【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ

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236 ◇卒業旅行 14

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 城を出た後は、調べておいた店でその町の名物ラーメンを食べてから、城下町をぶらぶら歩いた。何か博物館的な所にも入った。歴史的な何かが好みらしい三人は、昔ながらの町並みをそのまま残した通りにも楽しそうに目を向けていて、あれやこれやと話していた。
 晃には、お城や城下町の何が楽しいのかは全く分からなかったが、楽しそうな三人を見ているのが楽しかった。そういえば一太は、晃の実家がある町の名所巡りの時、石垣しか残っていない城跡にも喜んでいた。あれは、修学旅行的なことができて喜んでいるのかと思っていたが、歴史好きには、石垣だけでも何か、喜ぶ要素があるのかもしれない。覚えておこう、と思いながら晃は三人の横を黙って歩いた。もちろん、楽しそうな一太の写真を撮りながら。

「すみません。写真撮ってもらえますか?」

 大して写真撮影に良さそうな景色でない場所で、同じような年格好の女性グループに声をかけられたことには辟易したが。
 まあ、立て看板などに興味は無く、暇といえば暇な晃は、写真くらいいいかと撮ってあげたのだが、その後がうるさくてかなわなかった。

「旅行ですか? 大学生? この後どこへ行かれるんですか?」

 矢継ぎ早の質問だ。晃の表情がすっと消える頃に安倍が気付いて、

「あ。俺らも写真撮ってもらえますか?」

 と、自分の携帯電話を相手に渡した。そこで、能面のようになった晃の腕の中に安倍が一太をぐいぐい押しつけてきてやっと、はあと息を吐いた。
 嫌なことがあった後で、余計に一太にぺったりとくっ付く晃を携帯電話の画面越しに見て、女性グループは微妙な顔をして立ち去ってくれた。
 その後は、いつも通り、とりあえず一太の手を繋いで歩くことにして事なきを得たが、旅行先でも声かけられるとか松島のイケメン半端ねえ、と安倍に言われて、何にも嬉しくない、と返した。

「というか、こんな風に、写真撮ってくれとか言われたこと無かったけど?」
「表情が柔らかくなったから、声を掛けやすくなったのかもね」
「え?」
「入学した頃は、声を掛けられる雰囲気ではなかったよ? 格好良いなって遠くから見る対象って感じだったし」
「そういえば学校でも、村瀬と付き合いだしてからの方が声掛けられてたかもなあ」

 表情や雰囲気が柔らかくなったと言われるのは嬉しいが、面倒事はごめんだ。
 その後は、皆で気をつけていた事もあって楽しく夕食も済ませてホテルへ戻った。
 同じ宿で大浴場へ入った後は、昨日と同じように楽しく枕を投げ合い、トランプをして、それぞれの部屋で寝た。
 晃と一太が昨日と違ったのは、狭いベッドでくっ付いて寝たことだった。晃は、狭いなあと思いつつぐっすりと寝た。今度どこかで泊まる時には、二人で寝られる大きなベッドの部屋にしよう、と思った。
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