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冷静でいられない
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しおりを挟む麻耶は、どんな気持ちで数年間生きてきたんだろう
麻耶は…いつから死にたかったんだろう
麻耶が死ぬ1週間……いいや、ずっとその前から
死ぬと約束する前から、麻耶は……既に俺と死にたかったというのか…?
“毒みたいな意味”
確かにそうだな、…………、
「俺には…重すぎる………」
「梶原君…?」
嗚呼
俺は今どんな顔をしてるかな、
すごくゾクゾクして……
………興奮が収まらなくて、
頬の緩みが止まらない…………。
(このメイド……絶対引いてる。)
顔から血の気が引いたように真っ青な顔をするメイドは自然と俺から離れて行く
「ッ………!駄目だわ……、。」
メイドは立ち止まって再び俺を見つめる
「梶原君、この前は殺そうとしてごめんね。だけど………」
「殺していいよ。」
死んでいい
今、殺して欲しい
結構遅れてしまったけど、麻耶と一緒に死にたい。
麻耶は…俺と死ぬためにクワの実をくれて、雄斗をたくさん拒絶して、この部屋を焼いてくれたんだから。
俺はそれに応えないといけない
「………ご主人様を置いて行ってもいいんですか?」
「ご主人様………。」
「あんなに待ち焦がれていたご主人様と会わずに、今死んでもいいの?」
「………………………。」
確かに、少し心残りかも
だけど別に良いよ。
俺が死んだら…きっと悲しんでくれる
悲しんで、俺のことだけ考えてられなくて後追い自殺……なんてしてくれれば俺は幸せいっぱいだ
「お願い……殺してくれよ。」
「………………………」
メイドは制服のポケットから何かを出す
(刃物か………………?)
いいや、違う
リング、?
いや、
「これ、なぁんだ。」
「…………………、?ゆびわ……………?」
「うん。これ、上げる。」
なんだか古臭そうな指輪をメイドは俺に渡す。
どこか、見たことある感じ……形も…銀が剥げているこの色彩も……………
「御両親の結婚指輪…………もう忘れたの?」
「両親………………?結婚指輪…………、」
あー…………
そういえば
親父死んだんだっけ。
ご主人様だけを考えすぎて他なんてどうでもよかった。
(だからこの指輪のことも忘れてたんだ……)
でも、どうせまた忘れる
だって興味がない。
「要らない、こんなの要らねぇよ。」
「………………予想外。」
メイドは驚いた顔をしている
(どういう意味だ………?)
「………全部私の要求を断って……”殺してください”、“指輪要らない”、“逃げません”……全部否定……。」
「は………、?」
「甘えんな、いい加減にしろ。」
バチンッ!!!
「ッ……!!!」
いきなり、メイドは俺の頬を叩いた
「ご主人様のことばっかり考えてないで現実見ろよ。相手が心配してくれるから死にたいとか…死んでからじゃ何も残らないだろ!!!」
「っひっ……ご、ごしゅじんさまっ……」
「甘えんな!!いい?クワの花言葉を聞いて死にたくなったのか、麻耶ちゃんが死んで死にたいのか私には全然分からないけど、そんなちっぽけな理由で後追いなんてしないで!!!」
メイドは俺の頬に両手を添えて涙声で言う
「私の妹だって………頑張って生きてるの……助けたいの……だから……梶原君の力がどうしても必要なのっ……!!」
「あんたの妹………………?」
「貴方のせいで閉じ込められてるのっ……だから、私は貴方を許さないし雄斗様も許さない。世界一許さない…けど、世界一許さない人の力を借りないと、妹は酷い目に遭うのよっ…。」
「…………………………………………」
「お願いっ…だから…手を貸して欲しい。」
「…………手を、貸したら、俺はご主人様に会えなくなる…?」
「…………………」
「一生、ずっと会えなくなるの……?」
「………………、」
「何も言わないってことは……………、わかった。」
俺は立ち上がってメイドの前で両手を握る
そして願う
「ここを出て行った後、俺を殺して。」
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