60 / 61
新幹線の乗り換え~帰宅
しおりを挟む
ロッカーから荷物を取り出した。いつの間にか付いた手の甲の傷は、ロッカーの出し入れで付いたものと思われる。それに、次の日に両腕が筋肉痛になったのも、ロッカーの出し入れが原因だと思われる。夫に非力だと言われたが、スーツケースが重いのだ。扉は押さえていないと閉まってしまうし。
そういえば、感染症禍に始めた一人旅も、その後は夫婦旅になってしまい、何でも夫に頼れて楽だが、面白くない感じがしていた。が、ボランティア旅はおのずと一人旅になった。また一人旅が出来て良かったなあ。
さて、重たいスーツケースとリュック、ポシェットを持ち、エレベーターでホームへ降りた。駅の売店で食べ物を買おうかと思っていたが、時間もないし売店も見かけなかった。
彦根から米原までは5分。そう、「米原」は「まいばら」と読む。万博のボランティアの休憩中に、帰りは彦根に寄って「よねはら」から新幹線に乗ると言ったら「まいばらね」と関西の人たちに訂正されたのだった。知らなかった。「まいばら」と読むなんて。
米原駅で新幹線に乗りかえる。新幹線に乗る人は、スーツケースなどを引いている事が多いと思うのだが、この乗り換えには数段の階段がある。この段差をどうにかできないものかね。
米原からは「こだま」に乗った。自由席は1~4号車。4号車に乗ると、それなりに人はいたが、2列目の2人席が空いていたので、そこに座った。名古屋までこれに乗って行く。
お腹が空いた。飴を舐めてごまかした。後々、リュックにドリンクゼリーが入っていたのだからそれを飲めば良かったと後悔したが、この時はすっかり存在を忘れていた。名古屋で何か買えないかなと思っていたが、全く甘かった。
夕暮れ時である。雨には降られなかったが、彦根では降ったのだろうか。あの人力車のお姉さんは土砂降り雨に当たらなかっただろうか。
30分ほど「こだま」に乗って名古屋に着いた。着く前に調べたところ、乗り換え時間は4分。すぐ前の線路だから、乗り換え自体は充分可能だが、売店で何か買う余裕はなさそうだ。残念。
しかし、目の前の線路に4分は余裕だと思っていた私は、やはり甘かった。名古屋駅のホームは狭い。狭いのに人がいっぱいいる。既に「のぞみ」に乗ろうという行列ができていて、そこへ荷物を抱えて降り立ったのだ。
まず、自由席がどっち側なのかが問題だ。電光掲示板を見たら自由席は1,2号車だという。少ないな。だいぶ端っこに行かなければならない。だが、どっちが1号車だ?
人がたくさんいる中で、多分喫煙が出来るのは8号車だか9号車だかという表示が見えて、それで目の前が7号車だと分かった。人垣の隙間に目を凝らし、右側が6号車だと思った私は、もっと右の方へ行くべし、と思ってずんずん歩いて行った。
ところが、ちょっと行ってからそこが9号車だと分かった。反対じゃないか!またもや何をやっているのだか。踵を返して逆へと歩いて行くが、人が多くて急げない。荷物も多いし。そうこうしているうちに、ホームに新幹線が入って来てしまった。
ぜんぜん自由席の車両には辿り着けない。だが、だからと言って乗らずにいたら発車してしまう。仕方なく、5号車に乗り込んだ。5号車はもちろん指定席車両である。
どんどん車両を通り抜けて2号車へ行くつもりだった。ところが、5号車の通路で詰まった。3~4人が立ち止まっていた。先頭の人を見ると、座っている人と切符を見せ合いながら何か話している。まあ、僕の席そこなんですけど、え、じゃあ私の席はどこ?みたいな事を言っているのだろう。
スーツケースが通路にあって進めないのかと思った。少し待ったが全然進まない。そのうち新幹線は発車した。まだ静かに揉めているようだ。で、更に首を伸ばして見ると、揉めている人はスーツケースなどを持っていなかった。後ろの人、追い抜けばいいじゃないか。
