C×C 〜クラウンxクラウン〜

九月生

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「昨日ぶりの別世界だな。全員助けないとな」

「ああ。今日こそあの怪物に正義を下し、全員を助ける」

 昨日、逃げることしか出来なかった俺達。今日こそ、この神隠しを終わらせるために、東京駅へと飛んできた。

「真珠を怖がらせた報いを受けさせてやる」

「うん、うん。私、怖かったんだから!」

「分かってるよ、真珠。大丈夫、今日はお姉ちゃんもついてるから」

「うん!」

 ………

 ……

 …

「………なんで、真珠がここにいるの?」

 全員の視線が真珠さんへと向けられる。

「えっ、ああ、なんでだろう?」

 本人にも理解が出来ていないらしい。

「どういうつもりだ、シンパン」

 今日はシンパンを含めた4人で、怪物を倒すはず。なのに、何故被害に遭った真珠を連れてきたのか。

 それと、シンパンの別世界へのは、距離関係なく出来ることなのか、を聞き出すために声をかけるが、

「………なんで、ここに?」

 そう呟く、シンパン本人には困惑の色が見えた。

「なんで、真珠ちゃんを連れてきたんだよ!」

 京介がシンパンに掴みかかろうとするも、その手は空を切る。

 そして、シンパンは京介の言葉に対して否定した。

「僕に触れていない人間を連れてくることは、今の僕には出来ない。これは僕の仕業じゃあないんだよ」

「じゃあ、なんでここに妹がいるのよ!」

「………僕の仕業ではないんだよ」

 シンパンは誰にも目を合わせることなく言い放つ。

 まるで、何かを隠すかのように。

「そもそも、真珠さんを連れてくるメリットがない以上、連れて来はしない。逆にデメリットでしかないんだから連れてくるものか」

 確かにシンパンの言う通りだ。彼女を連れてくるメリットを考えるも、何も思い浮かばない。デメリットの方は思いつくが。

「じゃあ、誰が連れてこれるんだよ⁉︎」

 京介は声を荒げながら、眉間に皺を寄せる。

 いつもの京介なら、笑いながら「真珠ちゃんを帰してあげること出来る?」なんて言いそうなのに、今日は珍しく怒っている。

「………知らない」

 またしても、目を逸らしながら答えた。

「京介。真珠さんには悪いが、シンパンの言い分は筋が通っている。連れてきたのは、シンパンじゃないと思う」

「慎二」

「でも、シンパンは何か隠してることがある、だろ? 誰が真珠さんを連れてこれるのか、教えてくれ」

 俺の問いに対して、シンパンは気まずそうにし、地面を見つめる。

 シンパンの態度から誰が連れてこれるのか、検討はついた。

「お前が話さないのなら俺が」

 話すぞ、と伝える。

 流石に諦めがついたのか、ため息を吐き、素直に答える。

「『世界』だよ。僕以外に人を連れて来れるのは」

「なっ! じゃあ、連れてきたのは『世界』な」

「それも違う………と思う」

 京介の言葉を遮るように、シンパンは自分の考えを全員に聞かせる。

「『世界』は確かに人を飛ばせる。いや、と言った方が正確なんだ。今の『世界』は動くことも出来ないくらい弱っている。それこそ人を飛ばした暁には、『世界』は死んでしまうぐらいにね」

 シンパンは『世界』と親しい仲なのだろう。とても悲痛な表情を浮かべ、説明を続けた。

「協力者である君達に力を与えることすら危険なのに、『世界』はそれを承知で与えている。協力が必要なのに、断られるようなことをすると思うかい?」

 シンパンの言っていることが正しいのなら、確かにそんなことをするメリットは無い。

「じゃあ、誰が真珠を連れて来たの?」

 自分に触れていない人を飛ばすことが出来ないシンパンは、除外。

 力を与えることすら危険なほど弱っている『世界』も、一応除外。

 じゃあ、誰が。

「僕の予想だけど、もう1人候補がいる。真珠さんに接点があって、この東京駅にも接点がある。僕達の存在にも気づいている奴が」

「………アイツ、か」

 東京駅の地下に潜んで、ニタニタと笑っている怪物。

「神隠しだって、いわば表世界の人を別世界へとようなものだと思う。今回、僕らの飛んだ位置に、真珠さんを飛ばしたのは」

「守れるものなら守ってみろ、ってことか」

 挑発にしては、いい挑発。

「買ってやるよ、その挑発」

 予定より1人増えたが、それでも目的は変わらない。

「ぶっ飛ばしてやる」








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