末っ子~弟以上恋人未満(末っ子1~2)

夏目碧央

文字の大きさ
6 / 15

12時までの1時間

しおりを挟む
 「じゃあ、こういうのはどう?ジャンケンで勝った方が、自分の体の好きなところを言って、負けた方がそこにキスをするっていうゲーム。」
レイジが妖艶な微笑みを浮かべながら、そう言った。
「ふっ。いいねえ。やろうぜ。」
テツヤは落ち着きを取り戻し、レイジに賛同した。
「ジャンケンポン!」
「イエーイ、勝ったー!」
ジャンケンに勝ったレイジは、
「じゃあ、ここ!」
と言って、手の甲を指し示した。テツヤはレイジの手を取って、キスをした。
「ジャンケン、ポン!」
次はテツヤが勝ち、
「うーん、ここ!」
テツヤはちょっと考えて、首の後ろを指す。レイジがそこにキスをすると、
「うひょひょ。」
テツヤがくすぐったそうに首を竦めた。
「ジャンケン、ポン!」
レイジが勝ち、おでこを指す。テツヤがそこにキスをする。次のジャンケンにもレイジが勝ち、
「じゃあねえ、ここ。」
と言って、また妖艶な笑みを浮かべ、首の、喉仏の辺りを指す。テツヤはレイジの首の後ろを抑え、喉元にキスをした。次のジャンケンはテツヤが勝ち、
「じゃあ・・・ここ。」
テツヤはシャツを少しめくり、お腹を指した。それを見てふっと笑ったレイジは、
「じゃあ、いくぞ~。」
と言って、お腹にキスをする。
「ぎゃはははは。」
テツヤがくすぐったさに耐え兼ね、大笑いした。次に勝ったレイジが、
「次は・・・ここ。」
と言って示したのは、頬。テツヤはレイジの肩に手を添えて、軽くチュっと頬にキスをした。
「よし、もう一回!」
テツヤがそういい、ジャンケンをすると、また、レイジが勝った。
「じゃあ次はぁ・・・ここ。」
レイジはじっとテツヤの目を見ながら、指を唇に当てた。
「・・・・・・。」
一瞬時が止まったかのように、二人は数秒間見つめ合った。
「・・・それはダメだ。おふざけでするもんじゃない。」
テツヤが、真面目な顔でそう言った。はっとしたレイジは、
「そ、そうだよね。ごめんなさい。」
早口でそう言うと、ベッドから立ち上がった。
「どこ行くんだよ。」
だが、すぐにテツヤがレイジの腕を掴む。
「部屋に戻る。」
レイジはテツヤの顔を見ずに言った。
「まだ12時じゃないぞ。」
テツヤはそう言うと、腕をぐっと引いてレイジを再びベッドに座らせ、後ろから優しく抱きしめた。
「レイジ、拗ねたのか?」
レイジは黙って首を横に振った。
「本当か?うーん、そうだな。おふざけではダメだけど、本気でならしてもいいよ。」
テツヤがそう言ったので、
「え?」
レイジは振り返った。
「して欲しいのか?」
テツヤがちょっと目を細めてそう言う。
「べつに、そういうわけじゃ・・・。」
レイジはそう言いかけたが途中で止め、
「もし、俺がして欲しいって言ったら、するの?」
と言いながら、上目遣いでテツヤを見た。
「お前が望む事なら、何でもしてやる。」
テツヤが優しくそう言った。レイジは迷った。これはなんだ?冗談か?それとも本気なのか?本当に、キスしてくれるのだろうか?だが、滅多にないチャンスである事には変わりない。ダメ元だ。レイジは意を決した。緊張と恥じらいで、少し泣きそうな顔になりながら、
「して、欲しい。」
素直にそう言った。テツヤは満足げにニヤっと笑うと、指をレイジの顎に添え、唇と唇を重ねた。
「うん、悪くないな。」
唇を放すと、テツヤはそう言った。
「え?」
レイジが聞き返すと、テツヤは、
「親友同士でキスするのも、思ったより悪くないな。そりゃそうか。お前が溺れたら、躊躇なく人工呼吸するもんな。」
などと言う。
「じ、人工呼吸?・・・って言うか、親友・・・。」
レイジは気が遠くなった。

