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亀は甲羅の中で愛を囁く〜浦島太郎奇譚〜
浦島太郎異譚(その1)
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すみません!路線が違う気がします!
ですが楽しかったです!
side・青年
「やめろよ!」
一人の女子が大勢の女子に囲まれて暴行を受けていた。
ここは校舎裏。人通りは少なく、自分が来たのもたまたまだった。
「誰よ!邪魔しないで!!」
「あんたには関係ないじゃん!」
「うるせぇ!こんなこと見て見ぬ振りなんかできるもんか!」
女に手を出すわけにはいかないが、ここで見て見ぬ振りなんかできない。
俺は女子と言い合いをして、彼女を助けた。
大勢の女子はいきなりきた乱入者に興を削がれたのか、口々に捨て台詞を吐いてその場から去っていった。
「大丈夫か?保健室に行こう」
「あ、ありがとう」
長い黒髪にクリクリとした目、よく見ると顔は整っていて綺麗だった。
しかし、ほおは赤く腫れて口の端から血を流し、制服はつちで汚れていた。スカートから見える足にも青あざがあって痛々しい。
歩くのも辛いかもしれないと思い、俺は肩を貸して保健室まで行った。
保健室には誰もいなかった。
勝手に使うのは気が引けるけど、手当てをしないわけにはいかない。
俺は彼女を椅子に座らせてから救急箱を探す。
「ねえ」
「ん~?」
「なんで助けてくれたの?」
「なんでって…当たり前のことじゃねぇか」
ようやく救急箱を見つけて俺は彼女の前に跪いた。
「当たり前のこと…?」
「ああ。困っていたら助けるもんだろ?」
俺には彼女がなんでそんな質問をしたのかわからなかった。
だけど、彼女の足の手当てをしている時に気づいてしまった。
彼女のからだには多くの傷跡があることに…。
「これ…」
「ずっと前からあの状態なの。でも、誰も助けてくれなかった」
温度のない声で彼女が言う。
俺は顔をしかめて、傷跡に触れた。
なめらかな肌に走る歪な傷跡は生々しい。
「あの…。ありがとう。助けてくれて」
「おう」
改めて言われるとなんとなく気恥ずかしい。
少しだけぶっきらぼうになってしまったけど、しょうがないだろう。
だから気付かなかったんだ。
彼女が昏い瞳で笑っていたことに…。
side・少女
私はいつも痛みに耐えていた。
誰も助けてなんかくれない。泣き叫んでも、縋り付いても、手を差し伸べてくれる人なんていなかった。
だけど…
「やめろよ!」
一筋の光を見てしまった。
それは明るくて、温かくて縋り付いてしまいたくなるようなもの。
彼は私を助けたばかりではなく手当までしてくれる。
保健室の先生は私が来ても手当てなんてしてくれない。
それどころか保健室にすら入れてくれないのだ。
助けた理由があるのかと聞いたら、当たり前のことだと言われた。
それは誰にも言われたことのない言葉だった。
(離したくない…離してなるものか)
とっさに浮かんだのはその言葉だった。
お礼を言えば彼は照れ臭そうに返事をしてくれる。
それがどうしようもなく嬉しかった。
(どうすれば一緒に居られるかな…?)
私は気づかない。自分の顔が昏く歪んでいたことに。
彼は気づかない。その矛先が自分に向かっていることに…。
ですが楽しかったです!
side・青年
「やめろよ!」
一人の女子が大勢の女子に囲まれて暴行を受けていた。
ここは校舎裏。人通りは少なく、自分が来たのもたまたまだった。
「誰よ!邪魔しないで!!」
「あんたには関係ないじゃん!」
「うるせぇ!こんなこと見て見ぬ振りなんかできるもんか!」
女に手を出すわけにはいかないが、ここで見て見ぬ振りなんかできない。
俺は女子と言い合いをして、彼女を助けた。
大勢の女子はいきなりきた乱入者に興を削がれたのか、口々に捨て台詞を吐いてその場から去っていった。
「大丈夫か?保健室に行こう」
「あ、ありがとう」
長い黒髪にクリクリとした目、よく見ると顔は整っていて綺麗だった。
しかし、ほおは赤く腫れて口の端から血を流し、制服はつちで汚れていた。スカートから見える足にも青あざがあって痛々しい。
歩くのも辛いかもしれないと思い、俺は肩を貸して保健室まで行った。
保健室には誰もいなかった。
勝手に使うのは気が引けるけど、手当てをしないわけにはいかない。
俺は彼女を椅子に座らせてから救急箱を探す。
「ねえ」
「ん~?」
「なんで助けてくれたの?」
「なんでって…当たり前のことじゃねぇか」
ようやく救急箱を見つけて俺は彼女の前に跪いた。
「当たり前のこと…?」
「ああ。困っていたら助けるもんだろ?」
俺には彼女がなんでそんな質問をしたのかわからなかった。
だけど、彼女の足の手当てをしている時に気づいてしまった。
彼女のからだには多くの傷跡があることに…。
「これ…」
「ずっと前からあの状態なの。でも、誰も助けてくれなかった」
温度のない声で彼女が言う。
俺は顔をしかめて、傷跡に触れた。
なめらかな肌に走る歪な傷跡は生々しい。
「あの…。ありがとう。助けてくれて」
「おう」
改めて言われるとなんとなく気恥ずかしい。
少しだけぶっきらぼうになってしまったけど、しょうがないだろう。
だから気付かなかったんだ。
彼女が昏い瞳で笑っていたことに…。
side・少女
私はいつも痛みに耐えていた。
誰も助けてなんかくれない。泣き叫んでも、縋り付いても、手を差し伸べてくれる人なんていなかった。
だけど…
「やめろよ!」
一筋の光を見てしまった。
それは明るくて、温かくて縋り付いてしまいたくなるようなもの。
彼は私を助けたばかりではなく手当までしてくれる。
保健室の先生は私が来ても手当てなんてしてくれない。
それどころか保健室にすら入れてくれないのだ。
助けた理由があるのかと聞いたら、当たり前のことだと言われた。
それは誰にも言われたことのない言葉だった。
(離したくない…離してなるものか)
とっさに浮かんだのはその言葉だった。
お礼を言えば彼は照れ臭そうに返事をしてくれる。
それがどうしようもなく嬉しかった。
(どうすれば一緒に居られるかな…?)
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