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第10章 二つの炎
14話
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「どうやら、まだ生きているようだな」
その東條の言葉は、茨に囚われている朱雀たちに向けられたものではなく、皮肉にも自らに向けられたものだった。
サンクタス・フミアルビーが残して行った白炎はいまだ燃え続け、床の茨から広がって、6本の円柱にも及んで行った。
その茨が焼き切れて、円柱にぶら下げられていた血まみれの魔法使いの体が、ドサッ! と音をたてて目の前に落ちて来たので、東條は息を呑む。
「これは……、酷いことをする。行方不明になっていた、他校の生徒じゃないか?」
首筋に触れてみて、彼らがまだ生きていることを知ると、東條は怒りに燃える眼差しでゆっくりと立ち上がった。
その両手に、ダイヤモンドのサックが召喚される。
東條は、玉座の奥にうずくまっている高円寺夫妻と、今は魔女の器となっている聖羅を牽制するように、臨戦の構えをとった。
三次が日本刀で、桜が薬刀でそれぞれ吏紀と永久を茨から解放し、二人を助け起こしている間、美空は東條に並んで弓を構えた。
「もしもここから生きて帰してやると言われても、あの白い竜には二度と乗りたくないわね」
と、毒づきながら。
白炎に焼かれて茨が緩んだので、空は自らの短剣で茨を切り離し、天蓋から飛び降りた。
軽々と着地した空は、まだ天蓋にくくりつけになっている流和を見上げて両手を広げると、『かまいたち』、と唱えた。
たちどころに風が真空を生み出し、難なく茨を断ち切って、流和の体が空の腕の中に落ちてきた。
「さっきは無茶しやがって、傷だらけじゃないか流和」
空は流和の体にできた生々しい切り傷に癒しの風を当てながらたしなめたが、流和には分かっている。実は、空の体にできている傷の方が、流和よりも深いことを。
たとえ茨に腕をちぎられても、足を失ってでも、空は聖羅を止めようとしていたのだ。流和と同じように、さっきは空も無茶をしていた。
「貴方ほどじゃないわよ、空」
流和が愛しげに、空の額にかかった髪を指ですくい上げて、その瞳の上にキスをした。
一方、茨から解放された吏紀は、永久の顔を両手で包みこんで、鼻が触れ合うほど近く覗き込んだ。
「顔をよく見せてくれ、永久、大丈夫かい?」
永久は、そんなふうに震える吏紀の声を初めて聞いた気がした。
「私は大丈夫よ」
いつも冷静沈着な吏紀が、珍しく取り乱していることに驚きながら、永久は吏紀を安心させたくて、真っすぐに見つめ返した。
その瞳を見て、星の雫が落ちたみたいだ、と吏紀は思う。
永久のしっとり濡れた、綺麗な瞳に見つめ返されて、ようやく吏紀は平静を取り戻し、心底ホッとしている自分に気づく。もし永久が、魔女に体を乗っ取られていたら、吏紀は正気でいられたかどうか自信がない。
自分が傷つくことよりも、彼女が失われることがこんなに恐いなんて、今まで想像したことさえなかった。
思っていた以上に自分が永久のことを大切に思っている、という事実に気づいて、吏紀は言いようのない驚きを覚えた。
玉座の反対側では、壁にくくりつけになっている朱雀を前に、優が困った顔をした。
茨からは魔力封じの力を感じるので、手で触ることはできないし、かといって三次や桜の持ってるような剣も持ち合わせていない。
優の首から下げている小刀は、銀色狼の牙を研いだものなので、刺さりはしても、切ることに関してはペーパーカッターにさえならなさそうな代物だ。
「まさか、縛り付けられている俺を見て楽しんでるわけじゃないよな?」
朱雀が不満そうに眉をひそめる。
「そういうプレイが好きなら、いつでも相手になるけど……、今はない。早くなんとかしてくれないかな、お嬢さん」
「縛られるのが好きなの? 冗談でしょ。自分でなんとかできない? 確か、スローイングナイフを持ってたよね、朱雀」
「お前ってさ、そういうとこ本当に薄情だよな。後ろを見てみろ。空も吏紀もいい感じなのに、俺だけまだこんな状態だぞ」
そう言って朱雀が、茨の巻き付いた両腕を不自由そうに見やったので、優は仕方なく、パチンッ、と指を鳴らした。
ボワッ!
