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神隠しと鬼ごっこ
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「もう1度昨日の出来事をゆっくり分かりやすく話してくれ」
「さっきも分かりやすく話したつもりなんだけどな」
京介に昨日の出来事を登校中に聞いた。
話によると、怪物を倒した後俺は倒れたらしい。慌てふためく京介達を見ながら、シンパンは溜息混じりに呟く。
力の行使による疲労だと。
初めての力の行使により、気力や体力、精神力が擦り減り、ただ疲れて寝ている。そのまま寝かせて置けば明日にはいつもの状態に戻っている。と説明されたらしい。
そんな倒れた俺を京介が背負い、別世界の東京駅から脱出。捕まっていた人達も東京駅が消えた影響で、現実世界へと戻ってきた。
「それで、帰り道に?」
「そう! お前の時と同じように世界が現せて、力を貰ったんだよ!」
現在、この会話を聞いているのは、俺と美妃先輩。
場所はあの空き教室。
隣で話を聞いている美妃先輩に視線を送ると、コクンと頷いた。
「じゃあ、本当に貰ったんだな」
「………やっぱり、信じてなかったんだ」
笑顔で返事をする。
「世界はなんて言ってた?」
「ええっと、確か」
………
……
…
「『轟木京介、力を求める者よ。何故、汝は力を求める?』が最初の問いだったはず」
と、忘れてしまった京介の代わりに、美妃先輩が世界の言葉を真似る。
「そう! そんで俺は『人が助けられるから』って答えて………えっと」
昨日の出来事なのにも関わらず、覚えていないのはどうしてなのか気になるところ。
京介の代わりに、再び美妃先輩がすぐさま答える。
「『何故、人を助けたがる?』が次の問いね」
「『人助けに理由なんて要らんでしょ』って答えた」
昔から京介は、こうなのだ。
自分の直感に従う。見て見ぬ振りは出来ない。手が届く場所に、助けを求める人がいるならどんな人でも手を差し伸べる。
それが京介の良いところであり、悪いところでもある。
まあ、多分後者の方は俺にも当てはまるのだが。
「そして最後に『汝の求める力とか?』」
「『怪物を倒せる力』って答えたら、紋章No.8力を貰ったわけよ!」
見せてやろうか、と今にも発動しそうな京介に首を振り、美妃先輩へと向く。
「シンパンは?」
「一昨日と同じく何処かに消えていったわ。何かあったときは呼びにくるそうよ」
何も告げずに何処かへ立ち去るシンパン。探そうにも探し出せない。
そもそもシンパンが何者なのか分からない時点で探せる訳がない。
シンパンのことは心配するだけ時間の無駄なのかもしれない。
「そう言えば、ニュースって見ましたか?」
「ええ、どのチャンネルも神隠しのことしか流していないわ」
ニュースを見忘れた、と伝えると美妃先輩が内容を話してくれた。
神隠しに遭い、身元が特定されていた被害者達が、東京駅構内の地下1階にて発見された。見回りをしていた警察官が保護したという。
被害者達はすぐさま病院へ運ばれ、全員身体ともに異常は見られなかったそうだ。
警察の事情聴取に、被害者達は「何も覚えていない」「自分達に何が起きたのか分からない」と困惑しているらしい。
「ニュースの内容はこんな感じ。シンパンの言った通り、誰1人何も覚えてなさそう」
「怪物に殺された人達は」
俺がそう尋ねると、美妃先輩は首を横に振った。
未だ身元が特定されていないらしい。多分、今後も特定されることはないだろう。
「そうですか」
唯一の悲しい事実。
もし叶うのならば、被害者が出る前に戻って助けてあげたいが、そんな力は無い。
重い話題になり始めた途端に、学校のチャイムが鳴る。
「予鈴鳴っちゃったわね。今日はここまでね」
「はい。じゃあ、失礼します」
授業開始の10分前。
俺と美妃先輩は自身の教室へと戻る。
