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ディズユイット(18) 「2人の神使い」
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私の領土ギリギリに迷い込んで来た、12誕生月花の魔法を使うダン。そして私を見るや否や、一目惚れしてしまったらしいの。
当然、私は拒んだのだけれど、ダンは諦めず、1ヶ月後にもう1度戦い、勝てたら付き合って欲しいと言い出して来たわ。だけど、逆に負ければ私の事は諦め、遣いとして消されても構わないと言う条件であった為、私は了承する事にしたの。
でも時を同じくして、別の領土でも遣い達の戦いが行われていたらしいわ。その戦いは、一方の遣いの圧勝であった事を私は後ちに、ゼロの能力で知る事になったわ。
「良し、これならソフィー相手でも、良い勝負になる筈だ」
ダンは1ヶ月間の間、修行をすると共に、3人の遣いと戦い勝利していたらしいわ。
そして約束の前日、私との戦いに備え、最後の仕上げをしていたらしいのだけれど、その時ある遣いがダンの領土へとやって来てしまった様なの。
「あれ~、こんな所にも領土が出来たんだぁ?」
「どうした、お嬢ちゃん。迷子にでもなったのか?」
ダンの前に現れた女子は、前回他の遣いに圧勝した遣いであった様なの。その名を、ソニア ガンダーと言いらしく、12インド神を魔力として使う遣いであるそうだわ。
「お兄さん、領土で何してたの?」
「明日な、ある女性に告白するんだ。んで、その為の特訓をしてたんだよ」
ソニアは、ダンの言っている意味が、良く分からなかったらしいわ。
だけどソニアは、ダンの行いを無駄だと告げたらしの。それは今からソニアがダンを倒し、ダンの記憶は無くなってしまうからなのだと。
「だから、特訓しても無駄だよ」
「おいおい。まあ、ここに居るって事は一応、お嬢ちゃんも遣い何だろうけどさ」
ソニアの年齢は9歳ならしいく、ダンにお嬢ちゃんと呼ばれても仕方がないわね。だけどソニアは、この世に生を受けた時から、神の力を宿していると言われている程で、大人のダンを相手にしても臆する事は無かったらしいわ。
そして、変身呪文を唱えたソニア。
「我を守護せしその力 今この時この瞬間 神の鉄槌を下さん……ソニア……エボリューションっ!」
「マジでやるのかよ。我を誘いしその力 今この時この瞬間 12の月花を見せ付けん……ダン……エボリューションっ!」
子供の遊びに付き合う感覚で、相手をする事になったダン。でも、ソニアが放った最初の魔法で、ダンは余裕を無くす事になってしまった様なの。
「アスラ、インドラ、お兄さんと遊んであげて」
アスラは『阿修羅』を示し、6本の腕を持つらしいわ。そしてその腕にインドラの武器である『雷』 を持たせ、ダンの頭上から放ったそうなの。
「やべっ!」
油断していたダンは、ソニアの攻撃をまともに受けてしまったらしいわ。そしてダンの身体は、6本の雷で串刺しにされてしまい、身動きが取れなくてなってしまっていたそうなの。
いえ、身動きどころか、その一撃で消されてもおかしく無かったらしいのだけれど、ダンの姿はまだ残っていたそうだわ。
「あれ、何で消えないの?」
「オマエは……何者なんだ? 桁外れの魔力じゃねーか」
ダンに突き刺さっていた雷は消え、動ける様になっていたらしいわ。
それには理由があったそうなのだけれど、ダンは攻撃を受けたと同時に、5月の誕生月花である『スズラン』 の魔法を使っていたらしいの。
スズランの能力は『幸福の再来』 であるらしく、傷付いた身体を元に修復する力を持っているそうだわ。だけど、この魔法は魔力の消費が激しく、そう何度も使える技では無いそうなの。
そこでダンは、私に試そうとしていた、カウンター攻撃でソニアに一撃を与え様と構えたらしいわ。
「へ~。今の攻撃を耐えられるんだ。それに、お花の魔法って綺麗だね」
ソニアはダンに、もっと花の魔法を見せてと言ったそうだわ。そして今度はソニアが遊んでいるかの様に、加減をしながら攻撃をしていたらしいの。
