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離れた方がいい
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-元気か?学校休みだろ?一日ぐらい遊ぼうぜ-
幼なじみの和宏からLINEが入った。甲子園を目指していても、学校によって温度差はある。和宏は、本気で甲子園に行こうとは思っていない口だ。
-あ、でもお前は部活あるよな?-
和宏から、そう付け足しがあったので、
-もう部活に出ないから、大丈夫だよ-
僕はそう送った。
だが、約束する前に、和宏はうちにやってきた。午前中である。
「お前、部活出ないってどういうことだ?マネージャー辞めたのか?」
和宏は慌てて来たという感じだった。
「辞めたわけでもないけど。でも、どうせもうすぐ引退だしな。」
「何か、あったのか?」
「え?いや、まあ・・・。」
僕は、和宏の直視に耐えられず目を反らした。
「話せよ。話すと楽になるぞ。」
そう言われて、当たり障りのない程度に話そうとした。
「僕のせいで、選手が怪我をしたんだよ。」
遼悠が怪我をした話をすると、
「それが、なんで瀬那のせいになるんだよ?」
当然そう聞かれる。
「だって、僕がぼーっとしてたからだし。」
「いや、それでも戸田が自主的にボールを取りに行ったんだからさ。」
「まあ、そうだけど。」
「お前が気にする事ないじゃん。それに、もし気になるんだったら、これからもあいつや、部員のために働く方が、むしろ償いになって、お前の気持ちだってすっきりするだろ。」
「いや、まあ、そうなんだけど・・・。でも僕がいるとまた同じ事が起こるかもしれないし。」
「そんなことないだろ。いや、しかしわかんねーな。どうして瀬那が部活を休む事になるんだ?」
堂々巡りになりそうだった。大事な事を話さずに、上手く説明できそうもない。はぐらかそうとしても、和宏はなかなか諦めてくれなかった。それで、結局僕は全てを話したのだった。遼悠が僕をかばうのは、ただの友情ではないからで、僕が野球部にいたら邪魔になるのだという事を。
「やっぱりそうか。お前ら、付き合ってたんだ。」
やっと合点がいったという風に、和宏が言った。
「やっぱりって?もしかして気づいてたの?」
「だってさ、この間会った時、完全に怪しかったもんな。」
あー、そうだった。キスしたところを見られたんだった。傘で顔は隠されていても、やっぱり怪しかったかぁ。
僕が赤面していると、和宏は咳払いをした。
「まあ、それはさておきだ。これからどうするんだ?本当にこのまま野球部放っておいていいのか?」
「だって、僕がいたら、遼悠がまた無茶するし。それに、僕がいてもいなくても、野球部には何も関係ないよ。他にもマネージャーいるし。」
「そうかねえ。」
僕らは、その話はそこで切り上げ、一緒に昼飯を買いに行く事にした。お互い家に家族はおらず、昼飯は用意されていなかった。二人でコンビニに向かって歩いていると、制服の高校生が足早に近づいてきた。坊主頭。あっ、僕は目を疑った。それは、戸田遼悠、その人だったのだ。
「りょ、遼悠?どうしてここにいるの?」
僕が声を掛けると、
「こっちが聞きたいね。お前は、どうしてここにいるんだ?なぜ部活に出てこないんだよ?俺のLINEにも返事しないし。」
完全に怒っている。そりゃそうだ。付き合っているはずなのに、LINEを無視し、勝手に部活を休んでいるのだから。
「ごめん。」
僕はそう言うしかなかった。
「まあ、こいつもいろいろ考えての事だし。」
和宏がそう言って僕を援護すると、遼悠はキッと和宏をにらんだ。
「あ、すんません。」
和宏は、それで黙ってしまった。
「とにかく、来い!」
遼悠は怪我していない方、左手で僕の腕をつかんだ。
「やだ、行かない!」
僕は和宏の後ろに隠れ、和宏の胴に片手でしがみついた。
「こら、俺の言うことを聞け!」
「やだよ!もう賭けは終わりなんだから!僕はもう、お前のモノじゃないんだから!」
僕が必死にそう叫ぶと、遼悠はパッと手を離した。
「そう、か。そうだな。もう賭けは終わりだな。」
遼悠はそう言うと、また元来た方へ帰って行った。僕は胸が苦しかった。遼悠には悪いと思っている。けれども、この方がいいんだ。僕は野球部からも、遼悠からも離れた方がいいんだ。
幼なじみの和宏からLINEが入った。甲子園を目指していても、学校によって温度差はある。和宏は、本気で甲子園に行こうとは思っていない口だ。
-あ、でもお前は部活あるよな?-
和宏から、そう付け足しがあったので、
-もう部活に出ないから、大丈夫だよ-
僕はそう送った。
だが、約束する前に、和宏はうちにやってきた。午前中である。
「お前、部活出ないってどういうことだ?マネージャー辞めたのか?」
和宏は慌てて来たという感じだった。
「辞めたわけでもないけど。でも、どうせもうすぐ引退だしな。」
「何か、あったのか?」
「え?いや、まあ・・・。」
僕は、和宏の直視に耐えられず目を反らした。
「話せよ。話すと楽になるぞ。」
そう言われて、当たり障りのない程度に話そうとした。
「僕のせいで、選手が怪我をしたんだよ。」
遼悠が怪我をした話をすると、
「それが、なんで瀬那のせいになるんだよ?」
当然そう聞かれる。
「だって、僕がぼーっとしてたからだし。」
「いや、それでも戸田が自主的にボールを取りに行ったんだからさ。」
「まあ、そうだけど。」
「お前が気にする事ないじゃん。それに、もし気になるんだったら、これからもあいつや、部員のために働く方が、むしろ償いになって、お前の気持ちだってすっきりするだろ。」
「いや、まあ、そうなんだけど・・・。でも僕がいるとまた同じ事が起こるかもしれないし。」
「そんなことないだろ。いや、しかしわかんねーな。どうして瀬那が部活を休む事になるんだ?」
堂々巡りになりそうだった。大事な事を話さずに、上手く説明できそうもない。はぐらかそうとしても、和宏はなかなか諦めてくれなかった。それで、結局僕は全てを話したのだった。遼悠が僕をかばうのは、ただの友情ではないからで、僕が野球部にいたら邪魔になるのだという事を。
「やっぱりそうか。お前ら、付き合ってたんだ。」
やっと合点がいったという風に、和宏が言った。
「やっぱりって?もしかして気づいてたの?」
「だってさ、この間会った時、完全に怪しかったもんな。」
あー、そうだった。キスしたところを見られたんだった。傘で顔は隠されていても、やっぱり怪しかったかぁ。
僕が赤面していると、和宏は咳払いをした。
「まあ、それはさておきだ。これからどうするんだ?本当にこのまま野球部放っておいていいのか?」
「だって、僕がいたら、遼悠がまた無茶するし。それに、僕がいてもいなくても、野球部には何も関係ないよ。他にもマネージャーいるし。」
「そうかねえ。」
僕らは、その話はそこで切り上げ、一緒に昼飯を買いに行く事にした。お互い家に家族はおらず、昼飯は用意されていなかった。二人でコンビニに向かって歩いていると、制服の高校生が足早に近づいてきた。坊主頭。あっ、僕は目を疑った。それは、戸田遼悠、その人だったのだ。
「りょ、遼悠?どうしてここにいるの?」
僕が声を掛けると、
「こっちが聞きたいね。お前は、どうしてここにいるんだ?なぜ部活に出てこないんだよ?俺のLINEにも返事しないし。」
完全に怒っている。そりゃそうだ。付き合っているはずなのに、LINEを無視し、勝手に部活を休んでいるのだから。
「ごめん。」
僕はそう言うしかなかった。
「まあ、こいつもいろいろ考えての事だし。」
和宏がそう言って僕を援護すると、遼悠はキッと和宏をにらんだ。
「あ、すんません。」
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「とにかく、来い!」
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「そう、か。そうだな。もう賭けは終わりだな。」
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