20 / 30
名指ししてくれない
しおりを挟む
僕と遼悠は、晴れて付き合う事と相成った。信じられない。だが、他の誰かに取られたくないのだから、仕方がない。
とはいえ、何かが変わったわけではない。また一緒に帰るようになっただけだ。その時に、人がいないと手をつなぐくらい・・・ひゃあ、客観的に考えると恥ずかしい。
そうそう、あの日の夜、和宏から電話がかかってきて、近況を報告し合った。そして、遼悠がどんな奴か、根掘り葉掘り聞かれた。あいつ、結局遼悠のファンなんだな。僕との関係を勘ぐろうとするよりも、自分が遼悠と仲良くなりたいみたいだった。お断りだけど。
「瀬那先輩、それは僕が持って行きますよ。」
公式戦が入るようになってきて、そのたびに学校から荷物をたくさん持って帰る。今までは男子の僕ばかり大荷物だったけれど、これからは穂高が半分持ってくれるのだ。やっぱり頼りになるし、可愛い後輩だ。
「ありがと。じゃあ、これとこれは頼むな。後は僕が持って帰るから。」
公式戦となると、校外の遼悠ファンが詰めかける。その人員整理はなんと花梨ちゃんと綾乃ちゃんが買って出て、警備員よろしく厳しく取り締まっていた。
「はい、ここから出ないでくださいねー。」
「写真撮影はご遠慮くださーい。」
などなど。それでもみんなスマホを出して写真を撮りまくっていたけれど。
いくつかの公式戦をこなしたが、都大会での優勝が出来ず、夏の甲子園への課題が残った。もう、3年生最後の予選まで、あと少しだ。
だいぶ練習にも熱が入って来た。練習の始めには、キャプテンの角谷正継が気合いを入れる。その白熱した雰囲気に、僕も少なからず興奮した。
「マネージャー、肩冷やしたいから、氷頼む。」
遼悠が、ベンチ付近にいる僕たちにそう声を掛けた。そう、最近遼悠は僕を名指ししなくなった。昔に戻ってマネージャー、と。そうなると、何となく僕が呼ばれているのではない気がしてしまう。だから、花梨ちゃんや綾乃ちゃんがいれば彼女たちが率先して遼悠の元に飛んでいくし、いなければ穂高が行く。穂高は、僕の顔をちらっと見てから行くのだ。それが、ちょっとだけ僕をいらっとさせる。
「じゃあ、僕氷もらってくるから、氷嚢用意しておいて。」
僕は穂高にそう言うと、事務室へ走った。走って行ったけれど、帰りは歩いて戻って来た。すると、水道場のところで正継に捕まった。
「瀬那、お前ちょっと元気ないんじゃないか?」
「え?そんな事ないよ・・・。」
そうは言ったものの、やはり僕を呼んでくれなかった遼悠に、ちょっとだけショックを受けていた。すぐに不安になる。いつも一緒に帰っているのに。どうしてだろう。あいつが他の人を好きになったのでは、僕に飽きたのでは、といつも考えてしまうのだ。
「今年の夏も、絶対に甲子園行こうな。俺たちみんな、お前のために頑張ろうって思ってるんだぜ。」
「正継・・・。」
それこそちょっと泣きそうになった。みんなと一緒に、絶対に甲子園に行きたい。
「俺はさ、穂高より瀬那の方が、線が細いし、綺麗だと思うけどな。」
いきなり正継がそう言った。
「え、え?何だって?」
「遼悠なんかより、俺の方を見てくれよ。」
正継はそう言って、僕の目の前の水道場の壁に手をついた。これは、壁ドンってやつですか?俺の方を見てくれって、どういう事?もっとマネージャーとして世話をしてくれって事なのか?
