ちょっとした小話

ラズ

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七不思議

七不思議(三つ目の不思議)

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次に来たのは…裏庭にあるくらい沼です。
そこは木が鬱蒼と茂り、昼でも暗くジメッとしていることで普段からあまり人は寄りつかない場所でした。

埋め立てるって話はもちろんあったらしいけど…埋め立て工事中…いきなり機械が動かなくなったり、機械が制御不能になったり、沼にはまって危うく死にかけたり…と様々なことが起こって中断されたらしいとききます。
公表されていないだけで、本当に死んでしまった人もいるのかもしれない…生徒内ではそんな話も流れています。

「Eくん。よくここが口べらしの沼だって知ってたね。私知らなかったなぁ」

「あー、昔ばあちゃんから聞いたんだよ。戦後ってかなり食糧難だったらしくてさ…弱くて役に立たない赤ん坊、細くて今にも倒れてしまいそうな子供、力が出なくて動くのもやっとな老人…力のあった若者以外は次々この沼に捨てられたんだってさ」

「Eは戦後か…俺はもっと前、大名と書いた時代の話を聞いたぜ」

「F君はどんな話?」

「ここらを治めていた大名が、かなり悪徳で他の大名より重税を強いていた。民が食糧不足になってもそれは変わらず、民は生きるために口べらしをしたって話」

沼を眺めながら、二つの話を聞いています。言葉は右から左に通り抜けるけど、私は沼から視線を外せませんでした。
なぜなら…私は沼に見えていたからです。

所狭しと浮かんでは沈む…無数の顔が…。

老若男女問わず、苦悶の表情を浮かべ…表面に出ては沈み、また別の顔が浮かぶ…それを繰り返していました。
顔と顔の隙間は真っ黒でうごめいているように見えます。
私はその様子がまるで髪のようだと思いました。
髪がひとりでにうごめくなんてあるはずないのに…。

「つまり、ここは底なし沼なのか?」

「さあ?入ってたしかめれば?」

「いや、殺す気か!」

ゲラゲラと笑う声…だけど、私は笑えません。
笑い声をあげたとたん、無数の顔がこちらを向いたからです。

射殺さんばかりの視線…おそらく、自分たちは死んだのに笑って生きている人がいるのが、妬ましいのでしょう。

「まあ、時代だよな。力さえあれば生きられたんだろ?」

「さあ?生きてんなら食糧難で共倒れなんじゃね?」

二人の言葉に反応したように…異様に長い手が伸びてきました。
話していた二人…E君とF君の首に絡まった手。
それはだんだん肥大化して口と鼻を覆います。

そして、突然では消えました。
だけど、二人の顔半分から首にかけて真っ黒な跡が残っているのが見えたのです。

みんなは何も起こらなかったと次へ行きます。
何も出来ない私はそれに従うように歩き出しました。
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