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56 修学旅行(仮)
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朝早くから電車に乗って二時間。晃の生まれ育った町は程よく田舎で、一太が育った町と雰囲気が似ていた。
「家に帰っても皆仕事で留守だし、申し訳ないけど病院に付き合ってくれない?」
晃の実家に誰かいたとして、その中に一人置いていかれてはたまったものじゃない。一太は慌てて頷いた。もともと、病院に付き添うために、こんな遠くまで付いてきたのだ。
「病院は一人で行かない方がいいって言ったの、晃くんじゃん」
すっかり忘れていたらしい定期検診を受けるために、生まれ育った町に帰ることになった晃に、一太も付いてきていた。晃が手術をしたのは小学三年生の夏休みだったから、一年に一度の定期検診は夏である。母の陽子からの連絡を受けて思い出した晃は、面倒臭い、と呟いていた。もういいんじゃないか、と。が、陽子からは、絶対に一度は帰って来なさい、と毎日電話が来て、しまいには一太の携帯電話のメッセージアプリにも、晃に伝えてほしいと陽子から連絡がきはじめたのだった。
晃の家族も、まさか息子が夏休みに一日たりとも帰省しないとは思っておらず、病院からの連絡を受けて大慌てしたらしい。
「一回くらい、行かなくても大丈夫じゃない?」
と、渋る晃に、
「俺には、病院の先生の言うことをしっかり聞けと言ったよね」
と、一太が説得した。結局、その話の流れで、病院は一人で行かない方がいい、と毎回、晃が一太の診察に付き添っていた話になり、いっちゃんが付き添ってくれるのなら、と晃が言い出したのだ。
「そうね。平日は私たちも仕事だし、いっちゃんが付き添ってくれるなら助かるわ」
陽子にもそう言われて、一太は晃の帰省に付き合うことになった。
夏休みが終わる前の平日、となるともう日にちがなく、たまたま晃がバイトの休みを取っていた日に合わせて、大急ぎだ。計画性も何もあったものじゃない。
そんなすぐに、二人同時に休みを取れるものだろうか、と思っていたが、店長に相談すると、ちょうど昨日、新しく朝と夜に入れる男のパートさんを雇ったから、一日くらいなら問題ない、と言ってもらえた。
あまりにトントン拍子で、一太が呆気にとられている間に、ご機嫌な晃と二人で朝早くの特急電車に乗っていた。大きな病院の診察は午前中だけなので、間に合うように行かねばならない、と朝食まで電車の中で食べた。何てことない菓子パンとペットボトルのジュースだったが、修学旅行みたいだ、と一太はどきどきした。その辺りからようやく、自分は旅行をしているのだと喜びが沸いてきた。
一太は修学旅行に行ったことはないが、修学旅行の様子を書いてある本を読んだことがあったし、修学旅行のしおりももらっている。小学校の時も中学校の時も、修学旅行が終わった後は皆、その話題で持ちきりだったから、話を聞いて、何となく自分の中で思い描いていた光景があった。電車の中でご飯やお菓子を食べる、というのは、正にその一つで、それを友だちとしている自分に興奮が抑えられなかった。
一太は次第に、にこにことご機嫌になっていた。晃の鞄から、当たり前のようにお菓子が出てきた時には笑ってしまった。
「俺も、どこかで買いたい」
「え?」
晃が驚いた顔をしたのは、一太がお菓子やデザートを購入するところを見たことが無いからだろう。晃にもらう甘いものはとても好きで、買い物中に見かけると食べたくはなるのだが、贅沢品だと思うとどうしても買うことができなかった。
でも、今は修学旅行(仮)である。修学旅行と言えば、友だちとお菓子交換をするものだ。
それならあそこで買う? と晃にアドバイスを受けて、ほんの少しの停車時間に駅に走り降り、売店で「溶けないチョコレート」と書いてある菓子を買い、また電車に駆け込んだ。電車が出発してしまわないかはらはらして、間に合ったと席に着いたら、楽しくて楽しくて仕方なかった。晃と子どもみたいに大笑いした。
初めて自分で買った菓子も、晃に交換してもらった菓子も、こんなに美味しいお菓子は食べたことがない、というくらいに美味しかった。
*
「いっちゃん」
一太が、涼しい待合室でぼんやりとしていたら、晃の声がした。診察室に呼ばれて入ってから、まだそんなに時間は経っていない。
「え? あれ? もう終わり?」
「うん。いや、もう少し。あのさ、先生がいっちゃんに会いたいって言うから。ちょっと来て」
「へ?」
一太の記憶が正しければ、診察室への付き添いというのは家族がするものだったはずだ。実際、一太の診察の時にも、晃はいつも待合室で待っていた。
なのに、何故?
一太は頭にクエスチョンマークを乗せながらも、晃に手を引かれるままに診察室へ足を踏み入れた。
「こんにちは」
と、白衣の医師が明るい声を上げた。晃の父より少し年齢は上だろうか。眼鏡の奥の小さな目が、優しく笑っていた。
「こ、こんにちは。村瀬一太です」
一太は、反射的に返事をして頭を下げる。決まった動作をするのは得意だ。返事の決まっていない質問や行動は正解が分からず苦手。普通じゃないよ、と言われることが怖いから。
晃と共に準備されていた椅子に腰を掛けると、にこにこと一太を見ていた医師が、聴診器を持ち上げる。
「ついでに診てあげよう。服を持ち上げてー」
「え? え?」
な、何で?
思わず晃の方を向くと、顔に手を当てて、はあと溜め息を吐いていた。
「いっちゃん、ちょっとだけ見せてあげて。言い出すと聞かないから」
仕方なく服をめくると、普通に診察された。
「うーん。うん。うん?」
「先生。いっちゃんは最近、とても顔色が良いです。あと、少しだけ体重が増えました、たぶん」
何故か晃が、説明までし始めた。一太は何が何やら分からず、されるがままだ。
「後は、毎日、お風呂上がりに軟膏を塗っています。だいぶがさがさが減ってきたけど、色が治らないです」
「ああ、成程。晃くん、村瀬くんの皮膚が所々赤いのは、また違う薬じゃないと治らないよ。がさがさした手触りがつるつるになったら色素の沈着を治す薬に切り換えようか」
「色素の沈着?」
「酷い内出血を繰り返していると色が戻らなくなるんだ。晃くんは、村瀬くんの皮膚が赤いのは、皮膚の荒れだと思っていたんだね。まあ、色々あるよね」
「え?」
一太は黙って服を元に戻した。半袖のティシャツ一枚なので、下ろして整えるだけだ。
「痒みは治まってる?」
「はい」
栄養が足りなくて肌が荒れているのだと、入院した時に言われた。その時にたくさん処方された軟膏は、今でも毎日、風呂上がりに晃が丁寧に塗ってくれている。背中が特に酷いので、とても助かっていた。
「一緒に暮らしているんだって? 晃くんが軟膏を塗っているの?」
「はい」
「へええ。晃くんがねえ」
「びっくりですね」
医師が大げさに驚きの声を上げる。近くに立っていたベテランの看護師までそう言って頷いた。
一太は首を傾げる。
晃は出会ったはじめからずっと、とても親切で世話焼きだった。優しい人だ。きっと困っている人がいたら誰にでもそうするだろう。
「誰とも深く関わろうとしなかった晃くんがねえ」
「いつもあっさり手を引く晃くんがねえ」
一太はそう思ったけれど、医師と看護師の驚きは止まらない。
まったく同じ人の話をしているとは思えない言葉に、一太はぽかんとするばかりだった。
「家に帰っても皆仕事で留守だし、申し訳ないけど病院に付き合ってくれない?」
晃の実家に誰かいたとして、その中に一人置いていかれてはたまったものじゃない。一太は慌てて頷いた。もともと、病院に付き添うために、こんな遠くまで付いてきたのだ。
「病院は一人で行かない方がいいって言ったの、晃くんじゃん」
すっかり忘れていたらしい定期検診を受けるために、生まれ育った町に帰ることになった晃に、一太も付いてきていた。晃が手術をしたのは小学三年生の夏休みだったから、一年に一度の定期検診は夏である。母の陽子からの連絡を受けて思い出した晃は、面倒臭い、と呟いていた。もういいんじゃないか、と。が、陽子からは、絶対に一度は帰って来なさい、と毎日電話が来て、しまいには一太の携帯電話のメッセージアプリにも、晃に伝えてほしいと陽子から連絡がきはじめたのだった。
晃の家族も、まさか息子が夏休みに一日たりとも帰省しないとは思っておらず、病院からの連絡を受けて大慌てしたらしい。
「一回くらい、行かなくても大丈夫じゃない?」
と、渋る晃に、
「俺には、病院の先生の言うことをしっかり聞けと言ったよね」
と、一太が説得した。結局、その話の流れで、病院は一人で行かない方がいい、と毎回、晃が一太の診察に付き添っていた話になり、いっちゃんが付き添ってくれるのなら、と晃が言い出したのだ。
「そうね。平日は私たちも仕事だし、いっちゃんが付き添ってくれるなら助かるわ」
陽子にもそう言われて、一太は晃の帰省に付き合うことになった。
夏休みが終わる前の平日、となるともう日にちがなく、たまたま晃がバイトの休みを取っていた日に合わせて、大急ぎだ。計画性も何もあったものじゃない。
そんなすぐに、二人同時に休みを取れるものだろうか、と思っていたが、店長に相談すると、ちょうど昨日、新しく朝と夜に入れる男のパートさんを雇ったから、一日くらいなら問題ない、と言ってもらえた。
あまりにトントン拍子で、一太が呆気にとられている間に、ご機嫌な晃と二人で朝早くの特急電車に乗っていた。大きな病院の診察は午前中だけなので、間に合うように行かねばならない、と朝食まで電車の中で食べた。何てことない菓子パンとペットボトルのジュースだったが、修学旅行みたいだ、と一太はどきどきした。その辺りからようやく、自分は旅行をしているのだと喜びが沸いてきた。
一太は修学旅行に行ったことはないが、修学旅行の様子を書いてある本を読んだことがあったし、修学旅行のしおりももらっている。小学校の時も中学校の時も、修学旅行が終わった後は皆、その話題で持ちきりだったから、話を聞いて、何となく自分の中で思い描いていた光景があった。電車の中でご飯やお菓子を食べる、というのは、正にその一つで、それを友だちとしている自分に興奮が抑えられなかった。
一太は次第に、にこにことご機嫌になっていた。晃の鞄から、当たり前のようにお菓子が出てきた時には笑ってしまった。
「俺も、どこかで買いたい」
「え?」
晃が驚いた顔をしたのは、一太がお菓子やデザートを購入するところを見たことが無いからだろう。晃にもらう甘いものはとても好きで、買い物中に見かけると食べたくはなるのだが、贅沢品だと思うとどうしても買うことができなかった。
でも、今は修学旅行(仮)である。修学旅行と言えば、友だちとお菓子交換をするものだ。
それならあそこで買う? と晃にアドバイスを受けて、ほんの少しの停車時間に駅に走り降り、売店で「溶けないチョコレート」と書いてある菓子を買い、また電車に駆け込んだ。電車が出発してしまわないかはらはらして、間に合ったと席に着いたら、楽しくて楽しくて仕方なかった。晃と子どもみたいに大笑いした。
初めて自分で買った菓子も、晃に交換してもらった菓子も、こんなに美味しいお菓子は食べたことがない、というくらいに美味しかった。
*
「いっちゃん」
一太が、涼しい待合室でぼんやりとしていたら、晃の声がした。診察室に呼ばれて入ってから、まだそんなに時間は経っていない。
「え? あれ? もう終わり?」
「うん。いや、もう少し。あのさ、先生がいっちゃんに会いたいって言うから。ちょっと来て」
「へ?」
一太の記憶が正しければ、診察室への付き添いというのは家族がするものだったはずだ。実際、一太の診察の時にも、晃はいつも待合室で待っていた。
なのに、何故?
一太は頭にクエスチョンマークを乗せながらも、晃に手を引かれるままに診察室へ足を踏み入れた。
「こんにちは」
と、白衣の医師が明るい声を上げた。晃の父より少し年齢は上だろうか。眼鏡の奥の小さな目が、優しく笑っていた。
「こ、こんにちは。村瀬一太です」
一太は、反射的に返事をして頭を下げる。決まった動作をするのは得意だ。返事の決まっていない質問や行動は正解が分からず苦手。普通じゃないよ、と言われることが怖いから。
晃と共に準備されていた椅子に腰を掛けると、にこにこと一太を見ていた医師が、聴診器を持ち上げる。
「ついでに診てあげよう。服を持ち上げてー」
「え? え?」
な、何で?
思わず晃の方を向くと、顔に手を当てて、はあと溜め息を吐いていた。
「いっちゃん、ちょっとだけ見せてあげて。言い出すと聞かないから」
仕方なく服をめくると、普通に診察された。
「うーん。うん。うん?」
「先生。いっちゃんは最近、とても顔色が良いです。あと、少しだけ体重が増えました、たぶん」
何故か晃が、説明までし始めた。一太は何が何やら分からず、されるがままだ。
「後は、毎日、お風呂上がりに軟膏を塗っています。だいぶがさがさが減ってきたけど、色が治らないです」
「ああ、成程。晃くん、村瀬くんの皮膚が所々赤いのは、また違う薬じゃないと治らないよ。がさがさした手触りがつるつるになったら色素の沈着を治す薬に切り換えようか」
「色素の沈着?」
「酷い内出血を繰り返していると色が戻らなくなるんだ。晃くんは、村瀬くんの皮膚が赤いのは、皮膚の荒れだと思っていたんだね。まあ、色々あるよね」
「え?」
一太は黙って服を元に戻した。半袖のティシャツ一枚なので、下ろして整えるだけだ。
「痒みは治まってる?」
「はい」
栄養が足りなくて肌が荒れているのだと、入院した時に言われた。その時にたくさん処方された軟膏は、今でも毎日、風呂上がりに晃が丁寧に塗ってくれている。背中が特に酷いので、とても助かっていた。
「一緒に暮らしているんだって? 晃くんが軟膏を塗っているの?」
「はい」
「へええ。晃くんがねえ」
「びっくりですね」
医師が大げさに驚きの声を上げる。近くに立っていたベテランの看護師までそう言って頷いた。
一太は首を傾げる。
晃は出会ったはじめからずっと、とても親切で世話焼きだった。優しい人だ。きっと困っている人がいたら誰にでもそうするだろう。
「誰とも深く関わろうとしなかった晃くんがねえ」
「いつもあっさり手を引く晃くんがねえ」
一太はそう思ったけれど、医師と看護師の驚きは止まらない。
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