少しイライラしてきたところで、後ろの人は揉めている人を追い越した。やっと列が動き出した。そして、私はどんどん歩いて行った。多少揺れる中、スーツケースをゴロゴロやって、4号車、3号車と通り抜け、2号車へ。一応入ってから振り返ると、自由席と書いてあった。
しかし案の定、ほとんど席は埋まっている。たまに3人席の真ん中が空いているだけだ。1号車へも行ってみよう。
1号車も、ほぼ同じ状況だった。とうとう一番後ろまで行った。だが、その一番後ろの座席の後ろに、いくつもスーツケースが置いてあるのが見えた。そうか、私がこの状態で真ん中の席に入るのは辛いが、スーツケースをここに置いておけば、入れそうだ。
ちょうど、私のスーツケースが1つ収まるくらいのスペースが空(あ)いていた。残念ながら横に倒して置くほどのスペースはなかった。いくら一番後ろでも、出入口への通路を塞ぐわけにはいかない。立てておくしかない。
立てておくという事は、車輪で立たせているという事。ストッパーがないので、揺れて転がる可能性もある。ただ、前後に揺れても大丈夫なスペースだった。新幹線は左右に大きく揺れる事はないし、大丈夫だろう。ちょっとだけ心配だが、そこに置いておき、3列くらい離れた3人席の真ん中に入った。入れてもらったと言った方がいいか。通路側の人に一度立ってもらい、そこに入ってリュックを足元に置き、リュックの中から日記帳と筆箱を取り出した。
両脇の席は男性。この辺は圧倒的に男性が多い。窓際の人は眠っていた。通路側の人が眠っていたら入れなかったな。
日記を1時間以上書き続けた。帰りはこれがあるから暇を持て余す事がない。両脇がどんな人であっても関係ない。
行きにはなかったのだが、帰りには車掌さんの切符改めが来た。特急券を拝見しますと言う。スマートEXで買った場合、切符はない。私は何となく、予約画面を見せればいいのかなと思って、スマホでその画面を出していた。
車掌さんが近づいてきた時、隣の通路側の男性が、紙切れを出した。それを見て、私もサッとそれと同じものを出した。お兄さんナイス。そうか、あれか。スマートEXで切符を買っていた場合、自分の交通系ICカードで改札を通ればいいのだが、その時に座席票が出てくるのだ。指定席の場合は座席番号がそれに書いてあるのだろうが、自由席の場合は関係ないなと思っていた。もちろん、ちゃんと持っていたが。
そうなのか、あれが特急券代わりになるのか。それを車掌さんに渡すと、ハンコウを押してくれた。
品川に着く時、やっぱり隣のお兄さんに一度立ってもらわないといけなかった。終点の東京まで行く人が多く、品川で降りる人はあまりいなかった。一番後ろのドアから品川で下りたのは私1人だった。
やれやれ、やっと東京に帰って来た。家にも無事に着いた。お腹が空いたと言ってもまだ8時過ぎだし、家に帰ってからワインを飲んで色々食べたから大丈夫。そう、私の体は大丈夫だったのだ。しかし、家族の1人(次男)がこの後体調を大きく崩す事になる。本当に、帰ったらしばらく再起不能になるかも~なんて言っていたのに、倒れている場合ではなかったのだ。
まあ、それはまた別の話。エッセイにする予定はないが、もし興味があればブログを読んでもらいたい(https://takan.site/)。このエッセイはここまで。おうちに帰るまでが遠足なので。万博ボランティアのお話の最後は帰宅だ。
だが、この「おうちに帰るまでが遠足です」という言葉、日本人なら誰でも知っているし、そう思わされている気がしないか?刷り込みってやつか。小学校の時、毎年毎年先生に言われ続けてきた言葉だから。最後まで気を抜いてはいけないという戒め。そうやって国民性が出来上がっていくのだな。