火花が散って、朱雀に絡みついていた茨が一瞬で焼き切れて砕け散った。
ようやく自由になった朱雀は、強すぎる優の火花を振り払いながら、真っすぐ優に近づいた。優が両手を広げて迎えると、朱雀は小さな優を頭から思い切り抱きしめた。
「前髪が焦げた……」
前髪が焦げたのは、朱雀の魔力が魔力封じの茨に封じられていたせいで、優の炎の力をもろに受けたからだ。けれど、それくらいで済んだのは運が良かった。あの状況では、優の炎で朱雀がもっと酷い怪我をする心配もあった。
「だからイヤだったのよ」
と、朱雀の胸の中に顔をうずめて、優も呟いた。
朱雀がさらに強く優を抱きしめて、その美しい炎の巻き毛の中に愛おしそうに唇を落とした。
だが、再会の喜びをそう長く噛みしめている時間はなかった。
玉座の奥で闇の力が急激に広がり、空気が凍りついたのだ。その殺人的な冷たさに、切れるような痛みが肌に走った。
吐きだす息が氷の塵となり、息を吸えば肺に送り込まれる空気が、喉にも胸の奥にも刺さった。まともに息をすることもできない!
三次と桜、東條と美空、吏紀と永久、そして空と流和は、朱雀と優の周りに集まった。炎の魔法使いの周囲だけが、わずかに温かい、彼らが生存できる範囲だった。
「優、お前に出会う前は、俺はずっとこんな肌寒さを一人で感じてたんだぜ」
――肌寒いだって!? そんなレベルじゃないだろ
と、その場に居た誰もが、この状況下での炎の魔法使いのあっけらかんとした様子に舌を巻く。
「うん、私もだよ。朱雀に会うまでは、ずっと寒かった。けど、これからは」
――「『フランマ!』」
朱雀と優が、同時に前方に手を差し伸べると、二人の炎が勢いよく花開き、冷気を退けた。
「少し、熱すぎるな」
漆黒の男、高円寺 亜魏戸が長いローブを揺らしながら、玉座からゆっくりと降りてきた。
「いや、寒すぎるんだよ」
と、朱雀が舌打つ。
「あれが朱雀のお父さん? 似てるね」
「冗談だろ」
朱雀が一瞬、優に視線を落とした、その刹那。
「よそ見するな、来るぞ!」
吏紀と空が同時に杖を構え、身の毛もよだつ勢いで前方に踏み出した。その二人の前に瞬身魔法で現われた阿魏戸の杖が振り下ろされる。
二人がかりで阿魏戸の攻撃を受けてなお、後ろに吹き飛ばされそうになるのをグッとこらえなければならない。
『ウラゴン!』
流和のサファイヤの杖から水が竜となって吹きだし、阿魏戸に襲いかかる。が、阿魏戸は軽々と後方宙返りでそれを交わすと、間髪入れずにまた杖を振りまわした。その途端、黒い炎がイナゴのように地面を覆い尽くし、優たちに飛びかかって来た。
朱雀がルビーの杖を大きく回し、真っ赤な炎で黒の炎を押し返す。熱い炎と冷たい炎、二つの相反する炎が勢いよくぶつかって、空間が陽炎のように揺れた。
目まぐるしい戦闘展開に、優は目がまわりそうになった。感情が追いつかない。でも、今一番失ってはいけないのが、正常な感情なのではないか、という思いが優の心に迫ってくる。なぜなら、魔法は強い意思から生まれ、闇に立ち向かう時、光こそが盾となるから。だから、心の内にある明るい感情を鈍らせてはいけないのだ。
我を忘れて戦うならば、やがて闇に心の隙を突かれるだろう……。
そのとき、東條が警戒して優たちに注意を促してきた。
「近接戦でのポジションを忘れるな。数ではこちらが勝っているが、経験と狡さでは向こうが上だからな。不用意に前に出るなよ」
と。
東條が警戒しているのは、ヘルド・ホステイジだ、と優はピンときた。敵は、優たちの中の誰か一人でもいいのだ。その誰かを捕え、人質にして全員の動きを止めることができる。そうなれば一気に全員がピンチだ。優は夜の特訓で東條から教えてもらったことを思い出そうとした、そのとき!
「美空!」
冷たい気配を美空の背後に感じて、優は叫んだ。
鋭く尖ったブラックダイヤモンドの先端が、陽炎の揺らぎの中から音もなく美空に差し向けられた。
美空は咄嗟に弓で殺意の杖先を絡め取ると、なんとかそれが自分に刺さらないように逸らすことができたが、無理な体勢からの咄嗟の対応にバランスを崩し、バッタリと地面に倒れ込んだ。美空の両脇にいた三次と桜が、続けざまに繰り出されるブラックダイヤモンドの杖の襲撃を美空からそらそうと、果敢に立ち向かって行くのを、優は見た。
「三次! 桜!」
高々と吹き飛ばされてゆく三次と桜が、壁際に落下して、みるみる氷に閉ざされてゆくのを見て優は悲鳴を上げた。
「離れるな、明王児!」
東條は怒鳴りながらも、後衛への華留蛙の攻撃は途絶えることがない。ダイヤモンドのサックで覆った両手で、黒いダイヤの攻撃を一度は跳ね返し、二度目は受け流し、三度目はついに真正面から受け止めた。東條はその力差を一瞬で感じ取っていた。たった一度まともに攻撃を受けただけで、体中の骨が粉々にくだけそうだ。――ったく、なんだこの力は!
永久が東條の背後で光の杖をともし、東條を全力で援護した。そのおかげで、東條はなんとか華留蛙に押し負けずに立っていられる。
優は陣から離れた。
倒れている三次と桜のところに駆けて行き、二人の体を抱きしめた。すごく冷たい! 優は炎の力で二人を包みこんで、華留蛙の氷が完全に解けるまで離さなかった。
「ゲホッ! 優、ぼ、僕……し、死んだかと思ったあ……」
やがて息を吹き返した三次が、場違いに間の抜けた声を上げた。けど、すぐに桜のことが心配になったみたいだ。
「桜は? 生きてるかい?」
「大丈夫、もう目を覚ましてるよ」
「ありがとう、あなたの炎ってとっても温ったかい。すごく、安心する……もう大丈夫」
「ビックリしたよ、二人で迷わず立ち向かって行くなんて! ダメだよもう、無茶して……」
そこまで言いかけた時、三次と桜の表情がいきなり強張った。
「優!」
「後ろ!」
突然に、優の体は三次と桜の二人から引き離された。
ギュイン! と、強制的に体が空の中に引き込まれる、その圧力に目が回る。
音も光も届かないカーテンの中をくぐり抜けて、優の体は一瞬で玉座の檀上に引き出された。
優の体を、後ろから羽交い絞めにしているのは高円寺 亜魏戸。その隣に、高円寺 華留蛙がいる。
「動くな!」
冷たい阿魏戸の声が、玉座の間に響き渡った。
朱雀、吏紀、空の動きが止まり、永久と流和が息を呑んで不安を押し殺しているのが優には感じられた。
――ヘルド・ホステイジ
これはまずい展開だ、と、優は思った。案の定、東條が睨んでいる。
陣から離れるなと言われたのに、しかも事前に、ヘルド・ホステイジにあわぬようポジション取りするよう習っていたのに、それを破ったのは優なのだ。
ああどうしよう。こうなったらどうすれば……、と、優は必死に跳ね上がる心臓を沈めようとした。
全身に寒気が走る。これが朱雀のお父さんなのだと思うと尚更恐い。なんて冷たいんだろう。それに、暗い。
寒いのと恐いのとで、膝ががくがく震えた。
――「自分がヘルド・ホステイジにあったら、他の誰かに助けてもらうことを期待するな。冷静になって、自分で逃げ出す時間を稼ぐんだ」
夜の特訓で東條が言ったことを思い出しながら、優は、その後に東條が、人体にある急所について説明してくれたことを思い出す。
阿魏戸の冷たい腕の中で捕捉されながら、優は美空と目があった。
今みたいに後ろから捕捉されているときには、顎が狙い目だ、と美空は言ったっけ。
そして、東條とも目が合う。
敵の油断を誘え、と、東條は言った。まさか敵も、明王児のような素人が急所を狙ってくるとは思わないだろう、とも。
優はヘラっと微笑んだ。――大丈夫、教えてもらったことはちゃんと、覚えているよ。
「何を笑っているの、この子は。バカなの?」
朱雀の母、華留蛙の白い目が不気味に優のことを見下ろしていた。
優は震え、涙声で叫ぶように言った。
「は、はじめまして! 明王児 優と申します。朱雀くん、とは、数日前から、お付き合いをさせてもらっています。……彼女です。殺さないで」
「この子が? 痩せっぽちでパッとしないわねえ。朱雀は、もっと丸くて派手な子が好みかと思っていたのに」
そう言って華留蛙が、朱雀の後ろで弓を構えている美空に目をやったので、優は内心でイラっとする。
「グフェン、グフェン! さ、三角関係なんです。朱雀くんは浮気ばっかりして! すぐに他の女の子とキスをするんです……殺さないでえ!」
泣きじゃくりながら不満を露わにする優に、吏紀も空も顔をしかめ、美空でさえ他の者と同じように眉をひそめたが、朱雀と東條だけは真顔で、――ただジッと機を伺っていた。
「はあ! 煩くてかなわないわ、黙らせて」
「まあそう言うな。私は、この子が一体どんなカラクリであれの呪いを解いたかを知りたいのだ」
「それなら、……」
優は囁き声で思わせぶりに話し始める素振りを見せながら、体を阿魏戸の腕に任せてグッタリと前かがみになった。
「それなら?」
亜魏戸が、優の声をよく聞きとろうとして同じように前傾姿勢になる。今だ! 優は地面を蹴って力を込め、思い切り頭を後ろに振り上げた。
ガツン!
優の後頭部が亜魏戸の顎に命中し、黒の炎の魔法使いが声にならない悲鳴を上げた。
瞬間、東條と朱雀が瞬身魔法で姿をくらまし、敵が身構えるよりも早く、東條が華留蛙に強烈なサックの一撃を喰らわせた。
同時に朱雀が、父、阿魏戸の足をルビーの杖でなぎ払って、火を吹く足で回し蹴った。
「こしゃくなッ……」
亜魏戸がブラックルビーの杖に邪悪な力を込めるのを感じ、優は拳を突きだした。
『ファイヤーボール!』
弾性のあるマグマの玉を正面に受け止めた阿魏戸が、その闇色の目を一瞬、驚きに見開いた。一度ははね返せると思ったようだが、それが叶わないと知り、阿魏戸の顔にかすかな笑みが浮かぶ。
「いい炎だ……」
そう言った気がした。
杖は吹き飛ばされ、そのまま阿魏戸は優のファイヤーボールに呑みこまれて、玉座の檀上奥の壁を割るほど強く叩きつけられた。
優のファイヤーボールで玉座も粉々に飛び散り、焼け焦げた。
「浮気なんかしてないだろう」
とぼやきながら、朱雀が優を脇にかかえて玉座の檀上から飛び降りる。
「美空とキスしたじゃん」
「あれは、優と付き合う前だ!」
「そうだっけ? そんなに怒らないでよ、隙をつかむための演技だったんだから」
「ああ、わかってたよ。下手くそだったからな」
東條も瞬身魔法で二人に追いついて来て言った。
「あんまり安っぽいんで、バレるんじゃないかと、ヒヤヒヤした。けど、よくやった、明王児」
「東條、お前もな」
朱雀にそう言われて、東條は一瞬、ポカンとした。とてもさり気なくではあったが、朱雀が東條のことを認めてくれたのは、これが初めてだったからだ。
初めて、高円寺 朱雀と、仲間として共に立っている。そう感じられたことが、東條にはとても嬉しかった。
「ってういか、丸いってどういうこと?」
華留蛙に丸いと表現されたことがよほど気に触ったと見えて、優たちが陣に戻ると美空が不満そうに呟いた。
「胸じゃないの?」
と優が、自分のと美空のとを見比べながら言った。
その不躾な視線に、美空が目を回して「呆れた!」、と言いたそうにする。
「何はともあれ、まだ全員が生きていることに感謝しよう。さあ、ここからどうする?」
吏紀が檀上の奥を顎でさしながら、苦笑いした。
まんまと優にしてやられたことで、高円寺夫妻が放つ殺意は先ほどより数倍も増したように見える。
今、聖羅――魔女は亡霊のようにユラユラと水盤の横に立ち、何かを待っているようにも見える。
10人の魔法戦士たちは朱雀を先頭に、図らずも、星型の完全な陣形をつくった。そして全員が杖を構える。
――さあここからが、フィナーレだ。
その東條の言葉は、茨に囚われている朱雀たちに向けられたものではなく、皮肉にも自らに向けられたものだった。
サンクタス・フミアルビーが残して行った白炎はいまだ燃え続け、床の茨から広がって、6本の円柱にも及んで行った。
その茨が焼き切れて、円柱にぶら下げられていた血まみれの魔法使いの体が、ドサッ! と音をたてて目の前に落ちて来たので、東條は息を呑む。
「これは……、酷いことをする。行方不明になっていた、他校の生徒じゃないか?」
首筋に触れてみて、彼らがまだ生きていることを知ると、東條は怒りに燃える眼差しでゆっくりと立ち上がった。
その両手に、ダイヤモンドのサックが召喚される。
東條は、玉座の奥にうずくまっている高円寺夫妻と、今は魔女の器となっている聖羅を牽制するように、臨戦の構えをとった。
三次が日本刀で、桜が薬刀でそれぞれ吏紀と永久を茨から解放し、二人を助け起こしている間、美空は東條に並んで弓を構えた。
「もしもここから生きて帰してやると言われても、あの白い竜には二度と乗りたくないわね」
と、毒づきながら。
白炎に焼かれて茨が緩んだので、空は自らの短剣で茨を切り離し、天蓋から飛び降りた。
軽々と着地した空は、まだ天蓋にくくりつけになっている流和を見上げて両手を広げると、『かまいたち』、と唱えた。
たちどころに風が真空を生み出し、難なく茨を断ち切って、流和の体が空の腕の中に落ちてきた。
「さっきは無茶しやがって、傷だらけじゃないか流和」
空は流和の体にできた生々しい切り傷に癒しの風を当てながらたしなめたが、流和には分かっている。実は、空の体にできている傷の方が、流和よりも深いことを。
たとえ茨に腕をちぎられても、足を失ってでも、空は聖羅を止めようとしていたのだ。流和と同じように、さっきは空も無茶をしていた。
「貴方ほどじゃないわよ、空」
流和が愛しげに、空の額にかかった髪を指ですくい上げて、その瞳の上にキスをした。
一方、茨から解放された吏紀は、永久の顔を両手で包みこんで、鼻が触れ合うほど近く覗き込んだ。
「顔をよく見せてくれ、永久、大丈夫かい?」
永久は、そんなふうに震える吏紀の声を初めて聞いた気がした。
「私は大丈夫よ」
いつも冷静沈着な吏紀が、珍しく取り乱していることに驚きながら、永久は吏紀を安心させたくて、真っすぐに見つめ返した。
その瞳を見て、星の雫が落ちたみたいだ、と吏紀は思う。
永久のしっとり濡れた、綺麗な瞳に見つめ返されて、ようやく吏紀は平静を取り戻し、心底ホッとしている自分に気づく。もし永久が、魔女に体を乗っ取られていたら、吏紀は正気でいられたかどうか自信がない。
自分が傷つくことよりも、彼女が失われることがこんなに恐いなんて、今まで想像したことさえなかった。
思っていた以上に自分が永久のことを大切に思っている、という事実に気づいて、吏紀は言いようのない驚きを覚えた。
玉座の反対側では、壁にくくりつけになっている朱雀を前に、優が困った顔をした。
茨からは魔力封じの力を感じるので、手で触ることはできないし、かといって三次や桜の持ってるような剣も持ち合わせていない。
優の首から下げている小刀は、銀色狼の牙を研いだものなので、刺さりはしても、切ることに関してはペーパーカッターにさえならなさそうな代物だ。
「まさか、縛り付けられている俺を見て楽しんでるわけじゃないよな?」
朱雀が不満そうに眉をひそめる。
「そういうプレイが好きなら、いつでも相手になるけど……、今はない。早くなんとかしてくれないかな、お嬢さん」
「縛られるのが好きなの? 冗談でしょ。自分でなんとかできない? 確か、スローイングナイフを持ってたよね、朱雀」
「お前ってさ、そういうとこ本当に薄情だよな。後ろを見てみろ。空も吏紀もいい感じなのに、俺だけまだこんな状態だぞ」
そう言って朱雀が、茨の巻き付いた両腕を不自由そうに見やったので、優は仕方なく、パチンッ、と指を鳴らした。
ボワッ!
火花が散って、朱雀に絡みついていた茨が一瞬で焼き切れて砕け散った。
ようやく自由になった朱雀は、強すぎる優の火花を振り払いながら、真っすぐ優に近づいた。優が両手を広げて迎えると、朱雀は小さな優を頭から思い切り抱きしめた。
「前髪が焦げた……」
前髪が焦げたのは、朱雀の魔力が魔力封じの茨に封じられていたせいで、優の炎の力をもろに受けたからだ。けれど、それくらいで済んだのは運が良かった。あの状況では、優の炎で朱雀がもっと酷い怪我をする心配もあった。
「だからイヤだったのよ」
と、朱雀の胸の中に顔をうずめて、優も呟いた。
朱雀がさらに強く優を抱きしめて、その美しい炎の巻き毛の中に愛おしそうに唇を落とした。
だが、再会の喜びをそう長く噛みしめている時間はなかった。
玉座の奥で闇の力が急激に広がり、空気が凍りついたのだ。その殺人的な冷たさに、切れるような痛みが肌に走った。
吐きだす息が氷の塵となり、息を吸えば肺に送り込まれる空気が、喉にも胸の奥にも刺さった。まともに息をすることもできない!
三次と桜、東條と美空、吏紀と永久、そして空と流和は、朱雀と優の周りに集まった。炎の魔法使いの周囲だけが、わずかに温かい、彼らが生存できる範囲だった。
「優、お前に出会う前は、俺はずっとこんな肌寒さを一人で感じてたんだぜ」
――肌寒いだって!? そんなレベルじゃないだろ
と、その場に居た誰もが、この状況下での炎の魔法使いのあっけらかんとした様子に舌を巻く。
「うん、私もだよ。朱雀に会うまでは、ずっと寒かった。けど、これからは」
――「『フランマ!』」
朱雀と優が、同時に前方に手を差し伸べると、二人の炎が勢いよく花開き、冷気を退けた。
「少し、熱すぎるな」
漆黒の男、高円寺 亜魏戸が長いローブを揺らしながら、玉座からゆっくりと降りてきた。
「いや、寒すぎるんだよ」
と、朱雀が舌打つ。
「あれが朱雀のお父さん? 似てるね」
「冗談だろ」
朱雀が一瞬、優に視線を落とした、その刹那。
「よそ見するな、来るぞ!」
吏紀と空が同時に杖を構え、身の毛もよだつ勢いで前方に踏み出した。その二人の前に瞬身魔法で現われた阿魏戸の杖が振り下ろされる。
二人がかりで阿魏戸の攻撃を受けてなお、後ろに吹き飛ばされそうになるのをグッとこらえなければならない。
『ウラゴン!』
流和のサファイヤの杖から水が竜となって吹きだし、阿魏戸に襲いかかる。が、阿魏戸は軽々と後方宙返りでそれを交わすと、間髪入れずにまた杖を振りまわした。その途端、黒い炎がイナゴのように地面を覆い尽くし、優たちに飛びかかって来た。
朱雀がルビーの杖を大きく回し、真っ赤な炎で黒の炎を押し返す。熱い炎と冷たい炎、二つの相反する炎が勢いよくぶつかって、空間が陽炎のように揺れた。
目まぐるしい戦闘展開に、優は目がまわりそうになった。感情が追いつかない。でも、今一番失ってはいけないのが、正常な感情なのではないか、という思いが優の心に迫ってくる。なぜなら、魔法は強い意思から生まれ、闇に立ち向かう時、光こそが盾となるから。だから、心の内にある明るい感情を鈍らせてはいけないのだ。
我を忘れて戦うならば、やがて闇に心の隙を突かれるだろう……。
そのとき、東條が警戒して優たちに注意を促してきた。
「近接戦でのポジションを忘れるな。数ではこちらが勝っているが、経験と狡さでは向こうが上だからな。不用意に前に出るなよ」
と。
東條が警戒しているのは、ヘルド・ホステイジだ、と優はピンときた。敵は、優たちの中の誰か一人でもいいのだ。その誰かを捕え、人質にして全員の動きを止めることができる。そうなれば一気に全員がピンチだ。優は夜の特訓で東條から教えてもらったことを思い出そうとした、そのとき!
