末っ子~弟以上恋人未満(末っ子1~2)

夏目碧央

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決まってるだろー(カズキ目線)

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 まったく、テツヤのやつ。俺がまるでいないかのようにふるまう。俺たちが出逢ったのが17の時だ?そうだよ、俺とテツヤは同い年なんだからな、出逢った時は二人とも17だったよ。でも、あれはどう見てもレイジに対して言ってたよな。テツヤが17の時にレイジが現れて見つけてくれたってか?一緒に寝て、耳元で歌えって?まったく、末っ子のレイジの事は、みんなが可愛がってるんだからな。テツヤはいつも独り占めしようとするけどさ。
 さて、レイジの部屋は2階だったよな。あ、そうだ。モバイルバッテリーも持ってくればよかった。もうすぐ充電切れるんだよ。
 そう思った俺は、自分の部屋に引き返した。ドアノブに手をかけようとした時、
「カズキは優しい。ホントいい奴だよ。」
という、テツヤの声が聞こえたので思わず動きが止まった。俺の噂話か?
「ん?俺は優しくないって言いたいの?」
「ああ、お前は優しくないよ。いつも俺に意地悪する。」
「あれ、起きちゃうの?耳元で歌うんじゃなかったの?」
「それはもういい。カズキを追い出す口実だから。」
な、何?俺を追い出す?
「・・・なんで?なんで追い出すの?」
「そりゃ、お前と二人きりになりたいからだよ。」
うわっ、告白?!
「な、なんで?」
「それは俺にも分からない。」
「分からないけど、俺と二人きりになりたいの?」
二人とも馬鹿か!好きだからに決まってるだろー!
「うん。お前は?俺と二人きりになりたくない?」
や、やばい。これ以上この会話が続いたら、永遠に俺が部屋に入るタイミングがなくなる気がする。
「俺は、二人きりになりた・・・」
ガチャっとドアノブを握り、部屋に入った。
「ごめんごめん、モバイルバッテリー忘れちゃって。」
テツヤとレイジは、それはもうびっくりした!という顔で俺を見た。
「もう戻ってこないから、安心しなよ。」
俺はレイジの肩にポンと手を置き、にやっと笑った。テツヤとレイジは目を見交わしたようだが、俺はさっさと部屋を出た。ああ、嫌な汗かいた。
 タケル兄さんとシン兄さんがいる部屋に行くと、タケル兄さんが、
「あれ?カズキじゃないか。どうした?」
と、言った。
「レイジが俺の部屋にいるから、俺はこっちで兄さんたちと酒でも飲もうかなーと思って。」
と言って、持って来た缶ビールを見せると、
「おー、気が利くじゃないか、カズキ。」
シン兄さんがそう言って、俺からビールを受け取ってテーブルに置いた。
「ちょっと待て。レイジがカズキの部屋にいて、カズキがこっちの部屋に来る・・・それって、規則違反だぞ。俺たちの部屋割りはルールに則って決めるんだ。好きな者同士の部屋割りはしないって規則だろ?」
タケル兄さんが気色ばんだ。
「あー、そうなんだけど、今はレイジが歌を歌って・・・。」
俺が弁明しようとしても、タケル兄さんは最後まで聞かず、
「ちょっと行ってくるわ。」
と言って、部屋を出て行ってしまった。俺は慌ててタケル兄さんの後を追った。

 トントントン
それでも一応ノックをしてから、タケル兄さんはドアを開けた。
「お前たち、好きな者同士での部屋割りは規則違反だぞ!」
タケル兄さんがそう勢いよく言った。俺はタケル兄さんの背後からちらっと中を覗いた。
 テツヤのベッドの上で、壁に寄りかかって二人が座っていた。その官能的な姿に、俺は正直ビビッた。べつに何をしていたわけでもないが、レイジの肩にテツヤが頭を乗せていて、二人でレイジのスマホを見ていたようだ。
 タケル兄さんの登場で、二人はタケル兄さんの方を見たが、特に体勢を変える事もなく、つまり、ちっとも悪びれてはいないのだった。
「違うよ、兄さん。寝る時にはちゃんとレイジはそっちに返すから。」
テツヤが言った。タケル兄さんをちらっと見ると、目が泳いでいる。
「タケル兄さん、どうしたの?」
俺が聞くと、ちょっと振り返った。
「あ、ああ。なんかアレだな。こいつらは・・・異次元だな。顔が綺麗過ぎるのがアレなのかな。」
首を傾げている。そうだね、男二人で座っているだけなのに、あの官能的な雰囲気は・・・異次元だよね。
「うん、異次元だね。さあ兄さん、部屋に戻って飲みましょうよ。レイジ、お前が戻ってきたら俺も戻るから。」
俺が言うと、
「はい。12時頃には戻ります。」
とレイジが言った。末っ子のレイジは、ずっと可愛かったのに、いつの間にかすっかり大人になって、男っぽくなって、それでも礼儀正しいところは変わっていない。いや、時々生意気だけれども、そこがまた可愛いのだ。
 俺とタケル兄さんは2階の部屋に戻った。シン兄さんは既にビールを飲み始めていた。
 12時に帰らなければならない、シンデレラのレイジ。王子様はどうするのかな。
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