末っ子~弟以上恋人未満(末っ子1~2)

夏目碧央

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取って食われる?(テツヤ目線)

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 モバイルバッテリーを持ってカズキが部屋を出た。
「それで?レイジは俺と二人きりになりたい?それともなりたくない?」
改めて聞くと、レイジは目を泳がせながら姿勢を正した。
「なりた・・・くなくなくなくない。」
と、レイジが言った。
「は?」
ちょっと考えたが、分からない。
「どっちなんだよ!」
そう言いつつ笑ってしまい、枕でレイジの横腹を叩いた。レイジは笑いながら痛がるフリをした。
「まあいいや。そうだ、今日のコンサートのツイート見ようぜ。」
「あ、俺さっき見てたよ。ほら。」
レイジがスマホを見せた。
「どれどれ?ああ、こっちに来いよ。」
レイジを壁に寄りかからせ、横からスマホを覗いた。今日のコンサートの写真がアップされていて、この時はどうだったとか、他愛もない話をする。
 こうしていると、心が安らぐ。俺はすぐに不安になったりイライラしたりするから、心の安定は大事だ。レイジが傍にいて、こうやって寄りかかったりすると、とても心が安らぐ。歌ってもらうとすごく安らぐ。
 トントントン
ノックが聞こえた。カズキだろうか。返事をしようと思ったが、する前にドアが開いて、タケル兄さんが入って来た。
「お前たち、好きな者同士での部屋割りは規則違反だぞ!」
と、いきなりタケル兄さんが言った。その後ろから、不安そうな顔のカズキが顔を出している。カズキのやつ、しくじったな。まあ、仕方ない。好きな者同士で部屋を決めるなんて事になったら、みんなでレイジの取り合いになって大変だ。そして、レイジは気を遣って誰と一緒がいいかは絶対に言わないだろう。多分、本心は俺と一緒がいいと思っているだろうに。いや、でもカズキとも仲がいいし、シン兄さんといても楽しそうだし、やっぱり本心は分からないな。
「違うよ、兄さん。寝る時にはちゃんとレイジはそっちに返すから。」
仕方なく、俺はタケル兄さんにそう言った。それでカズキが、
「さあ兄さん、部屋に戻って飲みましょうよ。レイジ、お前が戻ってきたら俺も戻るから。」
と言うと、
「はい。12時頃には戻ります。」
と、レイジが素直に言った。12時か。お前はシンデレラかよ。それまであと1時間ちょっと。その間、何をしよう。レイジを独り占めできる貴重な時間だぞ。
 タケル兄さんとカズキが去って行った。さて、どうするかな?
「あと1時間、何する?テツヤ兄さん。」
レイジが俺の方を見て、そう言った。その顔は、さっきしおらしく12時頃には戻りますと言った、あの末っ子と同一人物とは思えない表情を浮かべていた。魅惑的?小悪魔的?悩殺的?良く分からない。
「う、あ・・・。」
言葉が出ず、思わず唾をごくりと飲み込んだ。なんか、取って食われそう。
「どうしたの?取って食ったりしないよ。」
レイジはくくくっと笑った。
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