松原部長の災難

white love it

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問題編

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 松原がパソコンの画面をじっと眺めていると、後輩にあたる海堂が部屋に入ってきた。

「やりましたよ、部長。予算案見事に通りました」

 まったく暑苦しいやつだ。
 顔を上気させ、ほんとに身体から湯気が出てるかのような熱気の持ち主である海堂がそばにいると、こちらまで暑くなってくる。
 松原はネクタイをゆるめながら答えた。

「そうか。まあ、予算案が通ったのはよかったよ」
「……あんまり嬉しそうじゃないですね」
「そんなことはない」
「……」
「ただ夏バテのせいかどうもシャキッとしなくてさ」

 海堂は少し考えこんでから言った。

「今度フレッシュジュースバーにでも行きませんか?」
 
 フレッシュジュースバーねぇ……

「どうせだったらもう少し刺激的なところがいいかな?」
「ソーダバーとかですか?」

 海堂の質問には答えず、松原はスマホを操作すると画面を海堂に見せた。

「現役女子高生によるガールズバー!? 部長、こんなのに興味あるんですか?」
「どうやら各界のおえらいさんやらがたくさん来ているらしい。なかなか刺激的だよね。面白い話もたくさん聞けそうだし、うまくやれば相当なカネになる」
「やめたほうがいいですよ。バレたらエライことになります。普通に犯罪ですよ」
「バレなきゃ大丈夫だって」

 海堂はわざわざ椅子を引っ張ってくると、松原の近くに座って言った。

「こういうのは雇われていた女子高生、現行犯で捕まった大人の客達、それから経営者の順にどんどん罪が重くなるものなんです。それぞれの罰は保護観察1年、懲役1年・執行猶予2年、経営者にいたっては懲役2年っていうのが相場なんですよ」
「随分詳しいね」
「知り合いに大企業の顧問弁護士をやっている人がいましてね。丸木先生っていうんですが、表に出せないような案件もかなり扱っているんですよ」
「ふーん」

 松原は自分達のところの顧問を務めている山本の顔を思い出していた。

「うちの山本には無理だな」
「山本先生には無縁の世界です。とにかく部長、変なことは考えないでくださいね」
「あ~わかった、わかった」

 そう言って松原は面倒くさそうに手を振った。

 だが海堂の心配をよそに、結局松原は女子高生によるガールズバーを訪れた。
 そして運悪くガサ入れにきた警察に逮捕された。

 1

 いったいなぜか?
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