 レイジは深く項垂れ、ため息をついた。
(キス=ゴールインだと思っていた俺がバカだった・・・。俺がどうしてキスして欲しいのか、考えないのかなあ、テツヤ兄さんは・・・。そもそも、この人に常識は通用しないんだった。)
深く項垂れた結果、頭をテツヤの肩に乗せる形になったレイジ。そんなレイジを、テツヤはぎゅうっと抱きしめ、頭をなでなでした。
(やっぱり、レイジは俺の事が好きなんだなぁ。よしよし。可愛いやつだ。)

 恋人同士への道のりは、まだまだ遠い二人であった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヒメ様が賊にさらわれました!

はやしかわともえ
BL
BLです。 11月のBL大賞用の作品です。 10/31に全話公開予定です。 宜しくお願いします。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

死神に狙われた少年は悪魔に甘やかされる

ユーリ
BL
魔法省に悪魔が降り立ったーー世話係に任命された花音は憂鬱だった。だって悪魔が胡散臭い。なのになぜか死神に狙われているからと一緒に住むことになり…しかも悪魔に甘やかされる!? 「お前みたいなドジでバカでかわいいやつが好きなんだよ」スパダリ悪魔×死神に狙われるドジっ子「なんか恋人みたい…」ーー死神に狙われた少年は悪魔に甘やかされる??

【完結】ルガルの星―冷徹な社長は、僕の運命を知っていた―

綾波絢斗
BL
この世界には、二つの特別な称号を持つ者たちが存在する。 一つは、絶対的な権力を持つ王の称号――ルガル(lugal)。 もう一つは、ルガルと対をなし、その力を補う「番」――ムル(mul)。 ルガルは生まれながらに選ばれし存在。 国家からエリート教育と地位を与えられ、能力に応じて厳格なランク分けが行われる。 最上位のルガルは、政治さえも動かす絶対者だ。 一方で、ムルは生まれた瞬間にはその正体がわからない。 遺伝子検査や学力テストを経て候補が絞られるが、 最終的に「真のムル」かどうかを見極められるのは――ルガルだけ。 ムルが覚醒したとき、同じ場所に「紋章」が現れ、その瞬間から、ルガルとムルの力は共鳴し始める。 ムルの能力はルガルの力を最大限に引き出す。 ゆえにルガルたちは、自らのムルを求め、時には他人のムル候補を奪い合う。 そして、すべての出生データと遺伝情報を管理するのは、 巨大企業イルジオン――国家をも超える存在。 その頂点に立つ社長、一条レイ。 冷徹なルガルの頂点に君臨する彼が「自分のムル」と出会った。

殿堂入りした愛なのに

たっぷりチョコ
BL
全寮の中高一貫校に通う、鈴村駆(すずむらかける) 今日からはれて高等部に進学する。 入学式最中、眠い目をこすりながら壇上に上がる特待生を見るなり衝撃が走る。 一生想い続ける。自分に誓った小学校の頃の初恋が今、目の前にーーー。 両片思いの一途すぎる話。BLです。

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

【8話完結】恋愛を諦めたおじさんは、異世界で運命と出会う。

キノア9g
BL
恋愛を諦め、ただ淡々と日々を過ごしていた笠原透(32)。 しかし、ある日突然異世界へ召喚され、「王の番」だと告げられる。 迎えたのは、美しく気高い王・エルヴェル。 手厚いもてなしと優しさに戸惑いながらも、次第に心を揺さぶられていく透。 これは、愛を遠ざけてきた男が、本当のぬくもりに触れる物語。 ──運命なんて、信じていなかった。 けれど、彼の言葉が、ぬくもりが、俺の世界を変えていく。 全8話。

人気俳優と恋に落ちたら

山吹レイ
BL
 男性アイドルグループ『ムーンシュガー』のメンバーである冬木行理(ふゆき あんり)は、夜のクラブで人気俳優の柏原為純(かしわばら ためずみ)と出会う。  そこで為純からキスをされ、写真を撮られてしまった。  翌日、写真はネットニュースに取り上げられ、為純もなぜか交際を認める発言をしたことから、二人は付き合うふりをすることになり……。  完結しました。  ※誤字脱字の加筆修正が入る場合があります。

処理中です...