「クソっ、遠距離攻撃ばっかかよ。おい、そんな遠くにいないで、こっちに来いよ」
「肉弾戦がしたいの? 良いよ」
ダンの誘いに乗ったソニア。そして、メガナーダの『羅刹王』 を引き連れ、ダンとの射程距離まで近付いたらしいわ。
「良いねえ。んじゃ、その鬼神の攻撃か、俺の攻撃が早いか勝負だ」
互いに息を潜め、攻撃の時を待ったそうだわ。そしてダンが瞬きをした瞬間、ソニアはメガナーダに蹴りを繰り出す様指示を出したらしいの。
だけど、それを見計らったダンは、チューリップの『争いを避ける』 魔法を掛けたらしいわ。それによりメガナーダの攻撃は止まり、ダンはトドメの一撃を炸裂させ様としたそうなの。
「メガナーダっ、動きなさいっ!」
「悪いな、お嬢ちゃん。大人の駆け引きってやっ!?」
ダンは背後に気配を感じ振り向いたらしいわ。そこには、ソニアが召喚していたもう1つの魔法、ヴリトリの『蛇の怪物』 が口を開け待機していたそうなの。そしてダンは、下半身を食い千切られてしまったらしいわ。
「残~念~、私の勝ち~」
ソニアはダンにトドメを刺す為、近付いて来たそうなの。
だけどダンは、『マリーゴールド』 という花を差し出し、直ぐ消えるので、少しの間トドメを刺さずにいて欲しいと、ソニアに願ったらしいわ。
「マリー……ゴールドは、金色で……綺麗だろ?」
「確かに綺麗だね。遣いで1番強い、私にぴったりの花だよ」
ソニアは、このままでもダンの魔力は尽きると考え、マリーゴールドを受け取り去って行ったらしいわ。
でも、マリーゴールドの花言葉は「絶望」や 「悲しみ」 を意味していたらしいの。
そしてダンは最後の魔力を使い、『バラ』 と、『キョウチクトウ』 を精製した様だわ。バラの花言葉は、『愛している』 と言う意味だそうなのだけれど。
「ソフィー……負けるなよっ」
ダンはバラでは無く、キョウキクトウの花を、私の領土に転送させ、遣いとしての寿命を終える事となったそうなの……。
そして翌日、私はダンとの戦いをする為、領土で待っいたのだけれど、そこでキョウチクトウの花を見付ける事になったわ。
「花? ダンは来ていたのかしら。でも、領土には入れない筈よね?」
「ソフィー、その花はダンが最後の力を使って届けてくれた物だよ」
突然、話し出したゼロ。でも、ゼロにも詳細は分からなかった様なのだけれど、キョウチクトウに込められた魔力で、ダンの花だと気付いたらしいわ。
そしてゼロは、ダンが魔法の国から消えてしまう事を知っていたらしく、優しくする様にと、私に告げていた様なの。
「ダンが消えたですって? 遣いにやられたの?」
「な~」
それ以上の事は、話さなかったゼロ。その後、私は偶然であったのだけれど、ダンの住むオランダに出張する事になっていたわ。
「さて、さっさと帰らないと、ゼロが怒るわね」
私は仕事を終え、空港に向かおうとしていたの。と、その時。
「そこの綺麗なお姉さん、一輪のバラはいかがかな?」
「ダ……ダン?」
私は偶然、ダンの店の前を通り掛かっていて、声を掛けられたの。
そして私はついうっかり、ダンの名前を発してしまったわ。だけど記憶を失っているダンは、不思議そうな顔をしていたの。そこで私は適当に誤魔化したのだけれど、ある事を思い出し尋ねる事にしたわ。
「どうした、お姉さん?」
「……キョウチクトウの花言葉を教えて貰えるかしら?」
ダンが最後に私へ届けた筈の、キョウチクトウの意味を聞いたの。
そしてダンは、キョウチクトウの花言葉は、『危険』 や『注意』 を意味する花言葉だと、私にに教えてくれたわ。
「あまり、縁起の良い花言葉じゃないな。でも、それがどうしたんだい?」
「いえ、それを聞けただけで十分だわ」
そして私は一呼吸起き、ダンにジャンケンをしようと言ったの。もし私が勝てば好きな花を貰い、負ければ花を大量に購入すると言う条件付きでね。
「まあ、良いよ。んじゃ、ジャンケンポン」
結果はダンがグーを出し、私はパーを出していた事で、私の勝利となったわ。