僕が少しぼーっとしていると、
「こぉら、瀬那!何油売ってんだ!」
遼悠が、少し離れた所から怒鳴った。そしてこちらに歩いてくる。
「正継!お前、なに瀬那にちょっかい出してんだよ!」
そして目の前にやってきた。壁ドンしていた正継は、腕をどけて遼悠と向き合った。
「俺の勝手だろ。」
「瀬那は俺のモンだ。手を出すな。」
「ナニー?!いつからお前のモンになったんだよ。瀬名は俺たちみんなのモノだぜ。抜け駆けは許さん!」
喧嘩?喧嘩するのかよ!どうしよう、殴り合って怪我でもしたら・・・。
と、思ったら、二人は同時に笑い出した。
「ふっ、あはははは。」
「ああははは。」
何なんだ?僕がきょとんとしていると、遼悠が僕の方に手を伸ばした。手を握られるのかと思ったら、僕が持っていた氷の入った袋をさっと奪い取った。
「氷、早くしろよな。」
遼悠はそう言うと、去って行った。なんだ?二人して僕をからかっただけなのか?正継は笑顔のまま、僕の肩をポンポンと叩くと、そのまま何も言わずに行ってしまった。なんだかなー。セクハラ受けた気分だぜ。
とはいえ、何かが変わったわけではない。また一緒に帰るようになっただけだ。その時に、人がいないと手をつなぐくらい・・・ひゃあ、客観的に考えると恥ずかしい。
そうそう、あの日の夜、和宏から電話がかかってきて、近況を報告し合った。そして、遼悠がどんな奴か、根掘り葉掘り聞かれた。あいつ、結局遼悠のファンなんだな。僕との関係を勘ぐろうとするよりも、自分が遼悠と仲良くなりたいみたいだった。お断りだけど。
「瀬那先輩、それは僕が持って行きますよ。」
公式戦が入るようになってきて、そのたびに学校から荷物をたくさん持って帰る。今までは男子の僕ばかり大荷物だったけれど、これからは穂高が半分持ってくれるのだ。やっぱり頼りになるし、可愛い後輩だ。
「ありがと。じゃあ、これとこれは頼むな。後は僕が持って帰るから。」
公式戦となると、校外の遼悠ファンが詰めかける。その人員整理はなんと花梨ちゃんと綾乃ちゃんが買って出て、警備員よろしく厳しく取り締まっていた。
「はい、ここから出ないでくださいねー。」
「写真撮影はご遠慮くださーい。」
などなど。それでもみんなスマホを出して写真を撮りまくっていたけれど。
いくつかの公式戦をこなしたが、都大会での優勝が出来ず、夏の甲子園への課題が残った。もう、3年生最後の予選まで、あと少しだ。
だいぶ練習にも熱が入って来た。練習の始めには、キャプテンの角谷正継が気合いを入れる。その白熱した雰囲気に、僕も少なからず興奮した。
「マネージャー、肩冷やしたいから、氷頼む。」
遼悠が、ベンチ付近にいる僕たちにそう声を掛けた。そう、最近遼悠は僕を名指ししなくなった。昔に戻ってマネージャー、と。そうなると、何となく僕が呼ばれているのではない気がしてしまう。だから、花梨ちゃんや綾乃ちゃんがいれば彼女たちが率先して遼悠の元に飛んでいくし、いなければ穂高が行く。穂高は、僕の顔をちらっと見てから行くのだ。それが、ちょっとだけ僕をいらっとさせる。
「じゃあ、僕氷もらってくるから、氷嚢用意しておいて。」
僕は穂高にそう言うと、事務室へ走った。走って行ったけれど、帰りは歩いて戻って来た。すると、水道場のところで正継に捕まった。
「瀬那、お前ちょっと元気ないんじゃないか?」
「え?そんな事ないよ・・・。」
そうは言ったものの、やはり僕を呼んでくれなかった遼悠に、ちょっとだけショックを受けていた。すぐに不安になる。いつも一緒に帰っているのに。どうしてだろう。あいつが他の人を好きになったのでは、僕に飽きたのでは、といつも考えてしまうのだ。
「今年の夏も、絶対に甲子園行こうな。俺たちみんな、お前のために頑張ろうって思ってるんだぜ。」
「正継・・・。」
それこそちょっと泣きそうになった。みんなと一緒に、絶対に甲子園に行きたい。
「俺はさ、穂高より瀬那の方が、線が細いし、綺麗だと思うけどな。」
いきなり正継がそう言った。
「え、え?何だって?」
「遼悠なんかより、俺の方を見てくれよ。」
正継はそう言って、僕の目の前の水道場の壁に手をついた。これは、壁ドンってやつですか?俺の方を見てくれって、どういう事?もっとマネージャーとして世話をしてくれって事なのか?