そういえば、感染症禍に始めた一人旅も、その後は夫婦旅になってしまい、何でも夫に頼れて楽だが、面白くない感じがしていた。が、ボランティア旅はおのずと一人旅になった。また一人旅が出来て良かったなあ。
さて、重たいスーツケースとリュック、ポシェットを持ち、エレベーターでホームへ降りた。駅の売店で食べ物を買おうかと思っていたが、時間もないし売店も見かけなかった。
彦根から米原までは5分。そう、「米原」は「まいばら」と読む。万博のボランティアの休憩中に、帰りは彦根に寄って「よねはら」から新幹線に乗ると言ったら「まいばらね」と関西の人たちに訂正されたのだった。知らなかった。「まいばら」と読むなんて。
米原駅で新幹線に乗りかえる。新幹線に乗る人は、スーツケースなどを引いている事が多いと思うのだが、この乗り換えには数段の階段がある。この段差をどうにかできないものかね。
米原からは「こだま」に乗った。自由席は1~4号車。4号車に乗ると、それなりに人はいたが、2列目の2人席が空いていたので、そこに座った。名古屋までこれに乗って行く。
お腹が空いた。飴を舐めてごまかした。後々、リュックにドリンクゼリーが入っていたのだからそれを飲めば良かったと後悔したが、この時はすっかり存在を忘れていた。名古屋で何か買えないかなと思っていたが、全く甘かった。
夕暮れ時である。雨には降られなかったが、彦根では降ったのだろうか。あの人力車のお姉さんは土砂降り雨に当たらなかっただろうか。
30分ほど「こだま」に乗って名古屋に着いた。着く前に調べたところ、乗り換え時間は4分。すぐ前の線路だから、乗り換え自体は充分可能だが、売店で何か買う余裕はなさそうだ。残念。
しかし、目の前の線路に4分は余裕だと思っていた私は、やはり甘かった。名古屋駅のホームは狭い。狭いのに人がいっぱいいる。既に「のぞみ」に乗ろうという行列ができていて、そこへ荷物を抱えて降り立ったのだ。
まず、自由席がどっち側なのかが問題だ。電光掲示板を見たら自由席は1,2号車だという。少ないな。だいぶ端っこに行かなければならない。だが、どっちが1号車だ?
人がたくさんいる中で、多分喫煙が出来るのは8号車だか9号車だかという表示が見えて、それで目の前が7号車だと分かった。人垣の隙間に目を凝らし、右側が6号車だと思った私は、もっと右の方へ行くべし、と思ってずんずん歩いて行った。
ところが、ちょっと行ってからそこが9号車だと分かった。反対じゃないか!またもや何をやっているのだか。踵を返して逆へと歩いて行くが、人が多くて急げない。荷物も多いし。そうこうしているうちに、ホームに新幹線が入って来てしまった。
ぜんぜん自由席の車両には辿り着けない。だが、だからと言って乗らずにいたら発車してしまう。仕方なく、5号車に乗り込んだ。5号車はもちろん指定席車両である。
どんどん車両を通り抜けて2号車へ行くつもりだった。ところが、5号車の通路で詰まった。3~4人が立ち止まっていた。先頭の人を見ると、座っている人と切符を見せ合いながら何か話している。まあ、僕の席そこなんですけど、え、じゃあ私の席はどこ?みたいな事を言っているのだろう。
スーツケースが通路にあって進めないのかと思った。少し待ったが全然進まない。そのうち新幹線は発車した。まだ静かに揉めているようだ。で、更に首を伸ばして見ると、揉めている人はスーツケースなどを持っていなかった。後ろの人、追い抜けばいいじゃないか。
少しイライラしてきたところで、後ろの人は揉めている人を追い越した。やっと列が動き出した。そして、私はどんどん歩いて行った。多少揺れる中、スーツケースをゴロゴロやって、4号車、3号車と通り抜け、2号車へ。一応入ってから振り返ると、自由席と書いてあった。
しかし案の定、ほとんど席は埋まっている。たまに3人席の真ん中が空いているだけだ。1号車へも行ってみよう。