そして私は、紫色の『オダマキ』 と言う花を貰う事にしたの。ほんの少しだけど花言葉について知っていた私は、紫色のオダマキに、『勝利への決意』 と言う意味が込められていた事を知っていたからよ。
「私は負けないわ」
「ああ。あんたなら、大丈夫だっ。因みに、俺と付き合って」
「失礼するわね」
ダンの言葉を遮り、私は帰国する事になったわ。
でも、その間にもソニアは驚異的な魔法で、次々と遣い達を倒していたらしいの。
以前にも話した事があるのだけれど、魔法の国には魔術師の入れ替えがある為、現時点で何人いるのかを把握するのは難しい状況であったわ。だけど、新たにソニアが遣いとして加わった事により、その数は激減していたの。
それは、私にとっても神黒翡翠を手に出来る確率が増える事なので、喜ばしい事であるのだけれど、私自身もいつかはソニアと対峙する事になってしまうでしょうね。
いえ、結果から言うと、私はソニアと直接戦う事は無く、もう1人の神使いと勝負をする事になるのだけれど。
そして、そのもう1人の遣いも今正に、魔法の国で戦っていたらしいの。
「折角、ソニアが遣いを減らしてくれているのに、まだ新たな遣いが現れるのですね」
彼女は名は、ヤーナ ディナ アクインズと言い、エジプトの神々を魔法で使う遣いであるらしいわ。
そして考えたくは無かった事なのだけれど、ヤーナとソニアは協定を結んでしまう事になるの。
「確かに俺は、ついさっき遣いになったばかりだが、強いかも知れないぞ」
この男性は、色の魔法を使う遣いであるらしく、色の中でも12色を厳選し、魔力を込めて戦う様だわ。
「色の魔法ですかぁ。では、綺麗に彩って下さいな」
先ず、青色の魔法を放った男性。青色に代表される表現の1つに、『空』 が示されるわね。そしてその空を、ヤーナの頭上から落として行き、圧迫させると言う攻撃であったらしいの。
「空よ、落ちろっ!」
「これは凄い景色ですねぇ……ですが、ソプデトお願いします」
ヤーナが唱えたソプデトは、『尖った 鋭い物』 の能力で、迫り来る空を切り裂いてしまったそうだわ。
だけど男性は間髪入れず、赤色を示す『火』 で威嚇し、その間に黒色を示す『闇』 を創り出す事で、ヤーナを闇の中へ閉じ込めてしまったらしいの。
「終わりだ。アンタはその闇から出る事は出来ないぞ」
男性は、その闇に黒色を重ね塗りして行き、何重もの闇でヤーナを封じてしまったそうだわ。
そしてその闇の底から、微かにヤーナの声が聞こえて来てらしいの。
『して』、『出して』………『出しなさいっ!!』 と。
更に次の瞬間、ヤーナはその闇を打ち砕き、鬼の形相で現れたらしいわ。
「何故……イジメるの……オマエは……消えてしまえっ!!」
「何だ……?!」
ヤーナの叫びと共に、『レー』 の能力である『太陽の神』 の高熱で、男性は一瞬で消し去られてしまったそうなの。
ソニアが使う神の魔法も危険であるのだけれど、ヤーナが豹変した時の行いは、正に神の怒りを示していたのかも知れないわね。
それから数日後、ソニアは翡翠の友達である、アリス親子まで倒してしまったらしいわ。だけどアリスの父グラディーは、その身に残った魔力全てをアリスに譲渡する事で、アリス自身が魔術師になれと、その思いを託したそうなの。
でも魔術師になるには、それなりの修行が必要であり、アリスは翡翠を遣いにした魔術師のアグリッタの元で経験を積む事になっていたらしいわ。
そしてソニアは次の標的として、音の魔法を使う、マリアの領土へと向かっていたそうなの。
「貴女がソニアですね? 随分と幼い遣いさんですこと」
「身体は子供、魔法は宇宙一の使い手、ソニアちゃんだよ」
マリアを目の前にしたソニアであったのだけれど、揺らぎない勝利への確信で余裕な態度をとっていたらしいわ。だけど戦いが始まるや否や、マリアの先制攻撃でソニアは追い詰められてしまう事になったらしいの。
「……少し大人気なかったかも知れませんわね」
マリアの魔法で黒焦げにされてしまった筈のソニア。だけど次の瞬間、炭の中からソニアが飛び出して来たらしいわ。
「ジャンジャジャ~ンっ」
「なっ……どう言う事ですの?」
ソニアは冥界の主である『ヤマ』 の能力を使い、自分自身を冥界に送る事で難を逃れていたそうなの。
「さあ、マリア。次は私の番だけど、魔法の国に遺言でも残しておく?」
「その必要はありませんわ」
マリアは先程の魔法を掛ける際、追従魔法を仕込んでいたらしいわ。そして更に束縛魔法をソニアに掛け、完璧に動きを封じたそうなの。
この状態にされてしまったソニアは、魔法の唱える言葉さえ発する事が出来なくなってしまっていたでしょうね。
「ぐううっ……」
「その身に私の音色を刻み付けなさいっ!」
トドメの魔法をマリアは唱え様としたらしいのだけれど、その時ソニアに掛けられた魔法を、鋭い槍の様な武器で解き放つ者が現れたそうだわ。
「ソニア、無様な姿ですね」
ヤーナがソニアの加勢をしに来ていたらしいの。だけどヤーナは、今回の戦いをソニアの負けだと認め、ソニアを連れて去って行ってしまったそうだわ。
「……ヤーナがソニアに加勢してしまうと、少し厄介ですね」
その後、ソニアはヤーナの領土に連れて行かれ、エジプトの魔術師であるファラマに会う事になっていたらしいの。
そしてファラマは、ヤーナと共同して戦う様ソニアに告げ、2人の神使いは結託してしまったと言う事よ。
たけどその頃、マリアはある遣いの領土に出向いていたらしいわ。
「あまり気乗りしませんが、この策を使うしかありませんね。居るなら出ていらっしゃい」
「珍しいお客ね。良いわよ、入りなさい」
マリアは、私に共闘する様告げる為、訪れて来たの。
当然、私は拒んだのだけれど、ダンは諦めず、1ヶ月後にもう1度戦い、勝てたら付き合って欲しいと言い出して来たわ。だけど、逆に負ければ私の事は諦め、遣いとして消されても構わないと言う条件であった為、私は了承する事にしたの。
でも時を同じくして、別の領土でも遣い達の戦いが行われていたらしいわ。その戦いは、一方の遣いの圧勝であった事を私は後ちに、ゼロの能力で知る事になったわ。
「良し、これならソフィー相手でも、良い勝負になる筈だ」
ダンは1ヶ月間の間、修行をすると共に、3人の遣いと戦い勝利していたらしいわ。
そして約束の前日、私との戦いに備え、最後の仕上げをしていたらしいのだけれど、その時ある遣いがダンの領土へとやって来てしまった様なの。
「あれ~、こんな所にも領土が出来たんだぁ?」
「どうした、お嬢ちゃん。迷子にでもなったのか?」
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「お兄さん、領土で何してたの?」
「明日な、ある女性に告白するんだ。んで、その為の特訓をしてたんだよ」
ソニアは、ダンの言っている意味が、良く分からなかったらしいわ。
だけどソニアは、ダンの行いを無駄だと告げたらしの。それは今からソニアがダンを倒し、ダンの記憶は無くなってしまうからなのだと。
「だから、特訓しても無駄だよ」
「おいおい。まあ、ここに居るって事は一応、お嬢ちゃんも遣い何だろうけどさ」
ソニアの年齢は9歳ならしいく、ダンにお嬢ちゃんと呼ばれても仕方がないわね。だけどソニアは、この世に生を受けた時から、神の力を宿していると言われている程で、大人のダンを相手にしても臆する事は無かったらしいわ。
そして、変身呪文を唱えたソニア。
「我を守護せしその力 今この時この瞬間 神の鉄槌を下さん……ソニア……エボリューションっ!」
「マジでやるのかよ。我を誘いしその力 今この時この瞬間 12の月花を見せ付けん……ダン……エボリューションっ!」
子供の遊びに付き合う感覚で、相手をする事になったダン。でも、ソニアが放った最初の魔法で、ダンは余裕を無くす事になってしまった様なの。
「アスラ、インドラ、お兄さんと遊んであげて」
アスラは『阿修羅』を示し、6本の腕を持つらしいわ。そしてその腕にインドラの武器である『雷』 を持たせ、ダンの頭上から放ったそうなの。
「やべっ!」
油断していたダンは、ソニアの攻撃をまともに受けてしまったらしいわ。そしてダンの身体は、6本の雷で串刺しにされてしまい、身動きが取れなくてなってしまっていたそうなの。
いえ、身動きどころか、その一撃で消されてもおかしく無かったらしいのだけれど、ダンの姿はまだ残っていたそうだわ。
「あれ、何で消えないの?」
「オマエは……何者なんだ? 桁外れの魔力じゃねーか」
ダンに突き刺さっていた雷は消え、動ける様になっていたらしいわ。
それには理由があったそうなのだけれど、ダンは攻撃を受けたと同時に、5月の誕生月花である『スズラン』 の魔法を使っていたらしいの。
スズランの能力は『幸福の再来』 であるらしく、傷付いた身体を元に修復する力を持っているそうだわ。だけど、この魔法は魔力の消費が激しく、そう何度も使える技では無いそうなの。
そこでダンは、私に試そうとしていた、カウンター攻撃でソニアに一撃を与え様と構えたらしいわ。
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ソニアはダンに、もっと花の魔法を見せてと言ったそうだわ。そして今度はソニアが遊んでいるかの様に、加減をしながら攻撃をしていたらしいの。
「クソっ、遠距離攻撃ばっかかよ。おい、そんな遠くにいないで、こっちに来いよ」
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だけど、それを見計らったダンは、チューリップの『争いを避ける』 魔法を掛けたらしいわ。それによりメガナーダの攻撃は止まり、ダンはトドメの一撃を炸裂させ様としたそうなの。
「メガナーダっ、動きなさいっ!」
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だけどダンは、『マリーゴールド』 という花を差し出し、直ぐ消えるので、少しの間トドメを刺さずにいて欲しいと、ソニアに願ったらしいわ。
「マリー……ゴールドは、金色で……綺麗だろ?」
「確かに綺麗だね。遣いで1番強い、私にぴったりの花だよ」
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でも、マリーゴールドの花言葉は「絶望」や 「悲しみ」 を意味していたらしいの。
そしてダンは最後の魔力を使い、『バラ』 と、『キョウチクトウ』 を精製した様だわ。バラの花言葉は、『愛している』 と言う意味だそうなのだけれど。
「ソフィー……負けるなよっ」
ダンはバラでは無く、キョウキクトウの花を、私の領土に転送させ、遣いとしての寿命を終える事となったそうなの……。
そして翌日、私はダンとの戦いをする為、領土で待っいたのだけれど、そこでキョウチクトウの花を見付ける事になったわ。
「花? ダンは来ていたのかしら。でも、領土には入れない筈よね?」
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突然、話し出したゼロ。でも、ゼロにも詳細は分からなかった様なのだけれど、キョウチクトウに込められた魔力で、ダンの花だと気付いたらしいわ。
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「あまり、縁起の良い花言葉じゃないな。でも、それがどうしたんだい?」
「いえ、それを聞けただけで十分だわ」
そして私は一呼吸起き、ダンにジャンケンをしようと言ったの。もし私が勝てば好きな花を貰い、負ければ花を大量に購入すると言う条件付きでね。
「まあ、良いよ。んじゃ、ジャンケンポン」
結果はダンがグーを出し、私はパーを出していた事で、私の勝利となったわ。
そして私は、紫色の『オダマキ』 と言う花を貰う事にしたの。ほんの少しだけど花言葉について知っていた私は、紫色のオダマキに、『勝利への決意』 と言う意味が込められていた事を知っていたからよ。
「私は負けないわ」
「ああ。あんたなら、大丈夫だっ。因みに、俺と付き合って」
