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九月生

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生配信8 配信にお邪魔しまーす2

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「ねぇ、滝くんってFPS上手いですよね? どうしたら上手くなれるんですか?」

 カジュアルマッチのマッチング中にサキサキさんに言われる。

「上手くなる方法ね」

 俺自身、FPSは得意だけど、上手いって自覚はあまりない。だって、俺よりも上手い人は沢山いるだろうし、実際、リスナーさん達の中にも俺より上手い人いるし。

 でも、まあ、上手くなる方法1つは思いつく。

「数こなせば上手くなりますよ」

「数ですか?」

 そうです、数です。

「まあ、どのゲームも長時間やれば上手くなるじゃないですか。それと同じでFPSも上手くなるんですよ。長くやってればやってるほど、エイム力も付くし、動き方も分かる」

 現に俺はそうやってエイム力付けたし、動き方も理解した。

「そうかもな。長くプレイしてればエイム力は付くな」

 聡太さんも俺と同じで、長時間やって上手くなった派の人間だ。

「なるほど。長くやってれば良いんですね」

 大雑把な回答かもしれないが、ゲームってのはそういうもので、長時間やれば上手くなる。これが真理なのだ。

 そうこうしているうちに、マッチングが終わり、キャラ選択へと画面が変わる。

「ちなみに2人は何使うんですか?」

 キャラを選ぶ順番は、サキサキさん、聡太さん、最後に俺。

「私はライフライン」

 1番最初に選ぶサキサキさんんは、褐色の女の人を選択。

 確かこいつは、チュートリアルで使った気がする。仲間を回復させることができるとか。

 次に聡太さん。

「俺はパスファインダー」

 身体が機械で出来たキャラ。こいつについては何も知らない。

 そして俺の番になるのだが、

「何使えば良いですか?」

 キャラの予習なんかしていないため、どのキャラを使えばいいのか分からない。サキサキさんと聡太さんに任せる。

「レイスにでもしたら」

「どいつですか?」

 聡太さんからキャラの特徴を聞き、なんとかレイスにたどり着く。

 キャラの選択が終わり、今度こそ戦場へ。

 PUBG同様、空から戦場へ降りなければならない。この試合は聡太さんの判断でどこに降りるか決まる。

「じゃあ、ここ誰も降りてなさそうだから、そこにするか」

 どこに降りるのか目印を立て、空から降りる。

 確かに目印の場所に俺ら以外誰も降りて来ていない。始まってすぐに死ぬことはないだろう。

 聡太さんの後について行き、空から地上へ。

 地上へ降りたらPUBGと同じく、散開し、物資を調達。

 サキサキさんと聡太さんが使う銃があったら教えてあげなくちゃな。

 そこだけは気を付けながら、どんどん物資をバックの中へ入れていく。

「滝、こっち来て!」

 あらかた物色し終わったところで、聡太さんに呼ばれる。

「はいはい」

 走って聡太さんの元へ向かうと、銃が1丁落ちている。

「なんですか、これ?」

「んん、何ってスナイパーライフル。この試合は、これ使って」

 えええええ。これ使うの。

 いやです、と拒否したいところだが、俺は初心者で聡太さんは経験者。

 言うことには従った方がいいのかもしれない。

 黙って落ちている銃を拾う。

 ロングボウ。スナイパーライフルね。

「弾は?」

「拾っといた。はい」

 聡太さんは弾を落とすと、すぐに去っていく。

 スコープもないし、拡張マガジンもない。はぁ、ちゃんと使えるかな。

「滝くん、こっちこっち!」

 今度はサキサキさん。

「はーい」と返事をし、向かう。またもや、足元に銃が。

「はい、これ!」

 銃を見てみると、プラウラー。

「マジですか! ありがとうございます!」

 俺の使いたかった銃がそこに置いてあった。

「弾はねぇ、あっちに置いてあったよ。拾っときたかったんだけど、アイテムが一杯で」

「いやいや、めちゃくちゃ感謝です」

「本当に? えへへへ」

 プラウラーをメインに持ち替え、弾を拾いにいく。

 いやあ、サキサキさんは分かってらっしゃる。使いたくもない銃を寄越す聡太さんとは大違い。

 1発殴っとこうかな。

 次の場所に行こうとする中、1発聡太さんをぶん殴る。

 バンッ!

