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100 ◇初デートのアルバムは超大作の予感
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「なあんで俺ばっかりびしょ濡れになるんだよお」
「あはは。ハンカチ、ハンカチ」
「あは。あはははははは!」
四人で丸太船の形の乗り物に乗り込んで、水路を流れ、登り、結構な高さから滑り降りる。降りた先で、派手に上がる水飛沫のほとんどが何故か安倍にかかって、皆で大笑いした。
急流すべりはとてもお気に召したらしい一太が、お腹を抱えて笑っている。
晃は、慌てて携帯電話を取り出して、大笑いする一太を写真に収めた。百円で購入したビニール袋のような合羽を身に付けた姿が、何とも可笑しい。
「村瀬、笑いすぎ。ってかお前、そんな大笑いできたのな」
「え? 何?」
「何でもない。これは、怖くなかったか」
「好き!」
満面の笑みでの一太の言葉に晃は、自分に向けた言葉でもないのに、どきっとした。とりあえず、その珍しい表情も、かしゃりと一枚。
「松島くん、写真好きなの?」
気付いた岸田が聞いてくる。
いや、と晃は思った。どちらかというと興味はなかった。もちろん、一緒に写真撮ろう、と言われたら普通に加わるし、誰かが撮ってくれた写真が送られてきたら、そんなこともあったなと思う。嫌ではないし、母が欲しがるから、母に転送して喜んでもらえるのは素直に嬉しかった。とはいえ、母は大事に保存してくれているに違いないが、晃は一度見たらそれで終わりだった。
今までは……。
「好きっていうか、興味が出たのが最近で。色々撮りたいんだけど、慣れてないから下手くそでさ。とりあえず、頑張ってる」
「そっかあ。私も友達に撮ってもらうこと多くて、あんまり上手じゃないんだけど、今日は色々撮ってみようかな。松島くんと村瀬くんのツーショット、撮ってあげるね」
「嬉しい。ありがとう。僕も二人の写真撮るよ」
「おお、サンキュー」
岸田に借りたハンカチで濡れた所を拭きながら、安倍が岸田の肩に手を回した。
「え? あ……」
驚く岸田を気にせず、にかっと晃に笑みを向ける。少し照れた岸田と、嬉しそうな安倍が晃の携帯電話の画面に収まった。
「わ。これいい」
上手く撮れた、と晃が満足していると、覗き込んだ一太が嬉しそうに言った。
「また、アルバムできる?」
「いくらでも」
「わあ……」
晃が言うと、一太が満足そうに息を吐く。
「こっち向け」
安倍の声に二人で顔を上げると、シャッター音が響いた。
「待って。もう一枚」
「え、今の、良かったぞ」
それももらうけど、と思いながら晃は、ひょいと一太の肩を抱いた。嫌がられていないので、目一杯引き寄せる。
「これも」
「はいはい」
安倍の苦笑いは、スルーする。
この調子だと、今回のアルバムは何冊にもなりそうだ。
いっちゃんがどんなに喜ぶだろう、と思うと、晃もまた、今までのアルバムに無いような笑顔を見せていた。
「あはは。ハンカチ、ハンカチ」
「あは。あはははははは!」
四人で丸太船の形の乗り物に乗り込んで、水路を流れ、登り、結構な高さから滑り降りる。降りた先で、派手に上がる水飛沫のほとんどが何故か安倍にかかって、皆で大笑いした。
急流すべりはとてもお気に召したらしい一太が、お腹を抱えて笑っている。
晃は、慌てて携帯電話を取り出して、大笑いする一太を写真に収めた。百円で購入したビニール袋のような合羽を身に付けた姿が、何とも可笑しい。
「村瀬、笑いすぎ。ってかお前、そんな大笑いできたのな」
「え? 何?」
「何でもない。これは、怖くなかったか」
「好き!」
満面の笑みでの一太の言葉に晃は、自分に向けた言葉でもないのに、どきっとした。とりあえず、その珍しい表情も、かしゃりと一枚。
「松島くん、写真好きなの?」
気付いた岸田が聞いてくる。
いや、と晃は思った。どちらかというと興味はなかった。もちろん、一緒に写真撮ろう、と言われたら普通に加わるし、誰かが撮ってくれた写真が送られてきたら、そんなこともあったなと思う。嫌ではないし、母が欲しがるから、母に転送して喜んでもらえるのは素直に嬉しかった。とはいえ、母は大事に保存してくれているに違いないが、晃は一度見たらそれで終わりだった。
今までは……。
「好きっていうか、興味が出たのが最近で。色々撮りたいんだけど、慣れてないから下手くそでさ。とりあえず、頑張ってる」
「そっかあ。私も友達に撮ってもらうこと多くて、あんまり上手じゃないんだけど、今日は色々撮ってみようかな。松島くんと村瀬くんのツーショット、撮ってあげるね」
「嬉しい。ありがとう。僕も二人の写真撮るよ」
「おお、サンキュー」
岸田に借りたハンカチで濡れた所を拭きながら、安倍が岸田の肩に手を回した。
「え? あ……」
驚く岸田を気にせず、にかっと晃に笑みを向ける。少し照れた岸田と、嬉しそうな安倍が晃の携帯電話の画面に収まった。
「わ。これいい」
上手く撮れた、と晃が満足していると、覗き込んだ一太が嬉しそうに言った。
「また、アルバムできる?」
「いくらでも」
「わあ……」
晃が言うと、一太が満足そうに息を吐く。
「こっち向け」
安倍の声に二人で顔を上げると、シャッター音が響いた。
「待って。もう一枚」
「え、今の、良かったぞ」
それももらうけど、と思いながら晃は、ひょいと一太の肩を抱いた。嫌がられていないので、目一杯引き寄せる。
「これも」
「はいはい」
安倍の苦笑いは、スルーする。
この調子だと、今回のアルバムは何冊にもなりそうだ。
いっちゃんがどんなに喜ぶだろう、と思うと、晃もまた、今までのアルバムに無いような笑顔を見せていた。
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