京介はというと、
「………俺の力の話はあれで終わり?」
放心状態だったので置いていくことにした。
「さっきも分かりやすく話したつもりなんだけどな」
京介に昨日の出来事を登校中に聞いた。
話によると、怪物を倒した後俺は倒れたらしい。慌てふためく京介達を見ながら、シンパンは溜息混じりに呟く。
力の行使による疲労だと。
初めての力の行使により、気力や体力、精神力が擦り減り、ただ疲れて寝ている。そのまま寝かせて置けば明日にはいつもの状態に戻っている。と説明されたらしい。
そんな倒れた俺を京介が背負い、別世界の東京駅から脱出。捕まっていた人達も東京駅が消えた影響で、現実世界へと戻ってきた。
「それで、帰り道に?」
「そう! お前の時と同じように世界が現せて、力を貰ったんだよ!」
現在、この会話を聞いているのは、俺と美妃先輩。
場所はあの空き教室。
隣で話を聞いている美妃先輩に視線を送ると、コクンと頷いた。
「じゃあ、本当に貰ったんだな」
「………やっぱり、信じてなかったんだ」
笑顔で返事をする。
「世界はなんて言ってた?」
「ええっと、確か」
………
……
…
「『轟木京介、力を求める者よ。何故、汝は力を求める?』が最初の問いだったはず」
と、忘れてしまった京介の代わりに、美妃先輩が世界の言葉を真似る。
「そう! そんで俺は『人が助けられるから』って答えて………えっと」
昨日の出来事なのにも関わらず、覚えていないのはどうしてなのか気になるところ。
京介の代わりに、再び美妃先輩がすぐさま答える。
「『何故、人を助けたがる?』が次の問いね」
「『人助けに理由なんて要らんでしょ』って答えた」
昔から京介は、こうなのだ。
自分の直感に従う。見て見ぬ振りは出来ない。手が届く場所に、助けを求める人がいるならどんな人でも手を差し伸べる。
それが京介の良いところであり、悪いところでもある。
まあ、多分後者の方は俺にも当てはまるのだが。
「そして最後に『汝の求める力とか?』」
「『怪物を倒せる力』って答えたら、紋章No.8力を貰ったわけよ!」
見せてやろうか、と今にも発動しそうな京介に首を振り、美妃先輩へと向く。
「シンパンは?」
「一昨日と同じく何処かに消えていったわ。何かあったときは呼びにくるそうよ」
何も告げずに何処かへ立ち去るシンパン。探そうにも探し出せない。
そもそもシンパンが何者なのか分からない時点で探せる訳がない。
シンパンのことは心配するだけ時間の無駄なのかもしれない。
「そう言えば、ニュースって見ましたか?」
「ええ、どのチャンネルも神隠しのことしか流していないわ」
ニュースを見忘れた、と伝えると美妃先輩が内容を話してくれた。
神隠しに遭い、身元が特定されていた被害者達が、東京駅構内の地下1階にて発見された。見回りをしていた警察官が保護したという。
被害者達はすぐさま病院へ運ばれ、全員身体ともに異常は見られなかったそうだ。
警察の事情聴取に、被害者達は「何も覚えていない」「自分達に何が起きたのか分からない」と困惑しているらしい。
「ニュースの内容はこんな感じ。シンパンの言った通り、誰1人何も覚えてなさそう」
「怪物に殺された人達は」
俺がそう尋ねると、美妃先輩は首を横に振った。
未だ身元が特定されていないらしい。多分、今後も特定されることはないだろう。
「そうですか」
唯一の悲しい事実。
もし叶うのならば、被害者が出る前に戻って助けてあげたいが、そんな力は無い。
重い話題になり始めた途端に、学校のチャイムが鳴る。
「予鈴鳴っちゃったわね。今日はここまでね」
「はい。じゃあ、失礼します」
授業開始の10分前。
俺と美妃先輩は自身の教室へと戻る。
京介はというと、
「………俺の力の話はあれで終わり?」
放心状態だったので置いていくことにした。
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