ある日の決闘

white love it

文字の大きさ
1 / 2

黒衣の女

しおりを挟む
 まあ、聞きなさいよ。そんなに話は長くかからないからさ。

 あれは今日と同じように暑い日だった。そうだったわよね?
 私たちにとっちゃ、いつもの任務だった。今までとなんにも変わらない日になるはずだった。そうよね?
 私達の任務はいつもどおり、食料品の輸送だった。メンバーは私とクレアとあんたと、それからルスカ。ルスカはあれが初の任務だっていうんで、大分はしゃいでたっけ。

 砦にもどる途中で、あんたがいつもと別の道を行こうって言い出したのよね。
 確かに新しいルートを開発するっていうのも、大事なことよ。そうやって私たちは新たに領土を広げてきたんだもの。土を掘って、食料を集めて、敵を殺して、それが私達のやり方よね?
 でもあの時は嫌な予感がしてたのよ。

 あの辺りは先住民が住んでた。
 部族の名前、何だったかしら?
 連中は私達よりあの辺りの地形になれていたし、数も多かった。
 だけどあんたは大丈夫だって言い張ってた。いざとなったら仲間を呼ぶからって。ちょっと偵察をかねていくだけだって。
 
 実際には奴らのテリトリーに入り込んだ途端、囲まれることになった。
 最初にルスカがやられたわ。
 それからクレア。
 私は群がる連中を撃退するのに必死で、気づかなかったわ。
 
 あんただけ全く襲われてないことに。

 あんた、もうずっと前から連中とつるんでたんでしょ?
 あの時、あんたからは連中と同じ匂いがしてた。裏切り者の匂いよ。

 足を一本なくしたわ。命からがら逃げ出して、砦にもどってみれば、すでに連中に襲われたあとだった。

 目的は何?
 今度は自分がにでもなるつもり?
 言っておくけど、あんたには無理よ。

 何よ?震えてるの?
 そうね。ここであんたを倒したって何にもならない。仲間も子供たちもよみがえらないわ。

 でも許せない。

 このままじゃ済まさない。

 さあ、決闘よ。覚悟しなさい。









「ねえ、お母さん!今ね、お庭でアリさんが2匹ケンカしてるの見ちゃった!」

「まあ、アリさんでもケンカするのね」

「うん」

「それで、どっちが勝ったの?」

「うーんとね、足が一本ない方が勝ったわ」

                           fin
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

処理中です...