【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第一章 初めての幸せ

2 戦闘人形 2

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 目が覚めて、生きていることにびっくりした。なんで皇国は、俺を殺さないのだろう。
 全身の痛みは少しマシになっていて、左目の付近と左腕と左の脇腹の辺りがものすごく痛い。熱は下がっていないようで、怠くて仕方なかった。
 水さえ飲めたら、また寝られる気がする。起き上がろうともがいて、布団の手触りに驚いてしまった。
 こんな上等なものには、触ったことがない。そもそも戦闘人形ドールには布団なんて支給されていないので、少しでも柔らかい床を選んで寝る。
 見目のよい戦闘人形ドールは、閨の相手をさせられることも多いので、その上官の布団でそのまま寝かせてもらえた時の、布団の感触しか知りはしないけれど。
 皇国の布団は、捕虜の布団も帝国のより上等じゃん。それは、勝てないわ。

 何とか起き上がり、ベッドの横に置いてある水差しを取ろうとして、左腕の肘から先が無いことに気付いた。
 あ、うん。そりゃ、痛いわ。ぶっちぎれてるんだもん。
 そして、当然のように水差しを落として割る。ああ、水が飲みたかったぁ。

 諦めて布団に寝転がったところに、ものすごい勢いで扉が開かれて、昨日? の二人が駆け込んできた。どのくらい寝てたのか分からないから、昨日かどうか自信ないんだけど……。

「どうした? すごい音がしたが?」
「貴様、何をした?」

 でんかは、心配そうに、もう一人は銃を構えて、ベッドサイドへ来る。

「目が覚めたのか。水が飲みたかったのか?」

 割れた水差しを見たでんかが、大人しくベッドにいる俺を見てほっとしたように言った。この人は、優しく喋るなあ。いいなあ。
 と、思っていると、優しく髪の毛を撫でてくる。なんだ、これ。気持ちいいー。

常陸丸ひたちまる、水を持ってこい」
「駄目ですよ、殿下。それはもう、動けるんですよ。二人にさせられるわけないじゃないですか」

 常陸丸ひたちまる、と呼ばれた軍人が油断なく銃を向けながら答える。うんうん、君は正しい。だって俺、敵だからね。

「では、お前はそのままでいいから、誰かに頼んでくれ。水が飲みたかったのだろう?」

 飲みたかったから、うんうんと頷く。疲れてきた。今日は布団も暑くないしな。
 動いて痛んでいる左半身から意識を反らして、頭を撫でてくれる手に集中する。
 いやー、このまま死んだら幸せー、と、何か前にも思ったことを思いながらうとうとしてたら、そっと起き上がらされて、水差しを口に当ててもらっていた。
 おいしい……って言ったような言ってないような、ぼんやりしたまま、また眠ったらしい。
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