「美空!」
冷たい気配を美空の背後に感じて、優は叫んだ。
鋭く尖ったブラックダイヤモンドの先端が、陽炎の揺らぎの中から音もなく美空に差し向けられた。
美空は咄嗟に弓で殺意の杖先を絡め取ると、なんとかそれが自分に刺さらないように逸らすことができたが、無理な体勢からの咄嗟の対応にバランスを崩し、バッタリと地面に倒れ込んだ。美空の両脇にいた三次と桜が、続けざまに繰り出されるブラックダイヤモンドの杖の襲撃を美空からそらそうと、果敢に立ち向かって行くのを、優は見た。
「三次! 桜!」
高々と吹き飛ばされてゆく三次と桜が、壁際に落下して、みるみる氷に閉ざされてゆくのを見て優は悲鳴を上げた。
「離れるな、明王児!」
東條は怒鳴りながらも、後衛への華留蛙の攻撃は途絶えることがない。ダイヤモンドのサックで覆った両手で、黒いダイヤの攻撃を一度は跳ね返し、二度目は受け流し、三度目はついに真正面から受け止めた。東條はその力差を一瞬で感じ取っていた。たった一度まともに攻撃を受けただけで、体中の骨が粉々にくだけそうだ。――ったく、なんだこの力は!
永久が東條の背後で光の杖をともし、東條を全力で援護した。そのおかげで、東條はなんとか華留蛙に押し負けずに立っていられる。
優は陣から離れた。
倒れている三次と桜のところに駆けて行き、二人の体を抱きしめた。すごく冷たい! 優は炎の力で二人を包みこんで、華留蛙の氷が完全に解けるまで離さなかった。
「ゲホッ! 優、ぼ、僕……し、死んだかと思ったあ……」
やがて息を吹き返した三次が、場違いに間の抜けた声を上げた。けど、すぐに桜のことが心配になったみたいだ。
「桜は? 生きてるかい?」
「大丈夫、もう目を覚ましてるよ」
「ありがとう、あなたの炎ってとっても温ったかい。すごく、安心する……もう大丈夫」
「ビックリしたよ、二人で迷わず立ち向かって行くなんて! ダメだよもう、無茶して……」
そこまで言いかけた時、三次と桜の表情がいきなり強張った。
「優!」
「後ろ!」
突然に、優の体は三次と桜の二人から引き離された。
ギュイン! と、強制的に体が空の中に引き込まれる、その圧力に目が回る。
音も光も届かないカーテンの中をくぐり抜けて、優の体は一瞬で玉座の檀上に引き出された。
優の体を、後ろから羽交い絞めにしているのは高円寺 亜魏戸。その隣に、高円寺 華留蛙がいる。
「動くな!」
冷たい阿魏戸の声が、玉座の間に響き渡った。
朱雀、吏紀、空の動きが止まり、永久と流和が息を呑んで不安を押し殺しているのが優には感じられた。
――ヘルド・ホステイジ
これはまずい展開だ、と、優は思った。案の定、東條が睨んでいる。
陣から離れるなと言われたのに、しかも事前に、ヘルド・ホステイジにあわぬようポジション取りするよう習っていたのに、それを破ったのは優なのだ。
ああどうしよう。こうなったらどうすれば……、と、優は必死に跳ね上がる心臓を沈めようとした。
全身に寒気が走る。これが朱雀のお父さんなのだと思うと尚更恐い。なんて冷たいんだろう。それに、暗い。
寒いのと恐いのとで、膝ががくがく震えた。
――「自分がヘルド・ホステイジにあったら、他の誰かに助けてもらうことを期待するな。冷静になって、自分で逃げ出す時間を稼ぐんだ」
夜の特訓で東條が言ったことを思い出しながら、優は、その後に東條が、人体にある急所について説明してくれたことを思い出す。
阿魏戸の冷たい腕の中で捕捉されながら、優は美空と目があった。
今みたいに後ろから捕捉されているときには、顎が狙い目だ、と美空は言ったっけ。
そして、東條とも目が合う。
敵の油断を誘え、と、東條は言った。まさか敵も、明王児のような素人が急所を狙ってくるとは思わないだろう、とも。
優はヘラっと微笑んだ。――大丈夫、教えてもらったことはちゃんと、覚えているよ。
「何を笑っているの、この子は。バカなの?」
朱雀の母、華留蛙の白い目が不気味に優のことを見下ろしていた。
