地球を守れ-Save The Earth-

夏目碧央

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ここを出ないと!

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   しばらく黙ってそれぞれ座っていたSTEのメンバー。そこへ、軍人が2人、ペ
  ットボトル飲料を持って檻の中に入って来た。
軍人A:「ほら、飲み物だ。」
  1人ずつ手渡された。
軍人B:「それにしても、さすがにアイドルだけあって、みんな綺麗だなぁ。本当に
  男なのか?」
  軍人の1人が、瑠偉の顎を手でくいっと持ち上げてそう言った。軍人はみな筋骨
  隆々だが、STEのメンバーはそれに比べたらみな細身である。
碧央:「瑠偉!」
  碧央が、瑠偉の腕を引っ張って、自分の方へ引き寄せた。
碧央:「触るな!」
軍人A:「あ、こいつ知ってるぞ。世界のハンサム顔100選で、2年連続1位の・・・
  クレイだ、そうだよな?」
  もう1人の軍人が、碧央の事を指さして言った。碧央は何も答えなかった。
軍人B:「へーえ。なるほど。これが世界一のハンサムか。顔を拝めてラッキーだ
  ぜ。」
  と言うや否や、碧央の顔を片手でぎゅっと掴んだ。
瑠偉:「やめろ!」
  今度は瑠偉が、その軍人の腕を振り払った。
軍人B:「おや?意外に力が強いね。」
軍人A:「さあ、もう行こうぜ。」
  2人の軍人は出て行った。
涼:「ねえ、このままじゃ、やばくない?」
光輝:「うん。怖いよ。」
流星:「そうだな、何とか手を考えないと。」
大樹:「とにかく、この檻の中にいたんじゃ話にならない。何か口実をつけて外に出
  ないと。」
  それから、またそれぞれ考えを巡らせた。檻の中を歩いたり、座ってじっとして
  いたり、メンバーそれぞれが思い思いに過ごした。すると、また軍人がやってき
  た。
軍人A:「おい、お前たち、これからパフォーマンスを披露しろ。」
篤:「はあ?何言ってんだよ。冗談じゃない。」
軍人A:「披露してくれたら、食事を与えてやる。」
篤:「なにー?」
大樹:「篤くん、ここは従おう。この檻を出られるチャンスだ。」
篤:「あ、そうか。そうだな。」
  篤は黙った。そして、7人は大人しく檻から出た。
流星:「俺に考えがある。まず、アメリカで人気のある「STARS」をやろう。全力
  でパフォーマンスすれば、きっともう1曲やれと言われるはずだ。STARSの時
  に、一度俺以外のメンバーが場外へハケるだろ。それで、また入ってくる。それ
  でやつらを安心させて、次に「Shout」をやる。あの曲も、俺が1人になる瞬間
  がある。俺がハケて、みんなが入ってくると見せかけて、誰も入って来ない。つ
  まり、逃げるんだ。」
瑠偉:「でも、どこへ?」
流星:「分からない。だから、俺が1人で歌っている間に、先に走って逃げ道を探す
  んだ。瑠偉、お前は一番足が速いから、一番に飛び出して行って探すんだぞ。」
瑠偉:「うん、分かった。」
軍人A:「おい、何しゃべってんだ?」
流星:「パフォーマンスの打合せだよ。曲はかけてくれるのか?」
軍人A:「ああ、何を披露してくれるんだ?」
流星:「STARSだ。」
軍人A:「おお、いいねえ!イエイ!」
  何も知らない軍人は、歩きながら踊り出しそうな雰囲気だった。
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