1号車も、ほぼ同じ状況だった。とうとう一番後ろまで行った。だが、その一番後ろの座席の後ろに、いくつもスーツケースが置いてあるのが見えた。そうか、私がこの状態で真ん中の席に入るのは辛いが、スーツケースをここに置いておけば、入れそうだ。
ちょうど、私のスーツケースが1つ収まるくらいのスペースが空(あ)いていた。残念ながら横に倒して置くほどのスペースはなかった。いくら一番後ろでも、出入口への通路を塞ぐわけにはいかない。立てておくしかない。
立てておくという事は、車輪で立たせているという事。ストッパーがないので、揺れて転がる可能性もある。ただ、前後に揺れても大丈夫なスペースだった。新幹線は左右に大きく揺れる事はないし、大丈夫だろう。ちょっとだけ心配だが、そこに置いておき、3列くらい離れた3人席の真ん中に入った。入れてもらったと言った方がいいか。通路側の人に一度立ってもらい、そこに入ってリュックを足元に置き、リュックの中から日記帳と筆箱を取り出した。
両脇の席は男性。この辺は圧倒的に男性が多い。窓際の人は眠っていた。通路側の人が眠っていたら入れなかったな。
日記を1時間以上書き続けた。帰りはこれがあるから暇を持て余す事がない。両脇がどんな人であっても関係ない。
行きにはなかったのだが、帰りには車掌さんの切符改めが来た。特急券を拝見しますと言う。スマートEXで買った場合、切符はない。私は何となく、予約画面を見せればいいのかなと思って、スマホでその画面を出していた。
車掌さんが近づいてきた時、隣の通路側の男性が、紙切れを出した。それを見て、私もサッとそれと同じものを出した。お兄さんナイス。そうか、あれか。スマートEXで切符を買っていた場合、自分の交通系ICカードで改札を通ればいいのだが、その時に座席票が出てくるのだ。指定席の場合は座席番号がそれに書いてあるのだろうが、自由席の場合は関係ないなと思っていた。もちろん、ちゃんと持っていたが。
そうなのか、あれが特急券代わりになるのか。それを車掌さんに渡すと、ハンコウを押してくれた。
品川に着く時、やっぱり隣のお兄さんに一度立ってもらわないといけなかった。終点の東京まで行く人が多く、品川で降りる人はあまりいなかった。一番後ろのドアから品川で下りたのは私1人だった。
やれやれ、やっと東京に帰って来た。家にも無事に着いた。お腹が空いたと言ってもまだ8時過ぎだし、家に帰ってからワインを飲んで色々食べたから大丈夫。そう、私の体は大丈夫だったのだ。しかし、家族の1人(次男)がこの後体調を大きく崩す事になる。本当に、帰ったらしばらく再起不能になるかも~なんて言っていたのに、倒れている場合ではなかったのだ。
まあ、それはまた別の話。エッセイにする予定はないが、もし興味があればブログを読んでもらいたい(https://takan.site/)。このエッセイはここまで。おうちに帰るまでが遠足なので。万博ボランティアのお話の最後は帰宅だ。
だが、この「おうちに帰るまでが遠足です」という言葉、日本人なら誰でも知っているし、そう思わされている気がしないか?刷り込みってやつか。小学校の時、毎年毎年先生に言われ続けてきた言葉だから。最後まで気を抜いてはいけないという戒め。そうやって国民性が出来上がっていくのだな。
5
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?
無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。
どっちが稼げるのだろう?
いろんな方の想いがあるのかと・・・。
2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。
あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる