初めての一人旅in金沢~富山

夏目碧央

文字の大きさ
19 / 33

二日目の夜

しおりを挟む
 お寿司は早く食べないといけないが、髪の毛がバリバリだし、とにかくお風呂に入りたかった。やっぱり頭も痛いし。部屋に冷蔵庫があるので、サラダやビールは冷蔵庫に入れた。海老弁当は、30分以内に食べてくださいと書いてある。どうもそれには間に合わない。それなら冷蔵庫に入れるべきなのだろうが……ご飯が固くなるのも嫌だったので、迷ったけれども机の上に置いておいた。
 かなり早い時間なので、お風呂場には誰もおらず、一人でのびのびと入れた。それでも、頭痛は一向に治らない。一日中荷物を担いでいたから、相当肩が凝ったのだろう。昨日は大丈夫だったのに。肩が凝った状態で担ぐのが、良くなかった。
 部屋に戻ってきて、髪を乾かし、ニュースでも見ようと思ってテレビをつけたら、NHKはまだ高校野球中継だった。今、甲子園の最中なのだ。それだけ早い時間だという事だ。まだまだ外は明るいのだ。ニュースの方がいいと思い、他のチャンネルに変えて、ニュースを見ながら食事を始めた。
 ベッドではなく、ソファーに腰かける。小さい文机のようなテーブルに、カップ酒と海老弁当とサラダを並べた。はあ、今日も疲れた。お疲れさんの一杯を。
 という事で、まずはカップ酒を開けて、一口。うーむ、やっぱり金沢の日本酒は美味しい。で、よくよくカップを見てみたら、昨日飲んだ「加賀鳶」ではなく「加賀鶴」と書いてあった。トビではなくツルだったのだ。どっちの方が上等なのだろうか?まあ、いいか。とにかくどっちも美味しい。
 海老弁当を開ける。まずは金箔が贅沢に乗った、白い海老のにぎり寿司を。このにぎり寿司は3つ入っている。白い海老は、白エビなのかな。プリプリしている。甘みがあって美味しい。そして日本酒をごくり。日本酒と寿司、最高。それから、上にイクラが乗っている、海老のすり身を食べてみる。なるほど。淡泊な味だが、ねっとりとした舌触りに、ほんのりとした海老の甘み。美味しい。それをご飯と一緒に食す。なるほど、実はこれがメインか。
 サラダも開けて、春雨サラダとポテトサラダの両方を食べながら日本酒を飲み、日本酒が終わったのでビールを開けた。サラダを食べ終わると、じゃガビーも開けてボリボリ。ああ、ここに袋を留めるクリップがあれば、ビーバーも食べられたのに。旅行にはあのクリップ、持って行くべきだ。いつも思うのに忘れてしまう。
 日本酒とビールを飲み終わっても、まだまだ寝るには早い。簡単に日記を書いた後、SNSへの投稿もする事に。FacebookとTwitterそれぞれに投稿しよう。そのために、ベッドの上に今日買った、室生犀星の修正原稿や絵はがきを並べて写真に撮ったり、昨日の藤井フミヤ展のフライヤーの写真を撮ったりした。やっと旅行の投稿が出来た。ちょこちょこ投稿する事も出来るはずなのに、途中でゆっくりする場所もなく、何故か時間的にも次へ次へと急いでしまってダメだ。だから疲れるんだよなあ、と反省。もっとゆったりとした旅行は出来ないものかね。
 そうそう。前回の旅行で大阪に泊まった時、ホテルの部屋に足に貼る湿布のような物が置いてあった。ふくらはぎなどに貼って、疲れを取る為の物だ。一人一泊2枚ずつで、家族で2泊したので、16枚もらえたのだ。だが、子供達には必要なかったので、8枚余って持って帰ってきた。それを、今回持って来ていた。今日はふくらはぎがとても疲れたので、両足に貼ってみた。貼った瞬間はひんやりする。大阪旅行は冬だったので、貼る時にはけっこう冷やっとして寒かったが、今はとても気持ちが良い。