優は震え、涙声で叫ぶように言った。
「は、はじめまして! 明王児 優と申します。朱雀くん、とは、数日前から、お付き合いをさせてもらっています。……彼女です。殺さないで」
「この子が? 痩せっぽちでパッとしないわねえ。朱雀は、もっと丸くて派手な子が好みかと思っていたのに」
そう言って華留蛙が、朱雀の後ろで弓を構えている美空に目をやったので、優は内心でイラっとする。
「グフェン、グフェン! さ、三角関係なんです。朱雀くんは浮気ばっかりして! すぐに他の女の子とキスをするんです……殺さないでえ!」
泣きじゃくりながら不満を露わにする優に、吏紀も空も顔をしかめ、美空でさえ他の者と同じように眉をひそめたが、朱雀と東條だけは真顔で、――ただジッと機を伺っていた。
「はあ! 煩くてかなわないわ、黙らせて」
「まあそう言うな。私は、この子が一体どんなカラクリであれの呪いを解いたかを知りたいのだ」
「それなら、……」
優は囁き声で思わせぶりに話し始める素振りを見せながら、体を阿魏戸の腕に任せてグッタリと前かがみになった。
「それなら?」
亜魏戸が、優の声をよく聞きとろうとして同じように前傾姿勢になる。今だ! 優は地面を蹴って力を込め、思い切り頭を後ろに振り上げた。
ガツン!
優の後頭部が亜魏戸の顎に命中し、黒の炎の魔法使いが声にならない悲鳴を上げた。
瞬間、東條と朱雀が瞬身魔法で姿をくらまし、敵が身構えるよりも早く、東條が華留蛙に強烈なサックの一撃を喰らわせた。
同時に朱雀が、父、阿魏戸の足をルビーの杖でなぎ払って、火を吹く足で回し蹴った。
「こしゃくなッ……」
亜魏戸がブラックルビーの杖に邪悪な力を込めるのを感じ、優は拳を突きだした。
『ファイヤーボール!』
弾性のあるマグマの玉を正面に受け止めた阿魏戸が、その闇色の目を一瞬、驚きに見開いた。一度ははね返せると思ったようだが、それが叶わないと知り、阿魏戸の顔にかすかな笑みが浮かぶ。
「いい炎だ……」
そう言った気がした。
杖は吹き飛ばされ、そのまま阿魏戸は優のファイヤーボールに呑みこまれて、玉座の檀上奥の壁を割るほど強く叩きつけられた。
優のファイヤーボールで玉座も粉々に飛び散り、焼け焦げた。
「浮気なんかしてないだろう」
とぼやきながら、朱雀が優を脇にかかえて玉座の檀上から飛び降りる。
「美空とキスしたじゃん」
「あれは、優と付き合う前だ!」
「そうだっけ? そんなに怒らないでよ、隙をつかむための演技だったんだから」
「ああ、わかってたよ。下手くそだったからな」
東條も瞬身魔法で二人に追いついて来て言った。
「あんまり安っぽいんで、バレるんじゃないかと、ヒヤヒヤした。けど、よくやった、明王児」
「東條、お前もな」
朱雀にそう言われて、東條は一瞬、ポカンとした。とてもさり気なくではあったが、朱雀が東條のことを認めてくれたのは、これが初めてだったからだ。
初めて、高円寺 朱雀と、仲間として共に立っている。そう感じられたことが、東條にはとても嬉しかった。
「ってういか、丸いってどういうこと?」
華留蛙に丸いと表現されたことがよほど気に触ったと見えて、優たちが陣に戻ると美空が不満そうに呟いた。
「胸じゃないの?」
と優が、自分のと美空のとを見比べながら言った。
その不躾な視線に、美空が目を回して「呆れた!」、と言いたそうにする。
「何はともあれ、まだ全員が生きていることに感謝しよう。さあ、ここからどうする?」
吏紀が檀上の奥を顎でさしながら、苦笑いした。
まんまと優にしてやられたことで、高円寺夫妻が放つ殺意は先ほどより数倍も増したように見える。
今、聖羅――魔女は亡霊のようにユラユラと水盤の横に立ち、何かを待っているようにも見える。
10人の魔法戦士たちは朱雀を先頭に、図らずも、星型の完全な陣形をつくった。そして全員が杖を構える。
――さあここからが、フィナーレだ。
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