「はあ⁉︎」

「うわ、こわ」

 俺はサキサキさんを盾にするように動きながら、聡太さんのパンチを避ける。

「ちょっとやめて下さい!」

 サキサキさんの目の前でうろちょろ、うろちょろ。俺ならぶん殴るところだが、彼女はしない。

「滝が先に殴りました」

 幼稚園児が先生に言いつけるかのような言い方をする聡太さん。

「聡太さんが先に使いたくもない銃を寄越しました!」

「それは強いんです」

「使いたくありません」

 まるで幼稚園児の喧嘩。

「2人共やめなさい。喧嘩なら後でにしなさい!」

 サキサキさんが喧嘩の仲裁に入り、バンッ、バンッと俺たち2人を殴る。

 サキサキさんの暴力で茶番を終わり、次の建物内に近づいたところで、

「あそこにいるな」

 赤い目印しが立てられる。敵がいると言うことだ。

「撃っちゃいますよ」

 俺も確認出来たので、ロングボウで狙いを定める。スコープがないため、精密射撃は出来ないが、

 バンッ!

 パリン。

 55の数字が相手のいた場所に表示される。

 もう1発。

 バンッ!

 今度は流石に外す。

「よく当たりますねぇ?」

 敵に向け乱射するサキサキさんに、

「やっぱり滝にはスナイパーライフルが良いんだよ」

 慎重に狙いを定めて撃つ聡太さん。

 相手も俺達の存在に気づき、物陰に隠れながら撃ってくる。

「どうします、詰めますか? それとも引きますか?」

 今、俺達がいる所には遮蔽物があまり無く、スナイパーライフルで狙われたら即終わり。

 さて、どうする。

「詰めましょう!」

 強気なサキサキさん。

「じゃあ、詰めますよ」

 俺はロングボウで2人の援護射撃をする。横に小刻みに動き、弾を避けながら。

「オーケイ。お前も来て良いよ」

 今度は聡太さんが援護射撃。その間に俺は詰める。

「敵詰めて来てます!」

 サキサキさんの言う通り、敵がどんどん近づいてくる。

「俺とサキサキさんで迎え撃つよ。滝は援護ね」

「「了解」です!」

 聡太さんの指示通りに動く。

 5点バーストのプラウラーに持ち替え、敵に向け撃つ。

 目視出来ている敵は2人。出来ていない敵が1人。

 少しずつ2人にダメージを与えていくが、このままだと先に俺が倒される。

 まあ、倒されるのなら1人ぐらい道連れにしたいよね。

 敵1人に照準を合わせ、集中砲火してやろうか思っていると、

「滝、下がれ。もう大丈夫だ」

 敵2人の側面に回った聡太さんとサキサキさんが不意を付く。

 聡太さんは大丈夫だと思うが、サキサキさんは少し怪しい。

「もうちょっと削っとくか」

 ロングボウに持ち替え、サキサキさんと向かい合っている敵に、2発。

「じゃあ、回復に入ります」

 物陰に隠れて回復。キルログに2人の名前が載る。

「滝くん、さっきはありがとう! あの2発が無かったら危なかったよ」

「いえいえ、チームですから。当然です」

 俺はサキサキさんを助けたぞ、サキサキリスナー達よ。これで射撃練習場のことは忘れてくれ。

 今は試合中なので、後でコメントを見ることにする。

 多分、許してくれているだろう。

 全員回復が終わり、周囲を警戒しながら相手の物資を奪う。

 あ、アーマー。アーマーってどんな効果だっけ?