 それを貼ってから、荷物の整理をした。明日の朝にはホテルをチェックアウトするので、とにかく買ったお土産がスーツケースに入るかどうか、それを試さなければならない。もし入らなければ、宅配便の手配をする必要がある。一人分しか荷物がないとはいえ、スーツケースも小さい。まだお土産を買うかもしれないので、今ある分は全てスーツケースに入れる事が必須だ。それで、全部入れてみた。普通ならば入らないところだが、この新しいスーツケースは真ん中のファスナーを開けると、スーツケースが膨らむようになっている。容量がアップするのだ。ファスナーなんて開ける事はないと思っていたのに、お土産とは嵩張るものだ。でも、このファスナーのお陰で全て入った。あっぱれ。
 色々やる事も終わり、見たいテレビ番組もなかったので、YouTubeを観ることにした。ベッドの足下の壁に大きなモニターがあるので、ベッドに寝そべりながらでも画面が見られる。頭は痛いし、本を読むなども出来そうにない。難しい番組を観るのも無理。なので、我が推し「BTS」のミュージックビデオを再生してみた。
 すると、YouTubeは勝手に次々と過去へ遡って、BTSのミュージックビデオを間断なく流してくれた。何も操作しなくても、ずっとミュージックビデオが流れ続けるのだ。大画面でも画質が良く、音量はほどほどにしたが、それでも一人で狭い所で聴いているからなかなか音質も良く思える。ああ、非常に良い気分。部屋に他の誰かがいたら、こうはいかない。子供達だったらイヤホンをしてスマホで何かを聴くかもしれないが、家族で一緒に居るのに私が耳栓をするなど、あり得ない。だから今、一人で贅沢な時間を貪っている。
 ずっとミュージックビデオをかけていても良かったのだが、ふとBTSのバラエティー動画を見たいと思ってそれに変え、字幕を読みながら観ていたら、寝落ちした。ふと気づくとまだ10時半頃だったが、もう寝る事にした。
 それにしても、頭もまだ痛いが、右足の親指の爪が痛い。ペディキュアのせいで色は分からないが、これは恐らく真っ青になっている事だろう。どうしてスニーカーを履いていてここが痛くなるのか不思議だが、指をつまむとすっごく痛い。明日も歩くというのに、困ったものだ。
 あれ?ふくらはぎに貼ったシートが、1枚無くなっている!どこへ行ったのだろう。まあ、布団のどこかにくっついているはずだ。探したのだが、ない。仕方なく、もう1枚出して貼った。
 とにかく寝よう。頭痛薬を飲んで布団に入った。今度はエレベーター前から持って来た、低い枕の方で寝てみた。一瞬、元々あった長い枕の置き場所に困ったが、ベッドが広いので、ベッドの端の方に置いた。壁側に。
 そういえば、頭痛薬はあと一回分しか持って来ていない。旅行にはもっと頭痛薬が必要だな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

女帝の遺志(第二部)-篠崎沙也加と女子プロレスラーたちの物語

kazu106
大衆娯楽
勢いを増す、ブレバリーズ女子部と、直美。 率いる沙也加は、自信の夢であった帝プロマット参戦を直美に託し、本格的に動き出す。 一方、不振にあえぐ男子部にあって唯一、気を吐こうとする修平。 己を見つめ直すために、女子部への入部を決意する。 が、そこでは現実を知らされ、苦難の道を歩むことになる。 志桜里らの励ましを受けつつ、ひたすら練習をつづける。 遂に直美の帝プロ参戦が、現実なものとなる。 その壮行試合、沙也加はなんと、直美の相手に修平を選んだのであった。 しかし同時に、ブレバリーズには暗い影もまた、歩み寄って来ていた。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

世界の終わりにキミと

フロイライン
エッセイ・ノンフィクション
毎日を惰性で生きる桐野渚は、高級クラブの黒服を生業としていた。 そんなある日、驚くほどの美女ヒカルが入店してくる。 しかし、ヒカルは影のある女性で、彼女の見た目と内面のギャップに、いつしか桐野は惹かれていくが…

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

処理中です...