「失礼するわね」
ダンの言葉を遮り、私は帰国する事になったわ。
でも、その間にもソニアは驚異的な魔法で、次々と遣い達を倒していたらしいの。
以前にも話した事があるのだけれど、魔法の国には魔術師の入れ替えがある為、現時点で何人いるのかを把握するのは難しい状況であったわ。だけど、新たにソニアが遣いとして加わった事により、その数は激減していたの。
それは、私にとっても神黒翡翠を手に出来る確率が増える事なので、喜ばしい事であるのだけれど、私自身もいつかはソニアと対峙する事になってしまうでしょうね。
いえ、結果から言うと、私はソニアと直接戦う事は無く、もう1人の神使いと勝負をする事になるのだけれど。
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ヤーナが唱えたソプデトは、『尖った 鋭い物』 の能力で、迫り来る空を切り裂いてしまったそうだわ。
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そしてその闇の底から、微かにヤーナの声が聞こえて来てらしいの。
『して』、『出して』………『出しなさいっ!!』 と。
更に次の瞬間、ヤーナはその闇を打ち砕き、鬼の形相で現れたらしいわ。
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「何だ……?!」
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ソニアが使う神の魔法も危険であるのだけれど、ヤーナが豹変した時の行いは、正に神の怒りを示していたのかも知れないわね。
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マリアを目の前にしたソニアであったのだけれど、揺らぎない勝利への確信で余裕な態度をとっていたらしいわ。だけど戦いが始まるや否や、マリアの先制攻撃でソニアは追い詰められてしまう事になったらしいの。
「……少し大人気なかったかも知れませんわね」
マリアの魔法で黒焦げにされてしまった筈のソニア。だけど次の瞬間、炭の中からソニアが飛び出して来たらしいわ。
「ジャンジャジャ~ンっ」
「なっ……どう言う事ですの?」
ソニアは冥界の主である『ヤマ』 の能力を使い、自分自身を冥界に送る事で難を逃れていたそうなの。
「さあ、マリア。次は私の番だけど、魔法の国に遺言でも残しておく?」
「その必要はありませんわ」
マリアは先程の魔法を掛ける際、追従魔法を仕込んでいたらしいわ。そして更に束縛魔法をソニアに掛け、完璧に動きを封じたそうなの。
この状態にされてしまったソニアは、魔法の唱える言葉さえ発する事が出来なくなってしまっていたでしょうね。
「ぐううっ……」
「その身に私の音色を刻み付けなさいっ!」
トドメの魔法をマリアは唱え様としたらしいのだけれど、その時ソニアに掛けられた魔法を、鋭い槍の様な武器で解き放つ者が現れたそうだわ。
「ソニア、無様な姿ですね」
ヤーナがソニアの加勢をしに来ていたらしいの。だけどヤーナは、今回の戦いをソニアの負けだと認め、ソニアを連れて去って行ってしまったそうだわ。
「……ヤーナがソニアに加勢してしまうと、少し厄介ですね」
その後、ソニアはヤーナの領土に連れて行かれ、エジプトの魔術師であるファラマに会う事になっていたらしいの。
そしてファラマは、ヤーナと共同して戦う様ソニアに告げ、2人の神使いは結託してしまったと言う事よ。
たけどその頃、マリアはある遣いの領土に出向いていたらしいわ。
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魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
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