 全く予習してないため、アーマーがどんなものか分からない。

 そういう時は、

「そうえもん! アーマーってなんだい?」

「それはねぇ~着ると体力ゲージ増える魔法のアーマーなんだよぉ」

 すぐさま、某アニメの青いロボットの真似をしながら、アーマーについて説明してくれる。まあ、似てなさすぎて、「フッ、フフッ」と声を殺してサキサキさんが笑っているが。

「レベル2の青アーマーはねぇ、体力が75も増えるアーマーなんだぁ。他にもレベル1の白アーマーは50増え、レベル3と4の紫と金は100増えるんだよぉ~。分かったかな、無知能少年?」

「無知能⁉︎ そこまで言う?」

「無茶振りさせたからだよぉ~」

 まだ真似を続ける聡太さん。説明は少し続き、紫アーマーと金アーマーの違い、ヘルメットの効果などなど。

 PUBGの装備と大して変わらなかったため、理解は早い。

「青アーマーはサキサキさんと滝が着てくれ。俺は白アーマーで十分だから」

 白アーマーをいつの間にか着ていた聡太さんが、青アーマーを俺達に譲ってくれる。

 じゃあ、お言葉に甘えて。

 必要な物資は奪えるだけ奪った。俺達は次の場所に向けて行動する。

「休日さ、最近ずっとゲームやってんだよね」

 聡太さん。

「ああ、それは俺もですよ」

 俺。

「うん、私はここ2日外に出てないかな」

 サキサキさん。

 みんながみんな、ゲーム大好き都会っ子なため、外に出ずにゲームばかり。

 でも、それは仕方ない。

 だって、ゲームが面白すぎるんだもん。ストーリーの面白さ、操作性の良さ、グラフィックの綺麗さ。進化し続けるゲームをプレイしないで、何が人生だ。

 俺の人生はゲームに捧げると決めている。俺がゲームを辞めるときは、それは死んだときだ。

 ………なんて廃人みたいなこと思っているけど、これは人には伝えない。だって、伝えたところで、お前馬鹿じゃね、みたいな目で見られるんだもん。例えば母親とか。

 少し雑談しながら物資を揃えていくと、近くに別のチームがいることに気がつく。

「あそこにいますね」

 赤い目印を立て、どこにいるか教える。

「ああ、あそこね」

 今俺達は建物の1カ所に集まっていた。建物の窓から3人で、敵のいる場所を眺めている。

「あれ、どうします? 戦いに行きますか、それともこのまま引きこもりを続けますか?」

「俺は引きこもりだから引きこもってたい」

「俺も聡太さんに賛成」

 無駄な戦いは避けるべき。

 FPSでの勝ち方には2通りあり、戦って戦って戦い続け最後の1人に残る方法と、待って待って待ち続け最後に残った敵を倒して美味しいところを持っていく方法だ。

 今回は後者を選び、俺と聡太さんは戦わないを選択した。

 しかし、サキサキさんは俺達の選択に不満があるようで、

「いいんですかねぇ、戦わなくて。映画とかでもそうですけど、引きこもっている人ほど死んで行きますよね」

 異議を唱えてくる。

 引きこもりが早く死ぬって? いやいや、積極的に戦いに行った奴に方が早く死にますよ。

 それに、敵が俺達に気づいているわけないでしょ。いくら1つの窓にキャラが3人密集してるからって気付くわけ、

「「………まさか、そんなわけ。敵が気づいているわけありませんって」」

 人はこれをフラグという。

 バン!

「あああああああああああ⁉︎」

 1番最初に死んだのは俺。しかも、1発で。

「滝くん⁉︎ ど、どうしよう!」

 いや、逃げてよ。

「きゃあああああああああ」

 2発目の銃声。今度はサキサキさんが死んでしまった。

 でも、大丈夫。まだ聡太さんが、

「ちょっとトイレ」

「おい、馬鹿! 待て、行くな!」

 唐突なトイレ宣言。トイレの中に消えていった聡太さんは、3発目の銃声後、死んでしまい、俺達のチームは全滅してしまった。

 トイレから帰ってきた聡太さんに、なぜ1発で俺達は死んだのか聞くと、そういうスナイパーライフルがあるらしく、今回敵はそれを持っていたそうだ。

「ってか、狙われてんの分かってんだから、トイレ行くなよ」

 俺とサキサキさんに責められる中、聡太さんは吹けもしない口笛を吹き、誤魔化すのであった。





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