僕が少しぼーっとしていると、
「こぉら、瀬那!何油売ってんだ!」
遼悠が、少し離れた所から怒鳴った。そしてこちらに歩いてくる。
「正継!お前、なに瀬那にちょっかい出してんだよ!」
そして目の前にやってきた。壁ドンしていた正継は、腕をどけて遼悠と向き合った。
「俺の勝手だろ。」
「瀬那は俺のモンだ。手を出すな。」
「ナニー?!いつからお前のモンになったんだよ。瀬名は俺たちみんなのモノだぜ。抜け駆けは許さん!」
喧嘩?喧嘩するのかよ!どうしよう、殴り合って怪我でもしたら・・・。
と、思ったら、二人は同時に笑い出した。
「ふっ、あはははは。」
「ああははは。」
何なんだ?僕がきょとんとしていると、遼悠が僕の方に手を伸ばした。手を握られるのかと思ったら、僕が持っていた氷の入った袋をさっと奪い取った。
「氷、早くしろよな。」
遼悠はそう言うと、去って行った。なんだ?二人して僕をからかっただけなのか?正継は笑顔のまま、僕の肩をポンポンと叩くと、そのまま何も言わずに行ってしまった。なんだかなー。セクハラ受けた気分だぜ。
0
あなたにおすすめの小説
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
真面目学級委員がファッティ男子を徹底管理した結果⁉
小池 月
BL
☆ファッティ高校生男子<酒井俊>×几帳面しっかり者高校男子<風見凛太朗>のダイエットBL☆
晴青高校二年五組の風見凛太朗は、初めて任された学級委員の仕事を責任を持ってこなすために日々頑張っている。
そんなある日、ホームルームで「若者のメタボ」を注意喚起するプリントが配られた。するとクラス内に「これって酒井の事じゃん」と嘲笑が起きる。
クラスで一番のメタボ男子(ファッティ男子)である酒井俊は気にした風でもないが、これがイジメに発展するのではないかと心配する凛太朗は、彼のダイエットを手伝う決意をする。だが、どうやら酒井が太っているのには事情がありーー。
高校生活の貴重なひと時の中に、自分を変える出会いがある。輝く高校青春BL☆
青春BLカップ参加作品です!ぜひお読みくださいませ(^^♪
お気に入り登録・感想・イイネ・投票(BETボタンをポチ)などの応援をいただけると大変嬉しいです。
9/7番外編完結しました☆
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。
天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!?
学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。
ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。
智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。
「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」
無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。
住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!
高塚くんと森くん
うりぼう
BL
顔だけが取り柄の高塚くん。
ごくごく普通の高校生の森くん。
「好きなんだ、オレと付き合って」
「え、嫌だ」
そこから始まる二人のお話。
基本一話完結。
本編完結済み
随時小話更新予定です。
※BL
※受け大好き
※攻め半分変態
※R15というほどR15表現はありません
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
天使から美形へと成長した幼馴染から、放課後の美術室に呼ばれたら
たけむら
BL
美形で天才肌の幼馴染✕ちょっと鈍感な高校生
海野想は、保育園の頃からの幼馴染である、朝川唯斗と同じ高校に進学した。かつて天使のような可愛さを持っていた唯斗は、立派な美形へと変貌し、今は絵の勉強を進めている。
そんなある日、数学の補習を終えた想が唯斗を美術室へと迎えに行くと、唯斗はひどく驚いた顔をしていて…?
※1話から4話までは別タイトルでpixivに掲載しております。続きも書きたくなったので、ゆっくりではありますが更新していきますね。
※第4話の冒頭が消えておりましたので直しました。
全寮制男子高校 短編集
天気
BL
全寮制男子高校 御影学園を舞台に
BL短編小説を書いていきます!
ストーリー重視のたまにシリアスありです。
苦手な方は避けてお読みください!
書きたい色んな設定にチャレンジしていきます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる