ちょっとした小話

ラズ

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笛の音

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これは小学校のお話。

私の小学校は城跡でした。そして、そこには【おふね様】という伝説がありました。

おふね様とは笛が上手な心優しい姫のことです。

おふね様は水に映った自分の顔を知るまで、自分の顔が醜いことを知りませんでした。
気を落としたおふね様はある日とある青年と出会い、だんだんと明るさを取り戻します。
おふね様は蝶が好きでした。
しかし、ある日領地で疫病が流行していっぱい人が死にました。
ある人が川にいる神様に人身御供を立てて、領地を救ってもらおうと言いました。
おふね様は領地を救うために川に身を投げて死んでしまいます。
ある青年は最後、【おふね様は蝶になる】と言いました。

そんな劇を毎年、学校でやっていました。
そんな劇を見ているときのことです。
おふね様役の子が笛を吹くシーンがあります。
笛の音はもちろん本物ではなくCDなのですが、そのCDとは別の音が耳に届きました。
それは聞いたこともないくらい綺麗で、子供ながらにうっとりと聴き入ってしまいました。
当時、聞き分けることなどできるわけなく、

(綺麗な音だなぁ…)

なんてのんきに思っていました。
しかし、笛を吹くシーンが終わっても笛の音は途切れません。

(あれ?シーンが終わってるのになんで?)

不思議に思っても笛の音が途切れることはなく、ずっと聞こえています。

それは鬱陶しいものではなかったので、そのまま聴きながら劇を見ていました。

劇が終わると同時に笛の音も消えました。
そして、一度緞帳がしまり、開いたとき…私はおふね様役の子の後ろに小学生の身長より明らかに高い、女性がいることに気づきました。
遠目でも高価そうだと思える着物を着た女性は、カーテンコールを受けた役者たちと一緒に頭を下げました。
しかし、着物を着た女性は劇に出ていません。
その時、左手に笛があるのが見えて、その人が笛を吹いていたのかと思いました。

「綺麗な音色だったなぁ」

「ありがとう」

思わず呟いてしまった私に誰かが答えました。
後ろから聞こえたので、振り向きましたが、後ろには誰もいません。

それは当たり前のことです。
私は最後列にいて、先生も近くにいなかったのですから。
声は紛れもなく女性のもので、両隣は男子。
私は訳も分からず怖くなりました。

ふと、舞台を見ると着物の女性はいなくなっていました。

あの女性は、【おふね様】だったのでしょうか…。
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