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第4章 お城に着きました!
冷たい手と温かい手
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そのまま直接執務室に行くのかと思ったら、先に医務室に行くらしい。
真っ赤に腫らした目…手を引いているのはサイス。
何も知らないものが見たらサイスが泣かしたように見える。それにアルフィリードにこんな顔を見せるものではない。
医務室に行って事情を話したら蒸しタオルと濡れタオルを渡された。
交互に当てると早く腫れが引くのだそうだ。
医務官はその間に異常がないか足を調べてくれている。
緊張していると痛みを感じないというのはどこかで聞いたことのある話だった。
ちらりと視線を向けると握られた手がある。
医務室についても私の手は離れなかった。
離そうと思っても、手が固まったように動かないのだ。
視線に気づいたサイスは手から力を抜く。
嫌だと思った私の手は離れないように握りしめた。
すると、サイスも握り返してくれた。
そしてなだめるように頭を撫でられる。
(背中を押された手は怖かった。でも、この手は怖くない)
気持ちよくて身を細める。自然と体の力は抜けていった。
そんなことだから私は医務官が居心地悪そうにしていたのに気がつかなかった。
バンッ
「リシア!無事か?!」
大きな音を立てて扉を開き慌てて入ってきたのはアルフィリードだった。
後からフェルトとシェハルも続いてきた。
目元の腫れはだいぶ引いてきたけど、まだ赤いのだろう。
私の顔を見た3人は表情を険しくさせている。
「サイス」
「御報告致します。私が立ち会ったのは彼女が階段から落ちてくるところでした。
その前にメイドが「あんたが…なんでそこにいるのよ!」と言っているのを聞いたので突き落とされたのだと思います。
メイドはイーリアスに言って追わせています」
「リシア。思い出したくもないと思うが、誰だか心当たりはあるか?」
思い出して顔が青ざめそうになるが、しっかりと繋がれた手が心地よい熱を伝えてくれる。
片手でなんとかメモ帳とペンを取り出し、近くの机て書いた。
『声が…アリフィスタ公爵令嬢と同じだったと思います』
「あいつか……しかし、なぜ?」
「考えられることは妬みですね。あの令嬢は一度侍女にしましたが、媚薬を盛ったため解雇しています」
「なるほどな。自分が許されなかった立場に他の女がいるのが許せなかったというところか」
「それよりも、リシアをどうします?慣れたら一人で任せる気でいたけど…これじゃあ危険ですよ」
「そう…だな」
(私は解雇されるかな?これからどうしたらいいの?)
不安げに3人を見ていると、それに気づいたサイスが頭を撫でてくれる。
アルフィリードは微笑み、フェルトとシェハルは苦笑した。
「解雇されることはない。ただ身の安全をどうするか決めるだけだ」
「リシアを手放して困るのは俺らだからな」
「そうそう。一から探すのは面倒だしね」
「美味しいお茶が飲めるのは嬉しいんだよ?」
さっき止まった涙が溢れそうになったけど、濡れタオルを当てることでごまかした。
きっと心配させてしまうから。
『ありがとうございます』
ペコリと頭をさげると同時に差し出したメモ。
顔は下げていたのに肩が震えているのに気づいたのか、サイスは背中を優しく叩き、アルフィリードはぐしゃりと頭を撫で、フェルトとシェハルは肩を叩いてくれた。
この手は怖くない。
言葉はないけど 『大丈夫』。
そう言われているような気がした。
真っ赤に腫らした目…手を引いているのはサイス。
何も知らないものが見たらサイスが泣かしたように見える。それにアルフィリードにこんな顔を見せるものではない。
医務室に行って事情を話したら蒸しタオルと濡れタオルを渡された。
交互に当てると早く腫れが引くのだそうだ。
医務官はその間に異常がないか足を調べてくれている。
緊張していると痛みを感じないというのはどこかで聞いたことのある話だった。
ちらりと視線を向けると握られた手がある。
医務室についても私の手は離れなかった。
離そうと思っても、手が固まったように動かないのだ。
視線に気づいたサイスは手から力を抜く。
嫌だと思った私の手は離れないように握りしめた。
すると、サイスも握り返してくれた。
そしてなだめるように頭を撫でられる。
(背中を押された手は怖かった。でも、この手は怖くない)
気持ちよくて身を細める。自然と体の力は抜けていった。
そんなことだから私は医務官が居心地悪そうにしていたのに気がつかなかった。
バンッ
「リシア!無事か?!」
大きな音を立てて扉を開き慌てて入ってきたのはアルフィリードだった。
後からフェルトとシェハルも続いてきた。
目元の腫れはだいぶ引いてきたけど、まだ赤いのだろう。
私の顔を見た3人は表情を険しくさせている。
「サイス」
「御報告致します。私が立ち会ったのは彼女が階段から落ちてくるところでした。
その前にメイドが「あんたが…なんでそこにいるのよ!」と言っているのを聞いたので突き落とされたのだと思います。
メイドはイーリアスに言って追わせています」
「リシア。思い出したくもないと思うが、誰だか心当たりはあるか?」
思い出して顔が青ざめそうになるが、しっかりと繋がれた手が心地よい熱を伝えてくれる。
片手でなんとかメモ帳とペンを取り出し、近くの机て書いた。
『声が…アリフィスタ公爵令嬢と同じだったと思います』
「あいつか……しかし、なぜ?」
「考えられることは妬みですね。あの令嬢は一度侍女にしましたが、媚薬を盛ったため解雇しています」
「なるほどな。自分が許されなかった立場に他の女がいるのが許せなかったというところか」
「それよりも、リシアをどうします?慣れたら一人で任せる気でいたけど…これじゃあ危険ですよ」
「そう…だな」
(私は解雇されるかな?これからどうしたらいいの?)
不安げに3人を見ていると、それに気づいたサイスが頭を撫でてくれる。
アルフィリードは微笑み、フェルトとシェハルは苦笑した。
「解雇されることはない。ただ身の安全をどうするか決めるだけだ」
「リシアを手放して困るのは俺らだからな」
「そうそう。一から探すのは面倒だしね」
「美味しいお茶が飲めるのは嬉しいんだよ?」
さっき止まった涙が溢れそうになったけど、濡れタオルを当てることでごまかした。
きっと心配させてしまうから。
『ありがとうございます』
ペコリと頭をさげると同時に差し出したメモ。
顔は下げていたのに肩が震えているのに気づいたのか、サイスは背中を優しく叩き、アルフィリードはぐしゃりと頭を撫で、フェルトとシェハルは肩を叩いてくれた。
この手は怖くない。
言葉はないけど 『大丈夫』。
そう言われているような気がした。
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