかコースがある。1000円はちょい乗りコースだったようだ。
ちなみに料金は前払いだった。現金のみで、千円札がないなと思ったが、500円玉が2つあったのでそれで払って喜ばれた。おつり無しがいいものね。500円玉が2つあったのは、100円玉を作るために2度、千円札で水を買ったからだ。
けっこう涼しくなってきて、コートを着た。さて、目の前に「近江牛」と書いた看板のある店がある。近江牛が食べたい。
だが、食品サンプルが飾ってあるメニューを見ても、牛肉料理がない。ウナギや揚げ物ばかり。うーん、どうしようか。今1000円使ってしまったし、やっぱり辞めるか。コンビニで何か食べ物を買おうかと思ったが、20分後の電車に乗りたかったので、迷っていると時間がなくなりそうだったから辞めた。
急ぎ帰ろうと思い、道路に出たところで人力車が2台停まっているのに出くわした。前を通り過ぎると「こんにちは」と挨拶された。人力車か……。もう足がガクガクのパンパンだし、ゆっくりしていたら雨が来るし。乗ってしまおうか?
一応お値段を聞いてみた。駅まで送るなら1000円だと言う。駅まで何分くらい掛かるか聞いたら10分だと言う。10分!?人が引いて行くんでしょ?すごいな。この時には徒歩23分の距離を10分で行っちゃうんだ!と驚いたが、後から考えたらここからなら15分だった。でも、重たい物を運ぶのに、更に早く着くというのは驚きだった。
1000円はちょっと高い気もしたが、足が疲れている上に、良い経験にもなると思ったので、お願いする事にした。おしゃべりしたりすると10分じゃ着かないかも、と2人の車夫さんで話していたので、駅の辺りでご飯を食べるかもしれないし、電車の時間は決まっていないから大丈夫と言って乗せてもらった。
車夫さんは男性と女性だった。通り過ぎた後に数歩戻って話し掛けたら、たまたま女性に話し掛ける事になったので、女性の方に乗せてもらう事になった。すごいなあ、女性で人力車を引っ張って走るなんて。
まず写真を撮ってもらった。車夫のお姉さんにも一緒に入ってもらった。ポーズを決めてくれた。いい感じだ。私は精いっぱい笑ったが、疲れにより顔が引きつっていた。まあ、写真を見たらいつもと変わらない顔だったのだが。
そして出発。涼しい!ひざ掛けは暑いので、写真を撮った後は畳んで隣に置いておいた。スカートじゃないから無しでも大丈夫。ちょっと前のめりになりそうなので、両手でつかまって、なおかつ背中で寄りかかるように乗る必要がある。
断然タクシーより良かった。気持ちがいい。何しろ壁がないのだから。お姉さんは颯爽と走る。お堀を見ながら風を切る。この涼しさを味わうだけでも乗った甲斐があった。
しかも、お城の説明などもしてくれる。彦根城は築400年の現存天守を持つ城だそうだ。そういう城は日本に12しかないらしい。古い物を残して行く事も大事だが、その為にあまり街が発展しないという事だった。確かに、お土産屋さんもあまり近くになかったし、こう言ってはなんだが、駅周辺もそれほどにぎわっていない。
私が大阪の帰りに寄ったと言ったら、ここまで来てくれて嬉しいと言っていた。それから、ひこにゃんは滋賀県一の稼ぎ頭だと何度も言っていた。ひこにゃんは昼間にしか来ないでしょうと言ったら、平日の午前中には公務があるから城にはいないという事だった。
公務とは何かと思ったら、例えば婚姻届けを滋賀県で出すと、ひこにゃんと記念撮影ができるとか。そういう公務で忙しいらしい。
ひこにゃんは、同時に2体が存在する事はないそうだ。一瞬でワープする事はあっても、同時に出没はしないらしい。ミッキーマウスと同じだとか。ミライトワやソメイティもそうだよね?
そういえば、駅が閑散としていたと思ったら、バスは15時半で終わってしまうと聞いた。バスに乗ろうなどと考えていたらショックを受ける所だった。お姉さんは、彦根はひこにゃんのお陰で知名度は上がったが、ちょっと他の観光地と離れていて、なかなか足を伸ばしてもらえないと言っていた。
あと、飛んで埼玉の映画は観ましたかと聞かれた。琵琶湖編。あー、そうだった。あの映画の舞台は滋賀県だった。私は埼玉出身なので~と盛り上がった。あの映画は、地元の人でないと分からない笑いが込められているよね、などとも。映画を観た時に「とびた」がいっぱい出てきて、地元民にはうけるだろうなと思っていた。お姉さんが言うには、ゲジゲジとか、色々な滋賀県ネタは実際にある事だという。そうだろうね。
道が大きくなってきた頃、選挙カーと並んだ。人力車は自動車と一緒に車道を走るのだ。驚きだ。もちろんそんなにスピードは出ないわけだが。浅草もそうなのか?
それで、選挙カーと並んで信号待ちをしたら、選挙カーに乗っている人(候補者だろうか)がお姉さんに、
「鍛えてるねえ。ダイエットになるね。」
みたいな事を言っていた。お姉さんは、走った後に食べちゃうから全然痩せないと言っていた。だが……体を使って仕事をしている人に、ダイエットがどうのとか、男性にも言うだろうか。どうもセクハラチックに聞こえてしまうのだが。お姉さんは健康的なスタイルをしていて、ちっとも痩せる必要はないと思う。ダイエットという言葉を持ち出すのは失礼だ。全く。これだから地方のオヤジは……おっと!地方差別発言。前言撤回。地方だろうが東京だろうがそれ以外の大都市だろうが、考えの古いオヤジはいるだろう。
駅に着いた。本当に10分だった。お姉さんにパンフレットをもらった。中を見ると、いくつかコースがある。1000円はちょい乗りコースだったようだ。
ちなみに料金は前払いだった。現金のみで、千円札がないなと思ったが、500円玉が2つあったのでそれで払って喜ばれた。おつり無しがいいものね。500円玉が2つあったのは、100円玉を作るために2度、千円札で水を買ったからだ。
けっこう涼しくなってきて、コートを着た。さて、目の前に「近江牛」と書いた看板のある店がある。近江牛が食べたい。
だが、食品サンプルが飾ってあるメニューを見ても、牛肉料理がない。ウナギや揚げ物ばかり。うーん、どうしようか。今1000円使ってしまったし、やっぱり辞めるか。コンビニで何か食べ物を買おうかと思ったが、20分後の電車に乗りたかったので、迷っていると時間がなくなりそうだったから辞めた。
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